ファクタリングの手数料は、本当に「高利」なのか
ファクタリングと聞くと、法外な手数料を取られる——そんな印象を持つ人は少なくありません。しかし実際の数字は、取引の性質によって大きく変わります。固い相手なら1〜3%で買い取られる債権も普通にある。では、なぜ12%も15%もになる取引があるのか。数字が動く理由と、「高利」という印象論そのものの落とし穴を、実務の目線で解きほぐします。
「安く買い取られる債権」は、普通にある
まず、ひとつの事実からお伝えします。ファクタリングの手数料は、世間で思われているほど、いつも高いわけではありません。実際に、1〜3%の手数料で買い取られる債権も、普通に存在します。
どういう場合にそうなるのか。答えははっきりしています。ファクタリング業者が、高い手数料を取ってリスクを埋める必要のない取引だからです。具体的には、こういう条件が揃ったときです。売掛先が固い相手であること。その取引先との間に、安定した取引実績があること。そして、回収した売上の振り込みに、これまで遅延がないこと。この三つが揃えば、業者にとって取りっぱぐれの心配はほとんどありません。焦げ付かない取引に、高い手数料を乗せる理由はない。だから、低い手数料で成立するのです。
つまり、手数料が低いか高いかは、業者の良心や良し悪しの問題である以前に、持ち込む債権の性質そのもので決まります。同じ会社が持ち込んでも、固い取引先の安定した売掛金と、そうでないものとでは、返ってくる数字がまるで違うのです。
では、なぜ「12%、15%」になるのか
一方で、確かに高い手数料になる取引もあります。12%、15%という数字も、実際に存在します。では、それはどういう取引か。
典型的には、こういうものです。すでに経営が立ち行かなくなって駆け込んできた人。資金の使い道を尋ねると「サラ金の返済のため」と説明するような人。あるいは、本当に代金が回収できるのか疑わしいリフォーム案件——そもそも工事を最後までやり遂げられるのかすら、確信が持てないようなもの。こうした、焦げ付く危険が高い債権が、12%にも15%にもなるのです。
ここで、見方を変えてみてほしいのです。この数字は、業者が弱みにつけ込んで暴利を貪っている、という話なのでしょうか。むしろ逆かもしれません。そこまでリスクの高い債権を、それでも買い取って現金化してくれている。回収できるかどうか怪しいものを引き受けるのだから、その対価としての手数料です。そして——ここが大切なところですが——そこまで追い詰められた人には、他の資金調達の選択肢が、普通はありません。銀行はもう貸してくれない。その状況で、それでも買い取りが成立していること自体が、本来は感謝されてしかるべき事例だとすら言えるのです。
「高利」という印象論の、相対性という落とし穴
そもそも、「高利かどうか」という物差しには、落とし穴があります。それが、どこを基準に置くかで、まるで変わってしまうということです。
銀行から2%ほどの金利で普通に融資を受けている——その感覚を基準にすれば、ノンバンクの資金調達は、どこへ行っても「高利」ということになります。通称「銀行系」と呼ばれるサービスの9.5%だって、その物差しを当てれば、やはり高利としか言いようがない。しかし、安定を失って、今日をしのがなければならない人の状況に、その銀行取引の物差しを持ち込むことに、意味があるでしょうか。急場の資金を、電話一本で、即日で受け取る。そういう資金調達で、手数料が常識の範囲で流動的になるのは、当たり前のことです。速さと確実さには、コストがかかる。それを、平時の銀行融資と同じ尺度で測ること自体が、土俵を取り違えています。
銀行取引の物差しが意味を持つのは、もう一度その道筋に復帰して、経営が安定してからの話です。今日を一旦しのぎ切らなければならない、その渦中で「銀行なら2%なのに」と考えることに、実際的な意味はありません。まずしのぐ。安定を取り戻す。銀行との取引を、もう一度組み立て直す。順序は、そちらなのです。
目指すべきは、「安く買い取られる側」に戻ること
だからこそ、進むべき方向ははっきりしています。今の手数料が高いことを嘆いたり、印象論で業者を責めたりしても、状況は変わりません。やるべきは、経営を地道に改善していくこと、その一点です。
この記事の最初に書いた、1〜3%で買い取られる債権——固い取引先、安定した実績、遅延のない回収。あれを、目指すべきベンチマークとして持ってください。日常的にそういう業務を受注することに成功すれば、当たり前ですが、手数料や金利を気にする必要もない銀行取引の道筋に、気がつけば戻っています。ファクタリングは、その途上で今日をしのぐための道具であって、そこに安住するためのものではありません。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:手数料が売掛先の信用力・取引実績・回収の安定性によって決まること、その結果として低率(1〜3%程度)から高率(12〜15%程度)まで大きく開くこと、および「高利」という評価が基準の置き方に依存する相対的なものであること=いずれも実務にもとづく説明。
※ここに示した数値は特定の相場を保証するものではなく、取引の性質によって手数料が大きく異なることを示す実例です。実際の手数料は、業者・債権・時期および個別の売掛金の内容により異なります。
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