秋田信用金庫——城下町・秋田で、信金は何を抱えて貸すか
預貸率58.1%、預金1,427億円、不良債権比率5.38%。秋田市に本店を置く秋田信用金庫。城下町・秋田に根ざす「あきしん」が、何を抱えて貸すのか。同じ秋田県の信組と比べながら、その数字と歴史を読む。
秋田県の県都・秋田市に本店を置く秋田信用金庫は、地元で「あきしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金1,427億円、店舗16。秋田市を中心に、秋田県の沿岸中央部を地盤としている。県都に根ざす信金だ。
本拠の秋田は、佐竹氏二十万石の城下町を起こりとし、いまも秋田県の県都として行政と商業の中心を担う。日本海に面した港湾都市でもあり、かつては米と材木の積出港として栄えた。周辺の秋田平野は、米どころとして全国に知られる穀倉地帯だ。一方、秋田県は全国でも人口減少と高齢化が進む地域で、地域経済は厳しい環境に置かれてきた。秋田信用金庫は、こうした人口減少の進む城下町・秋田に根ざしてきた信金だ。
この信金の数字を見ると、預貸率58.1%という標準からやや高めの水準と、不良債権比率5.38%というやや高めの数字が並ぶ。よく貸す一方で、焦げ付きはやや高い。なぜ、城下町・秋田の信金は、こうした数字になるのか。同じ秋田県の信組とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。秋田信用金庫の預金は1,427億円、貸出金は829億円。預貸率は58.1%で、預金の6割近くを貸出に回している。自己資本比率は12.31%、不良債権比率は5.38%。店舗数は16、中小企業等への貸出残高は620億円。
同じ秋田県で、秋田市を地盤とする秋田県信用組合(預貸率65.4%・不良債権比率3.72%)と比べると、ともに6割前後とよく貸す一方、不良債権比率は秋田信用金庫(5.38%)が秋田県信用組合(3.72%)を上回る。秋田信用金庫はよく貸しながら、焦げ付きがやや高い。これは、人口減少と高齢化が進む秋田の地で、地域の中小事業者に貸し続けるなかで、返済が滞る先を一定程度抱えていることの表れだと読める。秋田という地盤の厳しさが、焦げ付きの数字に映っていると読める。
| 秋田信用金庫 | 秋田県信用組合 | |
|---|---|---|
| 本店 | 秋田市 | 秋田市 |
| 預金 | 1,427億円 | 953億円 |
| 預貸率 | 58.1% | 65.4% |
| 自己資本比率 | 12.31% | 9.65% |
| 不良債権比率 | 5.38% | 3.72% |
ともに秋田市を地盤とする信金と信組。両者ともよく貸すが、秋田信用金庫は焦げ付きがやや高い。人口減少の進む秋田の地盤の厳しさが数字に表れている。
城下町・秋田とともに——秋田信用金庫の歩み
秋田信用金庫は、城下町・秋田の商人や事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。城下町以来の商店、秋田平野の農家、港湾と関わる事業者、そして住民——こうした人々が預金を預け、必要なときに資金を借りる。秋田信用金庫は、県都を中心に、秋田の暮らしと商いに寄り添ってきた。
秋田という土地は、信用金庫にとって、厳しい環境に置かれた地盤だ。米どころの農業や港湾の歴史はあるが、全国でも人口減少と高齢化が突出して進み、地域経済は縮小の圧力にさらされている。そのなかで、秋田信用金庫は地元の中小事業者に貸し続けてきた。厳しい地盤でも、地域に貸す役割を果たし続ける——その姿勢が、預貸率58.1%という標準からやや高めの水準に表れている。一方、人口減少のなかで事業を続ける借り手には、返済が滞る先も出やすく、それが5.38%という焦げ付きの数字に映っていると読める。
5.38%を、城下町・秋田から読む
秋田信用金庫の不良債権比率5.38%というやや高めの数字は、人口減少と高齢化が進む秋田の地で、厳しい環境の借り手に貸し続けてきたことの表れだと読める。焦げ付きが高いことは、必ずしも貸し方の甘さを意味しない。地域経済が縮小するなかで、地元の中小事業者を支え続ければ、返済の滞る先を一定程度抱えるのは避けがたい。秋田信用金庫が預貸率58.1%でよく貸し続けていることは、厳しい地盤でも地域に資金を回す役割を果たしてきたことを示す。
自己資本比率12.31%という水準は、信用金庫として手堅く、焦げ付きを抱えながらも、これを吸収できる備えがある。人口減少の進む城下町で、地域に貸し続け、焦げ付きを抱えながらも、厚い自己資本で支える——それが、秋田信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。厳しい地盤で地域を支える信用金庫の姿が、ここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
秋田の経済とともに
秋田信用金庫の数字は、人口減少と高齢化が進む城下町・秋田という土地と、そこで厳しい環境の地域に貸し続ける信金の歩みの、両方を映している。預金の6割近くを地元に貸しながら、焦げ付きを抱えつつ、厚い自己資本で支えてきた。縮小の圧力にさらされる秋田の経済が、58.1%という預貸率と、5.38%という焦げ付きに表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。秋田信用金庫を見れば、城下町・秋田の経済と、そこで厳しい地盤に貸し続ける信金の姿が浮かぶ。秋田県の他の金融機関は、由利本荘の羽後信用金庫、県トップの地銀秋田銀行、第二地銀の北都銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。秋田県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、秋田県の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫・信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。秋田県信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(秋田市に本店を置き、秋田県沿岸中央部を地盤とする信用金庫であること、秋田が佐竹氏の城下町を起こりとする県都で、米と材木の積出港として栄えたこと、秋田平野が米どころであること、秋田県が全国でも人口減少・高齢化が進む地域であること)に関する記述=秋田信用金庫および各種公開情報にもとづく。
秋田の地理・経済(秋田平野、佐竹氏、城下町、日本海、港湾、米どころ、人口減少、高齢化)に関する記述=各種公開情報。