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東京ベイ信用金庫——東京湾岸の都県境で、信金は何に貸すか

預貸率62.6%、預金5,845億円、自己資本比率11.65%、不良債権比率2.86%。市川市に本店を置く東京ベイ信用金庫。東京と千葉の都県境・東京湾岸に根ざし、信金として高めの預貸率で貸す。その数字と歴史を読む。

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ニホン銀行紀行 ・ 千葉県

千葉県の市川市に本店を置く東京ベイ信用金庫は、預金5,845億円を持つ信用金庫だ。店舗27。市川市を中心に、船橋・浦安など千葉県西部の東京湾岸を地盤とし、東京の江戸川区などにも店舗を持つ。

本拠の市川市は、江戸川を挟んで東京と接する都県境の街だ。古くは江戸への玄関口として栄え、近代以降は東京への通勤圏として宅地化が進んだ。隣の浦安市には東京湾を埋め立てたリゾートが広がり、船橋は商業と物流の集まる街だ。東京と千葉の境を流れる江戸川のほとり——東京湾岸のこの一帯は、住宅と商業、物流、サービス業が密に重なる土地である。東京ベイ信用金庫は、こうした東京湾岸の都県境に根ざしてきた信金だ。「ベイ信金」の愛称で知られる。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率62.6%という高め水準だ。信用金庫の預貸率は4割から5割台のことが多いなかで、62.6%はやや高い。預金の6割を超えて貸し出している。なぜ、東京湾岸の信金は、これだけ貸せるのか。数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。東京ベイ信用金庫の預金は5,845億円、貸出金は3,660億円。預貸率は62.6%で、預金の6割を超えて貸出に回している。自己資本比率は11.65%、不良債権比率は2.86%。店舗数は27、中小企業等への貸出残高は3,284億円。

同じ千葉県で、県都・千葉市を地盤とする千葉信用金庫(預貸率54.0%)と比べると、東京ベイ信用金庫の預貸率62.6%は一段高い。東京に隣接した都県境という立地が、旺盛な資金需要を生んでいると読める。一方、不良債権比率2.86%は落ち着いた水準で、よく貸しながら焦げ付きを抑えている。自己資本比率11.65%も健全だ。東京の経済圏に接した湾岸で、よく貸しながら健全さを保つ——それが、この信金の数字の特徴だ。

千葉県の信用金庫・預貸率の比較(令和7年3月末)
 東京ベイ信金千葉信用金庫
本店市川市千葉市
預金5,845億円1兆1,323億円
預貸率62.6%54.0%
自己資本比率11.65%7.93%
不良債権比率2.86%

東京ベイ信用金庫の預貸率62.6%は、県都の千葉信用金庫を上回る。東京に隣接した都県境の立地が、旺盛な資金需要を生んでいる。

東京湾岸とともに——東京ベイ信用金庫の歩み

東京ベイ信用金庫は、千葉県西部の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。市川・船橋・浦安の商店や町工場、物流・サービス業、そして都心へ通う人々の住む街——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を経て、東京湾岸に広く根ざす信金へと歩み、現在の「東京ベイ信用金庫」の名は、この湾岸の地盤を映している。

東京湾岸の都県境という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要の濃い地盤だ。東京に隣接した宅地化の進んだ街、商業と物流の集まる船橋、リゾートを抱える浦安——多様な業種と旺盛な需要が、東京の経済圏のすぐ隣に広がる。地元の中小に密着し、会員との関係のもとで貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率62.6%という高めの水準を支えている。自己資本比率11.65%は、信用金庫の国内基準4%を十分に上回り、健全な水準だ。不良債権比率2.86%は、地域の事業の浮き沈みを引き受けるなかで、落ち着いた水準を保っていると読める。

62.6%を、東京湾岸から読む

東京ベイ信用金庫の預貸率62.6%という高めの水準は、東京に接した湾岸で、会員の旺盛な資金需要によく応えていることの表れだと読める。市川・船橋・浦安という、東京の経済圏に隣接した街は、信用金庫が貸す相手の濃い土地だ。宅地化の進んだ街には住宅・商業の需要があり、物流・サービス業も集まる。東京ベイ信用金庫は、その中小に密着して貸し、預金の6割を超えて貸出に回している。

自己資本比率11.65%という健全な資本と、不良債権比率2.86%という落ち着いた焦げ付きは、湾岸で会員によく貸しながら、健全さを保ってきたことを映す。東京湾岸の都県境で、中小によく貸し、健全な資本を保つ——それが、東京ベイ信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。東京の経済圏に接した立地を生かす信金の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

千葉の経済とともに

東京ベイ信用金庫の数字は、東京湾岸の都県境という土地と、そこで中小によく貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の6割を超えて地元の会員に貸し、健全な資本を保ちながら、市川を中心とする千葉県西部の中小・零細事業者を支えてきた。東京に隣接した湾岸の旺盛な需要が、62.6%という高めの預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。東京ベイ信用金庫を見れば、東京湾岸の経済と、そこで中小に貸す信金の姿が浮かぶ。千葉県の他の金融機関は、県都の千葉信用金庫、水郷の佐原信用金庫、銚子の銚子信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。千葉県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、千葉県の地域金融機関のページへ。

東京ベイ信用金庫と融資・保証のはなし

本業の事業融資に踏み込むなら、知っておきたいのが融資の進め方と保証のしくみです。創業期から事業の拡大まで、湾岸で事業を営む立場で押さえておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。大都市の経済圏に隣接し、宅地化・商業・物流が密に重なる土地を地盤とする信金では、旺盛な資金需要に応えて預貸率が6割を超えることもある。自己資本比率や不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の貸し方が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。千葉信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(市川市に本店を置き、「ベイ信金」の愛称で知られ、市川・船橋・浦安など千葉県西部の東京湾岸を地盤とし東京の江戸川区などにも店舗を持つ信用金庫であること、合併を経て東京湾岸に広く根ざす信金になり現在の名がその地盤を映すこと、市川市が江戸川を挟んで東京と接する都県境の街で江戸への玄関口として栄え近代以降に東京への通勤圏として宅地化が進んだこと、浦安に東京湾を埋め立てたリゾートが広がり船橋が商業と物流の集まる街であること)に関する記述=東京ベイ信用金庫および各種公開情報にもとづく。
市川・東京湾岸の地理・経済(市川、船橋、浦安、江戸川、東京湾岸、都県境、宅地、商業、物流)に関する記述=各種公開情報。

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