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大垣西濃信用金庫——水の都・大垣で、西濃の信金は何を支えるか

預貸率45.4%、預金8,071億円、自己資本比率14.64%、不良債権比率3.88%。大垣市に本店を置く大垣西濃信用金庫。水の都・大垣を中心に岐阜県西濃に根ざす信金が、何を支えるのか。同じ岐阜の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 岐阜県

岐阜県の大垣市に本店を置く大垣西濃信用金庫は、預金8,071億円を持つ信用金庫だ。店舗35。大垣市を中心に、岐阜県西部の西濃地域を地盤としている。岐阜県内でも有数の規模を持つ信金だ。

本拠の大垣市は、豊かな地下水に恵まれ、「水の都」と呼ばれてきた。市内には自噴する井戸が点在し、その水を生かした製造業も育った。古くは大垣藩の城下町として栄え、松尾芭蕉の『おくのほそ道』の旅が結ばれた地としても知られる。西濃地域は、繊維や化学、機械などの製造業が広がる一方、濃尾平野の豊かな農業地帯でもある。大垣西濃信用金庫は、こうした水の都・大垣を中心とする岐阜県西濃に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率45.4%という水準と、自己資本比率14.64%という厚みだ。預金の半分弱を貸出に回し、厚い資本を保っている。不良債権比率3.88%はおおむね落ち着いた水準だ。なぜ、西濃の信金は、こうした数字になるのか。同じ岐阜を地盤とする信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。大垣西濃信用金庫の預金は8,071億円、貸出金は3,666億円。預貸率は45.4%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は14.64%と厚く、不良債権比率は3.88%。店舗数は35、中小企業等への貸出残高は2,952億円。

同じ岐阜県で、県庁所在地の岐阜市を地盤とする岐阜信用金庫(預貸率56.4%・自己資本比率9.98%)と比べると、大垣西濃信用金庫のほうが、貸出を抑えめにし、厚い自己資本を保っている。大垣西濃信用金庫の預貸率45.4%は岐阜信用金庫(56.4%)を下回り、自己資本比率は大垣西濃信用金庫(14.64%)が岐阜信用金庫(9.98%)を上回る。県都・岐阜市で大きく貸す岐阜信用金庫と、西濃で堅実に貸す大垣西濃信用金庫——同じ岐阜の大型信金でも、地盤とする土地と経営の姿勢の違いが、数字に表れていると読める。

岐阜県の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 大垣西濃信用金庫岐阜信用金庫
本店大垣市岐阜市
預金8,071億円2兆6,598億円
預貸率45.4%56.4%
自己資本比率14.64%9.98%
不良債権比率3.88%2.56%

ともに岐阜県を地盤とする信金。県都・岐阜市の岐阜信用金庫が大きく貸すのに対し、西濃の大垣西濃信用金庫は貸出を抑えめにし、厚い資本を保つ。

水の都とともに——大垣西濃信用金庫の歩み

大垣西濃信用金庫は、西濃の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。大垣の製造業、西濃の繊維・化学・機械の中小製造業、濃尾平野の農家、そして住民——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。大垣西濃信用金庫は、合併を経て、西濃に広く根ざす大型信金へと成長してきた。名に「大垣」と「西濃」を併せ持つのは、その歩みを映している。

西濃という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要のある地盤だ。水の都・大垣の製造業、西濃の繊維・化学・機械、濃尾平野の農業と、多様な業種が広がる。地元の中小に密着し、会員との関係のもとで貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率45.4%という水準を支えている。預金の残り半分は、有価証券などの運用に向かう。厚い自己資本比率14.64%は、貸出を無理に伸ばさず、堅実な経営を続けてきたことを映している。

45.4%を、西濃から読む

大垣西濃信用金庫の預貸率45.4%という水準と、自己資本比率14.64%という厚みは、水の都・大垣を中心とする西濃で、会員の資金需要に応えつつ、堅実な経営を守ってきたことの表れだと読める。大垣の製造業、西濃の繊維・化学・機械、濃尾平野の農業が広がる西濃は、信用金庫が貸す相手のある土地だ。一方、大企業の工場は信用金庫より大手銀行が主に資金を供給する。大垣西濃信用金庫は、その間にある中小・零細事業者に密着して貸し、預金の半分弱を貸出に回している。

厚い自己資本と、不良債権比率3.88%というおおむね落ち着いた焦げ付きは、西濃で会員に着実に貸し、無理のない経営を保ってきたことを映す。水の都で、中小に密着して貸し、厚い資本を保つ——それが、大垣西濃信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。堅実を旨とする西濃の信金の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

岐阜の経済とともに

大垣西濃信用金庫の数字は、水の都・大垣を擁する岐阜県西濃という土地と、そこで中小に密着して堅実に貸す大型信金の歩みの、両方を映している。預金の半分弱を地元の会員に貸し、厚い資本を保ちながら、西濃の中小・零細事業者を支えてきた。大垣の製造業と西濃のものづくり、濃尾平野の農業の経済が、45.4%という預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。大垣西濃信用金庫を見れば、西濃の経済と、そこで堅実に貸す大型信金の姿が浮かぶ。岐阜県の他の金融機関は、県都・岐阜の岐阜信用金庫、同じ大垣に本店を置く地銀大垣共立銀行、東濃の東濃信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。岐阜県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、岐阜県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。製造業や農業など多様な産業を抱える地方の土地では、中小・零細事業者の資金需要に応えつつ、預金の残りを有価証券などの運用に向け、預貸率が半分前後に落ち着くことがある。自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の堅実さが見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。岐阜信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(大垣市に本店を置き、岐阜県西濃を地盤とする信用金庫であること、合併を経て西濃に広く根ざす大型信金になったこと、大垣が豊かな地下水に恵まれ「水の都」と呼ばれ自噴する井戸が点在しその水を生かした製造業が育ったこと、大垣藩の城下町として栄え松尾芭蕉の『おくのほそ道』の旅が結ばれた地であること、西濃に繊維・化学・機械などの製造業が広がり濃尾平野の農業地帯でもあること)に関する記述=大垣西濃信用金庫および各種公開情報にもとづく。
大垣・西濃の地理・経済(大垣、水の都、地下水、城下町、おくのほそ道、西濃、繊維、化学、機械、濃尾平野)に関する記述=各種公開情報。

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