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備後信用組合——備後・福山で、びんしんは何を抱えて貸すか

預貸率58.9%、自己資本比率21.89%、不良債権比率10.57%。福山市に本店を置く備後信用組合「びんしん」。三つの信組の合併で生まれ、備後地方に根ざす信組の数字を読みます。

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広島県福山市に本店を置く備後信用組合は、預金680億円、貸出金400億円、店舗13。「びんしん」の愛称で、福山市・府中市など広島県東部の備後地方を地盤とする信用組合です。

地盤とする備後は、広島県の東部、岡山県と境を接する一帯です。中心都市・福山は、鉄鋼やデニム・繊維、機械などの製造業が集積する工業都市で、府中は家具と機械のまちとして知られます。備後信用組合は、1972年に新市・神辺・千年の三つの信用組合が合併して発足し、備後の事業者とともに歩んできた信組です。数字の面で目を引くのは、自己資本比率21.89%という厚さと、不良債権比率10.57%という高さの組み合わせです。

まず、数字を並べる

備後信用組合の預金は680億円、貸出金は400億円、預貸率58.9%。自己資本比率は21.89%、不良債権比率は10.57%。中小企業等向けの貸出先は4,787件です。

備後信用組合(令和7年3月末)
預金680億円
貸出金400億円
預貸率58.9%
自己資本比率21.89%
不良債権比率10.57%
中小企業等向け貸出先4,787件
店舗13店

自己資本21.89%・不良債権10.57%。備後・福山に根ざす信組の数字を読む。

21.89%と10.57%を、備後から読む

不良債権比率10.57%は、本紀行で見てきた信用組合のなかでも高い部類です。一方、自己資本比率21.89%という厚さは、信用組合として際立っています。高い不良債権を、厚い自己資本で受け止める——この組み合わせが、備後信用組合の数字の特徴です。預貸率58.9%という相応の高さは、備後の中小に着実に貸してきたことの表れで、よく貸すぶん、地域経済や個別の事業の変動も引き受けてきたと読めます。

備後信用組合が貸す相手は、福山・府中を中心とする備後の中小事業者です。鉄鋼やデニム・繊維、家具・機械などの製造業の関連、まちの商業や建設業が、その融資先に含まれると考えられます。4,787件という中小企業等向けの貸出先の多さは、備後の事業者に広く資金を届けてきたことを示します。厚い自己資本があるからこそ、高い不良債権を抱えながらも地域への資金供給を続けられていると読めます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、ものづくりの備後という土地を抜きに、この信組の数字は読めません。

備後信用組合が示すのは、備後の中小に広く貸し、その変動を厚い守りで受け止める信組の姿です。不良債権10.57%という高さは、ものづくりのまちの事業者とともに変動を引き受けてきたことの表れ。自己資本21.89%という厚さは、その傷を受け止めてなお地域に貸し続けるための備えです。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。備後信用組合にとって、その「地元」とは、鉄鋼・繊維・家具・機械などのものづくりが集まる備後の経済です。三つの信用組合が合併して地盤を固め、組合員である地区の事業者に広く貸す姿は、ものづくりの土地を支える協同組織金融機関のありようを映しています。高い不良債権を厚い自己資本で受け止める構えも、その役割を続けるためのものと読めます。

同じ県の、金融機関と並べてみる

同じ広島県を代表する地銀として、広島銀行(預貸率85.8%)も本紀行に登場しています。県名を冠する広島県信用組合(預貸率72.0%)や、しまなみのしまなみ信用金庫とあわせて、広島の金融機関の姿は各記事もあわせてどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

自己資本比率21.89%という厚さと、不良債権比率10.57%という高さは、ものづくりの備後・福山に根を張り、地域の中小に広く貸し、その変動を受け止めてきた信組の姿を映しています。備後信用組合の数字は、ものづくりのまちに根ざす「びんしん」の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、広島県の他の金融機関は広島県の地域金融機関のページもどうぞ。

備後信用組合と融資・保証のはなし

備後信用組合は、地域に根ざした信用組合です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
備後信用組合の沿革(1972年に新市・神辺・千年の3信用組合が合併して発足、福山市・府中市など備後地方を地区とすること、「びんしん」の愛称)に関する記述=備後信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
福山市・府中市の鉄鋼・デニム繊維・家具・機械などの製造業に関する記述=各種公開情報。
広島銀行・広島県信用組合の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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