広島県信用組合——広島の二つの信組は、どちらもなぜよく貸すのか
預貸率72.0%、預金3,799億円、自己資本比率8.85%。広島市に本店を置く広島県信用組合。広島に根ざす「けんしん」が、なぜ預金の7割を貸すのか。同じ広島市の信組と比べながら、その数字と歴史を読む。
広島県の広島市に本店を置く広島県信用組合は、地元で「けんしん」と呼ばれる信用組合だ。預金3,799億円、店舗25。広島市を中心に、広島県の各地を地盤としている。県名を冠する、広島県を代表する信用組合の一つだ。
本拠の広島は、太田川の河口に開けた中国地方最大の都市だ。毛利氏・浅野氏の城下町を起こりとし、いまも中国地方の経済・行政の中心を担う。自動車をはじめとする製造業の集積があり、商業・サービス業も厚い。県内には、瀬戸内の港町や中山間地域も広がる。広島県信用組合は、こうした中国地方の中心・広島に根ざし、県内の中小・零細事業者を支えてきた信用組合だ。
この信組の数字で目を引くのは、預貸率72.0%という高さだ。預金の7割を貸出に回している。信用組合としても、よく貸している部類だ。じつは、同じ広島市には、預貸率91.1%という全国でも屈指の高さを持つ広島市信用組合がある。なぜ、広島の信組は、どちらもこれほどよく貸すのか。二つの信組を比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。広島県信用組合の預金は3,799億円、貸出金は2,737億円。預貸率は72.0%で、預金の7割を貸出に回している。自己資本比率は8.85%、不良債権比率は4.26%。店舗数は25、中小企業等への貸出残高は2,726億円。
同じ広島市の広島市信用組合(預貸率91.1%・自己資本比率12.02%)と比べると、どちらもよく貸す信組だ。広島市信用組合の預貸率91.1%は全国でも屈指の高さで、それに次いで広島県信用組合も72.0%とよく貸している。同じ広島市を地盤とする二つの信組が、そろって高い預貸率を示す。これは、中国地方最大の都市・広島が、信用組合にとって組合員の資金需要の旺盛な土地であることを示していると読める。製造業・商業の集積する広島では、中小・零細事業者の資金需要が厚く、信組はそれに応えてよく貸せる。一方、広島県信用組合の自己資本比率8.85%は、広島市信用組合(12.02%)を下回り、よく貸すぶん資本の厚みはやや控えめだ。
| 広島県信用組合 | 広島市信用組合 | |
|---|---|---|
| 本店 | 広島市 | 広島市 |
| 預金 | 3,799億円 | 8,839億円 |
| 預貸率 | 72.0% | 91.1% |
| 自己資本比率 | 8.85% | 12.02% |
| 不良債権比率 | 4.26% | 1.98% |
同じ広島市を地盤とする二つの信組。どちらも預貸率が高く、よく貸す。中国地方最大の都市・広島が、信組にとって組合員の資金需要の旺盛な土地であることが数字に表れている。
中国地方の中心・広島とともに——広島県信用組合の歩み
広島県信用組合は、広島の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。城下町以来の商店、製造業の事業者、瀬戸内の港町や中山間地域の事業者、そして住民——こうした人々が組合員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。広島県信用組合は、合併を経て、広島県内に広く根ざす信用組合へと成長してきた。
広島という土地は、信用組合にとって、組合員の資金需要の旺盛な地盤だ。中国地方最大の都市として、製造業・商業・サービス業が集積し、中小・零細事業者が層をなす。地元の中小に密着し、組合員との関係のもとで深く貸す——この信用組合ならではの貸し方が、預貸率72.0%という高さの背景にあると読める。同じ広島市の広島市信用組合がさらに高い預貸率を示すことも、広島という土地の資金需要の厚さを裏づけている。
72.0%を、広島の信組から読む
広島県信用組合の預貸率72.0%という高さは、中国地方最大の都市・広島で、組合員である中小・零細事業者の資金需要によく応えていることの表れだと読める。製造業・商業の集積する広島は、信用組合が貸す相手に事欠かない土地だ。広島県信用組合は、組合員との関係のもとで深く貸し、預金の7割を貸出に回している。
自己資本比率8.85%という水準は、信用組合として手堅い範囲だが、よく貸すぶん、より厚い資本を積む広島市信用組合ほどの厚みはない。不良債権比率4.26%という数字は、地域の中小事業の事情を映すが、極端に高いわけではない。広島で組合員の中小に深く貸し、資金需要によく応える——それが、広島県信用組合の数字に表れた生き方だと読める。同じ広島市の二つの信組がそろってよく貸す姿は、中国地方の中心都市の資金需要の厚さを映している。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
広島の経済とともに
広島県信用組合の数字は、中国地方最大の都市・広島という土地と、そこで組合員の中小に深く貸す信組の歩みの、両方を映している。預金の7割を地元の組合員に貸し、広島の中小・零細事業者を支えてきた。製造業・商業の集積する広島の経済が、72.0%という高い預貸率に表れている。
銀行や信用金庫・信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。広島県信用組合を見れば、中国地方の中心・広島の経済と、そこで組合員に深く貸す信組の姿が浮かぶ。広島県の他の金融機関は、さらに高い預貸率の広島市信用組合、県内最大の信金広島信用金庫、県トップの地銀広島銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。広島県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、広島県の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。広島市信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(広島市に本店を置き、広島県内を地盤とする信用組合であること、合併を経て県内に広く根ざす信用組合になったこと、広島が太田川の河口に開けた毛利氏・浅野氏の城下町を起こりとする中国地方最大の都市であること、自動車をはじめとする製造業が集積すること)に関する記述=広島県信用組合および各種公開情報にもとづく。
広島の地理・経済(太田川、毛利氏、浅野氏、城下町、中国地方、製造業、瀬戸内、中山間地域)に関する記述=各種公開情報。