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両備信用組合——家具と備後絣のまち府中で、リョーシンは何に貸すか

預貸率64.6%、預金1,465億円、自己資本比率11.74%、不良債権比率3.27%。広島県府中市に本店を置く両備信用組合。3つの信組が合併して生まれ、備後一円を地盤とする「リョーシン」が、何に貸すのか。同じ広島の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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広島県の府中市に本店を置く両備信用組合は、預金1,465億円を持つ信用組合だ。店舗14。愛称は「リョーシン」。府中市の本店を中心に、福山・三次・庄原・三原・尾道・世羅など、広島県東部の備後(びんご)一円に店舗を構える。備後を地盤とする地域の信用組合だ。

本拠の府中市は、広島県東部の内陸にあるものづくりのまちだ。府中家具の名で知られる木工・家具産業や、機械・金属の中小企業が集まり、「ものづくりのまち府中」として知られる。周辺の備後地方は、かつて備後絣(びんごがすり)の一大産地として栄え、いまも繊維やデニム、機械金属など多彩な地場産業を抱える。両備信用組合は、こうしたものづくりの備後に根ざし、地域の中小事業者と家計に貸してきた。サンフレッチェ広島の応援定期預金を出すなど、地域に密着した「コミュニティバンク・リョーシン」を掲げている。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率64.6%という、信組として高い水準だ。預金1,465億円に対し、貸出金は946億円。預金の6割超を貸出に回している。なぜ、備後の信組が、これほど貸せるのか。同じ広島の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。両備信用組合の預金は1,465億円、貸出金は946億円。預貸率は64.6%で、預金の6割超を貸出に回している。自己資本比率は11.74%、不良債権比率は3.27%。店舗数は14。

同じ広島県の信金と比べてみる。軍港・造船のまち呉の呉信用金庫(預貸率62.8%・預金8,011億円)、しまなみ海道の島々のしまなみ信用金庫(預貸率41.9%・不良7.24%)と並べると、両備信用組合の預貸率64.6%は、これらの信金と並ぶ高めの水準にある。信用組合は信用金庫よりさらに組合員の枠が狭く、貸出が伸びにくいことも多いが、両備信用組合は呉信金と肩を並べてよく貸している。これは、ものづくりの備後で、家具・繊維・機械金属といった地場産業の中小事業者に深く貸してきたことの表れだと読める。頻度の高い訪問営業で地域に密着する——その積み重ねが、高い預貸率を支えていると読める。不良債権比率3.27%は、地場産業の浮き沈みを引き受けながらも、低めに抑えられている。

広島県の協同組織金融機関(令和7年3月末)
 両備信用組合呉信用金庫しまなみ信用金庫
業態信用組合信用金庫信用金庫
預貸率64.6%62.8%41.9%
自己資本比率11.74%11.24%9.97%
不良債権比率3.27%3.70%7.24%

いずれも広島県の機関。リョーシンは信組でありながら、呉信金と並ぶ高い預貸率を示す。

3つの信組の合併から——両備信用組合の歩み

両備信用組合は、1972年(昭和47年)4月、芦品(あしな)信用組合・甲山(こうざん)信用組合・上下(じょうげ)信用組合の3つの信用組合が合併して設立された。源流は1952年(昭和27年)に創立された芦品・甲山の信組にさかのぼる。備後地方の各地に根ざしていた小さな信組が一つにまとまり、府中市に本店を置く両備信用組合が生まれた。「両備」の名は、備後と備中(びっちゅう)——かつての旧国名にちなむと見られ、備後を中心とする地域への思いがこめられている。愛称は「リョーシン」、コミュニティバンクを掲げている。

ものづくりの備後という土地は、信用組合にとって資金需要に富む地盤だ。府中家具の木工・家具、備後絣以来の繊維・デニム、そして機械・金属——多彩な地場産業の中小事業者が、設備や運転の資金を必要とする。両備信用組合は、「相互扶助」の理念のもと、頻度の高い訪問営業で地域に密着し、「なんでも気軽に相談できる、お客さま支援機関」を掲げて、こうした事業者によく貸してきた。地域の人々自らの手によって創設された協同組織として、地元の企業資金・家計資金の円滑な循環に寄与することを使命とする。預貸率64.6%という信組として高い水準は、その地縁・人縁を活かして備後の資金需要に深く応えてきたことの表れだと読める。不良債権比率3.27%は、地場産業の構造変化を引き受けながらも、堅実に貸してきたことを映していると読める。

64.6%を、備後から読む

両備信用組合の預貸率64.6%という信組として高い水準は、ものづくりの備後で、家具・繊維・機械金属といった地場産業の中小事業者に深く貸してきたことの表れだと読める。3つの信組が一つになり、頻度の高い訪問営業で地域に密着しながら、備後一円の資金需要に応えてきた。

信用組合は、信用金庫よりさらに組合員の枠が狭い協同組織だ。その枠のなかで預金の6割超を貸すことは、地域の事業者と密接な関係を結んでいなければできない。府中という内陸のものづくりのまちに根ざし、地縁・人縁を活かして貸す——その姿勢が、64.6%という高い預貸率に表れていると読める。コミュニティバンク・リョーシンとして、備後の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

広島の経済とともに

両備信用組合の数字は、ものづくりの備後という地盤と、3つの信組が一つになって歩んできた歴史の、両方を映している。地場産業の中小事業者によく貸し、頻度の高い訪問営業で地域に密着しながら、備後の経済を支えてきた。府中という内陸のものづくりのまちが、64.6%という高い預貸率に表れている。

銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。両備信用組合を見れば、ものづくりの備後の経済と、そこで深く貸す信組の姿が浮かぶ。広島県の他の金融機関は、軍港・造船のまちの呉信用金庫、しまなみ海道のしまなみ信用金庫、県内最大の地銀広島銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。広島県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、広島県の地域金融機関のページへ。

両備信用組合と融資のはなし

両備信用組合は、ものづくりの備後に根ざし、地場産業の中小事業者に深く貸す地域の信用組合です。地元の事業者に貸す信組とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

信用組合とは 信用組合(信用協同組合)とは、組合員の相互扶助を目的とする協同組織の金融機関。信用金庫と似ているが、根拠法が異なり、原則として組合員でなければ取引できないなど、より地域・職域・業域に密着した存在だ。地域の信組は、地縁・人縁を活かして中小事業者に深く貸すことが多い。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。呉信用金庫・しまなみ信用金庫の数値も同出典。
沿革(1972年4月に芦品信用組合・甲山信用組合・上下信用組合の3信用組合が合併して設立されたこと、源流が1952年創立の信組にさかのぼること、本店が府中市元町にあること、愛称が「リョーシン」であること、福山・府中・三次・庄原・三原・尾道・世羅など備後一円を営業区域とすること、頻度訪問営業で地域に密着し「コミュニティバンク」を掲げること)=両備信用組合および各種公開情報にもとづく。
府中・備後の地理・産業(府中市、府中家具、ものづくりのまち、備後地方、備後絣、繊維・機械金属)に関する記述=各種公開情報。

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