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遠軽信用金庫——オホーツクの信金は、なぜ焦げ付きが0.58%なのか

不良債権比率0.58%、自己資本比率21.93%、預貸率48.4%。紋別郡遠軽町に本店を置く遠軽信用金庫。オホーツクの農林業の地に根ざし、極めて低い焦げ付きと厚い自己資本を保つ信用金庫。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 北海道

北海道のオホーツク地方、紋別郡遠軽町に本店を置く遠軽信用金庫は、地元で「えんしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金3,860億円、店舗24。オホーツク海側の内陸に位置する遠軽町を中心に、紋別・北見など道北東部のオホーツク地方を地盤としている。地方の信金としては相応の規模だ。

本拠の遠軽は、オホーツク地方の内陸に開けた農林業のまちだ。広大な土地を生かした畑作や酪農、そして森林資源を背景とした林業・木材産業が、地域の経済を支えてきた。コスモスの名所として知られる太陽の丘えんがる公園や、瞰望岩(がんぼういわ)といった自然の景観でも親しまれる。オホーツク地方は、夏は冷涼で農業に適し、冬は厳しい寒さと雪に覆われる。こうした自然と向き合いながら、農林業を中心とした堅実な経済が営まれてきた。

この信金の数字でまず目を引くのは、不良債権比率0.58%という極めて低い水準だ。信用金庫の不良債権比率は数%が一般的ななかで、1%を大きく下回るこの数字は際立っている。さらに、自己資本比率は21.93%と厚い。なぜ、オホーツクの信金はこれほど焦げ付きが少なく、資本が厚いのか。同じ北海道の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。遠軽信用金庫の預金は3,860億円、貸出金は1,868億円。預貸率は48.4%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は21.93%と厚く、不良債権比率は0.58%と極めて低い。店舗数は24、中小企業等への貸出残高は1,644億円。

際立つのは、不良債権比率0.58%という低さだ。同じ北海道の日本海側で、ニシンで栄えた港町・留萌を地盤とする留萌信用金庫(不良債権比率2.66%・自己資本比率16.65%)と比べても、遠軽信用金庫の焦げ付きは格段に低い。自己資本比率も、遠軽信用金庫(21.93%)が留萌信用金庫(16.65%)を上回る。厚い自己資本を保ちながら、焦げ付きを極めて低く抑える——この堅実さが、遠軽信用金庫の数字の最大の特徴だ。農林業を中心とした安定した地域経済と、堅実な貸出姿勢が、その背景にあると読める。

北海道の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 遠軽信用金庫留萌信用金庫
地盤オホーツク(遠軽)日本海側(留萌)
預金3,860億円2,596億円
預貸率48.4%51.6%
自己資本比率21.93%16.65%
不良債権比率0.58%2.66%

同じ北海道の、オホーツクと日本海側を地盤とする二つの信金。遠軽信用金庫は自己資本がより厚く、焦げ付きは留萌信用金庫を大きく下回る。農林業の地で堅実に貸す姿が数字に出ている。

オホーツクの農林業とともに——遠軽信用金庫の歩み

遠軽信用金庫は、オホーツクの農林業のまち・遠軽の事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。畑作や酪農の農家、林業や木材産業の事業者、そして地域の商店や個人——こうした人々が預金を預け、必要なときに資金を借りる。広大なオホーツク地方の経済を、遠軽信用金庫は長く支えてきた。

オホーツク地方の農林業は、堅実な産業だ。広大な土地を生かした畑作や酪農、安定した林業は、派手な成長こそないが、着実に営まれてきた。こうした地域では、事業者も堅実な経営を続け、過度な借り入れを避ける傾向がある。堅実な地域経済と、堅実な貸出姿勢が重なることで、焦げ付きは極めて低く抑えられる。遠軽信用金庫の0.58%という不良債権比率は、こうした土地柄と経営の表れだと読める。一方で、人口減少が進む地域でもあり、貸出を大きく伸ばす機会は限られる。だからこそ、厚い自己資本を保ち、堅実を旨とする経営が選ばれてきたと読める。

0.58%を、オホーツクの信金から読む

遠軽信用金庫の不良債権比率0.58%という極めて低い水準は、堅実な農林業の地で、相手をよく見て堅実に貸してきたことの表れだと読める。安定した産業を営む事業者に、無理なく貸せば、焦げ付きは生まれにくい。預貸率48.4%という標準的な水準も、地元にしっかり貸しながら、過度な貸し込みを避けていることを示す。よく見て、堅実に貸す——その積み重ねが、際立って低い焦げ付きにつながっている。

自己資本比率21.93%という厚さは、人口減少が進む地域で、長く地域とともに在り続けるための備えだと読める。貸出を大きく伸ばす機会は限られるが、厚い自己資本があれば、地域経済が落ち込んでも貸し続けられる。派手に貸して規模を追うのでなく、堅実に貸して焦げ付きを抑え、厚い資本で守りを固める——それが、遠軽信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

オホーツクの経済とともに

遠軽信用金庫の数字は、農林業で営まれるオホーツク・遠軽という土地と、その堅実な経済のなかで焦げ付きを抑え守りを固める信金の歩みの、両方を映している。広大な農地と森に根ざし、堅実な事業者によく見て貸すことで、極めて低い焦げ付きと厚い自己資本を保ってきた。堅実な地域経済と堅実な経営が、0.58%という際立って低い不良債権比率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。遠軽信用金庫を見れば、農林業のオホーツク・遠軽の経済と、そこで堅実に貸す信金の姿が浮かぶ。北海道の他の信用金庫は、ニシンの港町の留萌信用金庫、最北の稚内信用金庫、流氷の街の網走信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。北海道の他の金融機関と並べて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が中位の金融機関は、地元の資金需要に応えつつ、運用とのバランスを取っている一つの目安になる。ただし、不良債権比率や自己資本の厚さとあわせて見ることで、その経営の堅実さがより立体的に見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。留萌信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(紋別郡遠軽町に本店を置き、オホーツク地方を地盤とする信用金庫であること、遠軽が農林業〔畑作・酪農・林業〕のまちであること、太陽の丘えんがる公園のコスモスや瞰望岩で知られること)に関する記述=遠軽信用金庫および各種公開情報にもとづく。
遠軽・オホーツクの地理・産業(オホーツク地方、畑作、酪農、林業、木材産業、人口減少)に関する記述=各種公開情報。

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