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函館商工信用組合——港町・函館で、しんくみは何に貸すか

預貸率68.3%、自己資本比率10.36%、不良債権比率1.82%。函館市で唯一の本店金融機関・函館商工信用組合。港町の中小事業者にしっかり貸す信組の数字を読みます。

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ニホン銀行紀行 ・ 北海道

北海道函館市に本店を置く函館商工信用組合は、預金286億円、貸出金195億円、店舗5。函館市を中心に、渡島・檜山の道南地域を地盤とする信用組合です。

本店のある函館市は、幕末に開かれた国際貿易港の面影と夜景で知られる、道南随一の港町です。水産・水産加工、観光、商業がまちの経済を支えています。函館商工信用組合は1956年に設立された、いまも函館市に本店を置く唯一の金融機関で、地元の商工業者の相互扶助の組織として歩んできました。数字の面で目を引くのは、預貸率68.3%という高さと、不良債権比率1.82%という低さの組み合わせです。

まず、数字を並べる

函館商工信用組合の預金は286億円、貸出金は195億円、預貸率68.3%。自己資本比率は10.36%、不良債権比率は1.82%。中小企業等向けの貸出先は2,029件です。

函館商工信用組合(令和7年3月末)
預金286億円
貸出金195億円
預貸率68.3%
自己資本比率10.36%
不良債権比率1.82%
中小企業等向け貸出先2,029件
店舗5店

預貸率68.3%・不良債権1.82%。港町・函館の中小に貸す信組の数字を読む。

68.3%と1.82%を、港町から読む

預貸率68.3%は、本紀行で見てきた地方の信用組合のなかでも高い部類で、集めた預金の七割近くを地元に貸し出しています。あわせて、不良債権比率1.82%という低さは、その貸出が焦げ付きの少ない堅実なものであることを示します。よく貸し、かつ傷が少ない——小さな信組ながら、地元の商工業者に密着して堅実に貸してきた姿がうかがえます。

函館商工信用組合が貸す相手は、函館を中心とする道南の中小事業者です。水産・水産加工、観光に連なる宿や商業、まちの建設業などが、その融資先に含まれると考えられます。函館で唯一の地元本店金融機関として、まちの事業者に近い距離で資金を届けてきたことが、高い預貸率と低い不良債権を支えていると読めます。もちろん、これらの比率には個別の事情も絡むため断定はできませんが、港町・函館という土地を抜きに、この信組の数字は読めません。

函館商工信用組合が示すのは、港町の商工業者に密着して、よく貸し、傷を抑える小さな信組の姿です。函館で唯一の地元本店金融機関として、まちの事業者に近い距離で資金を届ける。高い預貸率と低い不良債権は、その密着の表れです。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。函館商工信用組合にとって、その「地元」とは、水産・観光・商業を柱とする道南・函館の経済です。函館で唯一の地元本店金融機関として、地区の商工業者に近い距離で向き合えることが、高い預貸率と低い不良債権という数字を形づくっていると読めます。

同じ道の、金融機関と並べてみる

同じ道南には、合併で生まれた道南うみ街信用金庫(預貸率38.7%)や、函館に根ざす渡島信用金庫(預貸率71.1%)があります。預貸率68.3%の函館商工信用組合は、これらと同じ港町を地盤としながら、規模も数字の形も異なります。道全体を相手にする北海道銀行(預貸率75.1%)とあわせて、道南の金融機関の姿は各記事もどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

預貸率68.3%という高さと、不良債権比率1.82%という低さは、港町・函館に根を張り、地元の商工業者に密着して堅実に貸してきた信組の姿を映しています。函館商工信用組合の数字は、唯一の地元本店金融機関として港町を支える信組の、いまの記録です。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方もどうぞ。北海道の他の金融機関は、北海道の地域金融機関のページもあわせてどうぞ。

函館商工信用組合と融資・保証のはなし

函館商工信用組合は、地元にしっかり貸す信用組合です。実際に借入れを考えるなら、土台になるのは事業の中身を伝える準備と、保証制度の理解。借りる側が知っておきたい融資・保証の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
函館商工信用組合の沿革(1956年設立、函館市に本店を置く唯一の金融機関であること、渡島・檜山を地区とすること)に関する記述=函館商工信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
函館市の港町としての歴史・水産・観光・商業に関する記述=各種公開情報。
北海道銀行・渡島信用金庫・道南うみ街信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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