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日高信用金庫——サラブレッドの里・浦河で、日高の信金は何に貸すか

預貸率58.2%、預金1,555億円、自己資本比率17.41%、不良債権比率3.52%。北海道浦河郡浦河町に本店を置く日高信用金庫。日本の競走馬の約8割を生む馬産地・日高に根ざす信金が、何に貸すのか。同じ北海道の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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北海道の浦河町に本店を置く日高信用金庫は、預金1,555億円を持つ信用金庫だ。店舗8。浦河町・新ひだか町・様似町を中心に、えりも町や広尾町、札幌市にも支店を置く。太平洋に面した、サラブレッドの里・日高に根ざしてきた信金だ。

本拠の日高地方は、日本の競走馬の約8割を生産する、国内随一の馬産地だ。浦河町をはじめ、新冠・新ひだか・様似といった町々に、約1,100戸の牧場と約2万頭の馬がいる。シンザンをはじめ数々の名馬を送り出してきた土地で、温暖な気候と雪の少なさが昔から馬を育ててきた。日高の農業生産額に占める競走馬の割合は6〜7割に達する。競走馬の生産・育成・販売を基軸に、種付け、装蹄、馬具、飼料、共済といった関連産業がクラスター的に集まる——日高信用金庫は、こうした馬の経済の土地・日高に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率58.2%という、信金として高めの水準と、自己資本比率17.41%という厚い資本の組み合わせだ。よく貸しながら、資本も厚い。不良債権比率は3.52%。なぜ、馬産地の信金は、こうした数字になるのか。同じ北海道の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。日高信用金庫の預金は1,555億円、貸出金は904億円。預貸率は58.2%で、預金の6割近くを貸出に回している。自己資本比率は17.41%、不良債権比率は3.52%。店舗数は8。

同じ北海道の信金と比べてみる。旭川を地盤とする旭川信用金庫(預貸率34.8%・自己資本17.82%)、日本海側の留萌信用金庫(預貸率51.6%・自己資本16.65%)と並べると、日高信用金庫の預貸率58.2%は最も高い。北海道の信金が3〜5割台にとどまるなか、6割近い水準は目を引く。しかも自己資本比率17.41%は厚い。よく貸しながら、厚い資本で備えている。馬産地という独特の産業基盤——競走馬の生産・育成には種付けや飼育に長い時間と資金がかかる——に応えながら、慎重に備えを積んできた姿が読み取れる。不良債権比率3.52%は、馬の経済とともに歩んできたことを映していると読める。

北海道の信用金庫(令和7年3月末)
 日高信用金庫旭川信用金庫留萌信用金庫
本店浦河町旭川市留萌市
預貸率58.2%34.8%51.6%
自己資本比率17.41%17.82%16.65%
不良債権比率3.52%3.09%2.66%

いずれも北海道の信金。日高は預貸率が最も高く、自己資本比率も厚い。よく貸して厚く備える姿勢がうかがえる。

浦河信用組合から——日高信用金庫の歩み

日高信用金庫は、1921年(大正10年)4月13日に浦河信用組合として設立された。1952年(昭和27年)、信用金庫に転換し日高信用金庫に改組した。浦河町に本店を置き、日高管内全域と、十勝南部・胆振東部・石狩の一部を営業区域とする。浦河町・様似町・えりも町では指定金融機関を務めている。創立60周年を記念して制定したシンボルマークは、青が太平洋と水産関連産業を、緑が日高山脈と農林・軽種馬関連産業を、白が市街地商工業と地域住民を表す。「地域にとってなくてはならない信用金庫」を経営理念に掲げ、2011年(平成23年)に創立90周年を迎えた。

馬産地・日高という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。競走馬の生産・育成・販売を基軸に、種付け、装蹄、馬具、飼料、共済といった関連産業が集まる。ただし、競走馬の生産には種付けからデビューまで約3年もの時間がかかり、しかも血統や相性に左右され、計算通りにいかない——企業的でありながら、リスクも大きい産業だ。日高信用金庫の預貸率58.2%という信金として高めの水準は、こうした馬産地の資金需要によく応えてきたことの表れだと読める。一方で、自己資本比率17.41%という厚い資本は、変動の大きい馬の経済を相手にするからこそ、慎重に備えを積んできたことの表れだと読める。よく貸しつつ、厚く備える——その両立が、この信金の数字に出ていると読める。

58.2%を、馬産地から読む

日高信用金庫の預貸率58.2%という、北海道の信金として高めの水準は、サラブレッドの里・日高で、馬産地の資金需要によく応えてきたことの表れだと読める。競走馬の生産・育成や、それを支える関連産業に、貸出は向かってきた。

そのうえで、自己資本比率17.41%という厚い資本が共存していることが、この信金の性格を物語る。よく貸す信金は資本が薄くなりがちだが、日高信用金庫はよく貸しながら厚い資本を保っている。計算通りにいかない馬の経済を相手にするからこそ、貸すことと備えることを両立させてきた——その姿勢が、58.2%と17.41%という二つの数字に表れていると読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

北海道の経済とともに

日高信用金庫の数字は、サラブレッドの里・日高という土地と、地域唯一の信金として歩んできた歴史の、両方を映している。馬産地の資金需要によく貸し、同時に厚い資本を保ちながら、日高の経済を支えてきた。計算通りにいかない馬の経済に向き合う姿勢が、58.2%という預貸率と17.41%という自己資本比率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。日高信用金庫を見れば、馬産地・日高の経済と、そこで地域に貸す信金の姿が浮かぶ。北海道の他の金融機関は、旭川の旭川信用金庫、日本海側の留萌信用金庫、米どころ深川の北空知信用金庫、道内最大の地銀北海道銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。北海道の他の金融機関と並べて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページへ。

日高信用金庫と融資のはなし

日高信用金庫は、馬産地・日高に深く根ざした信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。北海道の信金では3〜5割台にとどまることも多いなか、6割近い水準は、地域の事業者への貸出に積極的なことをうかがわせる。自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。旭川信用金庫・留萌信用金庫の数値も同出典。
沿革(1921年4月13日に浦河信用組合として設立、1952年に信用金庫に転換し日高信用金庫に改組したこと、浦河町に本店を置き浦河・様似・えりも町で指定金融機関であること、シンボルマークの青が太平洋と水産関連産業、緑が日高山脈と農林・軽種馬関連産業を表すこと、「地域にとってなくてはならない信用金庫」を経営理念とすること)=日高信用金庫および各種公開情報にもとづく。
浦河・日高の地理・産業(浦河町、日高地方、馬産地、サラブレッド・競走馬、日本の競走馬の約8割を生産、約1,100戸の牧場・約2万頭、種付け・育成・装蹄・馬具・飼料などの関連産業、農業生産額に占める競走馬の割合6〜7割)に関する記述=各種公開情報。

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