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北空知信用金庫——米どころ深川で、北空知唯一の信金は何に貸すか

預貸率57.9%、預金1,467億円、自己資本比率12.64%、不良債権比率1.96%。北海道深川市に本店を置く北空知信用金庫。「ゆめぴりか」「ななつぼし」を生む米どころ・北空知に根ざし、地域唯一の中小企業専門金融機関として何に貸すのか。同じ北海道の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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北海道の深川市に本店を置く北空知信用金庫は、預金1,467億円を持つ信用金庫だ。店舗14。深川市を中心に、北空知地域に店舗を構える。札幌から旭川へ向かう途中、石狩川の上流域に広がる米どころ・北空知に根ざしてきた信金だ。北空知地域で唯一の中小企業専門金融機関でもある。

本拠の深川市は、北海道有数の米どころとして知られる。石狩川とその支流が育てた肥沃な土地は、北海道を代表するブランド米「ゆめぴりか」「ななつぼし」の主要産地のひとつだ。隣接する幌加内町は、そばの作付面積・収穫量が日本一を誇る。深川・北空知一帯は、米とそばに代表される農業の土地であり、その農業を支える関連産業や、地域の暮らしを支える商工業が広がる。北空知信用金庫は、こうした米とそばの土地・北空知に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率57.9%という、農村部の信金として高めの水準と、不良債権比率1.96%という低さだ。よく貸し、焦げ付きは少ない。自己資本比率は12.64%と厚い。なぜ、米どころの信金は、こうした数字になるのか。同じ北海道の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。北空知信用金庫の預金は1,467億円、貸出金は849億円。預貸率は57.9%で、預金の6割近くを貸出に回している。自己資本比率は12.64%、不良債権比率は1.96%。店舗数は14、中小企業等への貸出残高は762億円。

同じ北海道の信金と比べてみる。旭川を地盤とする旭川信用金庫(預貸率34.8%・自己資本17.82%)、日本海側の留萌信用金庫(預貸率51.6%・自己資本16.65%)、オホーツクの北見信用金庫(預貸率36.3%)と並べると、北空知信用金庫の預貸率57.9%は際立って高い。北海道の信金は預貸率が3〜5割台にとどまることが多いなか、6割近い水準は目を引く。しかも不良債権比率1.96%は、この四者のなかで最も低い。よく貸して、なお焦げ付きが少ない——米どころの安定した産業基盤が、この数字を支えていると読める。中小企業等への貸出残高762億円は貸出金の9割近くを占め、地域の事業者に深く貸す姿が読み取れる。

北海道の信用金庫(令和7年3月末)
 北空知信用金庫留萌信用金庫旭川信用金庫
本店深川市留萌市旭川市
預貸率57.9%51.6%34.8%
自己資本比率12.64%16.65%17.82%
不良債権比率1.96%2.66%3.09%

いずれも北海道の信金。北空知は規模では小さめだが、預貸率は高く、不良債権比率は最も低い。

北空知信用組合から——北空知信用金庫の歩み

北空知信用金庫は、1950年(昭和25年)に北空知信用組合として設立された。1952年(昭和27年)、信用金庫法に基づいて北空知信用金庫となった。略称は「きたしん」。深川市に本店を置き、北空知地域で唯一の中小企業専門金融機関として、地域の農業関連産業や商工業を支えてきた。石狩川上流域の米どころに根ざし、地域の経済と暮らしに密着した経営を続けている。

米どころ・北空知という土地は、信用金庫にとって安定した地盤だ。米とそばを中心とする農業と、それを支える関連産業、地域の商工業——派手さはないが、土地に根づいた堅実な経済が広がる。地域で唯一の中小企業専門金融機関として、北空知信用金庫はこの土地の事業者に貸し続けてきた。預貸率57.9%という、農村部の信金としては高めの水準は、米どころの安定した資金需要によく応えてきたことの表れだと読める。不良債権比率1.96%という低さは、地に足のついた地域経済のなかで、堅実に貸してきたことを映していると読める。地域唯一の信金であるからこそ、地域とともに健全であろうとする経営が、この数字に表れていると読める。

57.9%を、米どころから読む

北空知信用金庫の預貸率57.9%という、北海道の信金として際立って高い水準は、米どころ・北空知の安定した産業基盤のうえで、地域の事業者によく貸してきたことの表れだと読める。「ゆめぴりか」「ななつぼし」を生む土地の農業関連産業や商工業に、貸出は向かってきた。

そのうえで、不良債権比率1.96%という低さと、自己資本比率12.64%という厚さが共存していることが、この信金の性格を物語る。よく貸す信金は焦げ付きが増えがちだが、北空知信用金庫はよく貸して、なお焦げ付きが少ない。地域唯一の信金として、地に足のついた米どころの経済とともに健全であり続けてきた——その姿勢が、57.9%という高い預貸率と、1.96%という低い不良債権比率に表れていると読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

北海道の経済とともに

北空知信用金庫の数字は、米とそばの土地・北空知という地盤と、地域唯一の信金として歩んできた歴史の、両方を映している。地域の事業者によく貸し、低い焦げ付きと厚い資本を保ちながら、米どころの経済を支えてきた。石狩川が育てた米どころの安定が、57.9%という高い預貸率と1.96%という低い不良債権比率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。北空知信用金庫を見れば、米どころ・北空知の経済と、そこで地域に貸す唯一の信金の姿が浮かぶ。北海道の他の金融機関は、旭川の旭川信用金庫、日本海側の留萌信用金庫、オホーツクの北見信用金庫、道内最大の地銀北海道銀行、道東の大地みらい信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。北海道の他の金融機関と並べて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページへ。

北空知信用金庫と融資のはなし

北空知信用金庫は、米どころ・北空知に深く根ざした、地域唯一の信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。北海道の信金では3〜5割台にとどまることも多いなか、6割近い水準は、地域の事業者への貸出に積極的なことをうかがわせる。不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。留萌信用金庫・旭川信用金庫の数値も同出典。
沿革(1950年に北空知信用組合として設立、1952年に信用金庫法に基づき北空知信用金庫となったこと、略称が「きたしん」であること、北空知地域で唯一の中小企業専門金融機関であること)=北空知信用金庫および各種公開情報にもとづく。
深川・北空知の地理・産業(深川市、北空知、石狩川、米どころ、ゆめぴりか、ななつぼし、幌加内町のそば作付面積・収穫量が日本一であること)に関する記述=各種公開情報。

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