北見信用金庫——ハッカと玉ねぎのオホーツクで、きたしんは何に貸すか
預貸率36.3%、預金5,737億円、自己資本比率15.42%、不良債権比率6.34%。北海道北見市に本店を置く北見信用金庫。オホーツクの中核都市・北見に根ざし、道内信金有数の規模を持つ信金が、何に貸すのか。同じオホーツクの信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
- 2026.06.19【保証協会】26年度補正予算成立、セーフティネット保証5号の事前相談を開始。指定業種で、直近月の売上高が前年同月比で5%以上減少等の要件(経産省PDF)を満たす中小事業者が対象。
北海道の北見市に本店を置く北見信用金庫は、預金5,737億円を持つ信用金庫だ。店舗29。「きたしん」の呼び名で知られ、北見市と常呂郡を中心に、紋別・帯広・旭川・釧路・名寄・札幌にも店舗を構える。オホーツク圏の中核都市・北見に根ざし、道内の信用金庫でも有数の規模を持つ信金だ。
本拠の北見市は、オホーツク海に近い内陸の中核都市だ。かつては世界のハッカ(薄荷)生産の大半を占めた「ハッカの町」として知られ、いまも玉ねぎの生産量は全国有数を誇る。広大な畑作・酪農地帯を背後に抱え、農産物の加工・流通の拠点として発展してきた。冬は厳しく冷え込み、夏との寒暖差が大きい内陸性の気候だ。北見信用金庫は、こうした農と食のオホーツク圏に根ざしてきた信金だ。
この信金の数字で目を引くのは、預貸率36.3%という低い水準と、自己資本比率15.42%という厚い資本だ。預金の3分の1ほどしか貸出に回しておらず、資本は厚い。不良債権比率は6.34%とやや高い。なぜ、オホーツクの大型信金は、こうした数字になるのか。同じ北海道の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。北見信用金庫の預金は5,737億円、貸出金は2,082億円。預貸率は36.3%で、預金の3分の1ほどを貸出に回している。自己資本比率は15.42%、不良債権比率は6.34%。店舗数は29、中小企業等への貸出残高は1,771億円。
同じオホーツク圏で、流氷の街・網走を地盤とする網走信用金庫(預貸率34.7%・自己資本34.06%)や、農林業の地・遠軽の遠軽信用金庫(預貸率48.4%・自己資本21.93%)と比べると、オホーツクの信金はそろって預貸率が低い。北見信用金庫の預貸率36.3%は、網走信用金庫(34.7%)と並んで低い水準にある。豊富な預金が集まる一方、広大だが人口の薄い土地では貸出先が限られる——オホーツクという地盤が、これらの信金に共通する低い預貸率を生んでいると読める。北見信用金庫は規模で道内信金有数だが、自己資本比率15.42%は網走信用金庫(34.06%)ほど突出してはおらず、より積極的に貸している分、不良債権比率6.34%もやや高めだ。
| 北見信用金庫 | 網走信用金庫 | 遠軽信用金庫 | |
|---|---|---|---|
| 本店 | 北見市 | 網走市 | 遠軽町 |
| 預貸率 | 36.3% | 34.7% | 48.4% |
| 自己資本比率 | 15.42% | 34.06% | 21.93% |
| 不良債権比率 | 6.34% | — | 0.58% |
いずれもオホーツク圏に根ざす信金。預貸率は3〜4割台と低く、広大だが人口の薄い土地で貸出先が限られることを映している。北見は規模で道内有数。
北見信用組合から——北見信用金庫の歩み
北見信用金庫は、1942年(昭和17年)に北見信用組合となり、1951年(昭和26年)、信用金庫法に基づき信用金庫に転換して北見信用金庫となった。本店はかつて市街中心部にあったが、2006年(平成18年)11月、JR北見駅前の旧百貨店跡地に新築移転した。北海道拓殖銀行が経営破綻したのち、北見市の新たな指定金融機関に選ばれ、北見市のほか津別町・訓子府町・置戸町でも指定金融機関を務めている。2009年(平成21年)11月には紋別信用金庫を合併し、これにより預金残高は北海道内の信用金庫で第4位の規模となった。近年は札幌市中央区に事業性融資に特化した札幌支店を開設するなど、地盤のオホーツクを越えた展開も進めている。
オホーツクという土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。広大な畑作・酪農地帯と食品加工業、北見の商業——事業者は広がるが、人口は薄く、土地は広い。農協(JA)が農業金融に強く根を張る地域でもある。豊富な預金が集まる一方、信用金庫として貸せる相手は限られる——その結果が、預貸率36.3%という低い水準と、自己資本比率15.42%という厚い資本に表れていると読める。預金を貸出に振り向けきれない分、運用と資本の蓄積に回ってきた、と読める。不良債権比率6.34%は、一次産業の波を抱える土地で地域とともに歩んできたことを映していると読める。
36.3%を、オホーツクから読む
北見信用金庫の預貸率36.3%という低い水準は、豊富な預金が集まる一方、広大だが人口の薄いオホーツクでは貸出先が限られることの表れだと読める。畑作・酪農・食品加工のオホーツクは、農協も強く根を張る土地だ。道内有数の規模を持つ北見信用金庫でも、預金の3分の1ほどしか貸出に回っていない。
自己資本比率15.42%という厚い資本は、貸出に向かいきれない資金が運用と蓄積に回ってきたことの表れだと読める。不良債権比率6.34%という焦げ付きは、一次産業の波を抱える土地で地域とともに歩んできたことを映していると読める。ハッカと玉ねぎのオホーツクに根ざし、道内有数の規模で地域を支える——それが、北見信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
北海道の経済とともに
北見信用金庫の数字は、農と食のオホーツク圏という土地と、合併を経て道内有数の規模に育った信金の歴史の、両方を映している。豊富な預金を集めながら預金の3分の1ほどを地元に貸し、厚い資本を保ちつつ、オホーツクの事業者を支えてきた。畑作・酪農・食品加工の経済が、36.3%という低い預貸率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。北見信用金庫を見れば、オホーツクの経済と、そこで地域に貸す大型信金の姿が浮かぶ。北海道の他の金融機関は、流氷の街の網走信用金庫、農林業の地の遠軽信用金庫、十勝の帯広信用金庫、道都の北海道銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。北海道の他の金融機関と並べて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページへ。
北見信用金庫は、オホーツクに深く根ざした信用金庫です。預金が貸出を大きく上回る信金では、資金の運用も経営の柱になります。口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。網走信用金庫・遠軽信用金庫の数値も同出典。
沿革(1942年(昭和17年)に北見信用組合となり、1951年(昭和26年)に信用金庫法に基づき北見信用金庫に改組したこと、2006年11月にJR北見駅前へ本店を新築移転したこと、北海道拓殖銀行の破綻後に北見市の指定金融機関に選ばれ津別町・訓子府町・置戸町でも指定金融機関であること、2009年11月に紋別信用金庫を合併し預金残高が道内信金第4位の規模となったこと、北見市・常呂郡を中心に紋別・帯広・旭川・釧路・名寄・札幌にも店舗をもち計29本支店であること、札幌支店を事業性融資特化で開設したこと、「きたしん」と呼ばれること)=北見信用金庫および各種公開情報にもとづく。
北見・オホーツクの地理・産業(北見、オホーツク、ハッカ、玉ねぎ、畑作、酪農、食品加工、常呂郡)に関する記述=各種公開情報。
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