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姫路信用金庫——城下町のもう一つの信金は、何を抱えて貸すか

預貸率56.3%、預金9,489億円、自己資本比率11.17%、不良債権比率6.45%。姫路市に本店を置く姫路信用金庫。播磨の城下町・姫路に根ざす信金が、よく貸しながら何を抱えるのか。同じ姫路の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 兵庫県

兵庫県の姫路市に本店を置く姫路信用金庫は、預金9,489億円を持つ信用金庫だ。店舗46。姫路市を中心に、播磨地域を地盤としている。預金1兆円に迫る、兵庫県内でも大型の信金だ。地元では「ひめしん」と呼ばれる。

本拠の姫路市は、世界遺産・姫路城で知られる、播磨地域の中心都市だ。城下町として開けた商業の集積地であり、臨海部には製鉄をはじめとする重化学工業が広がる。周辺の播磨一帯には、皮革・地場産業や中小製造業が層をなす。姫路は、神戸・大阪とは別に、播磨という独自の経済圏の中心をなしている。姫路信用金庫は、こうした播磨の城下町・姫路に根ざし、地域の中小・零細事業者を支えてきた信金だ。この姫路には、もう一つの大型信金がある。同じ姫路市に本店を置く播州信用金庫だ。

この信金の数字で目を引くのは、不良債権比率6.45%という高めの数字だ。預貸率56.3%で預金の6割近くを貸出に回す一方、焦げ付きはやや高い。なぜ、姫路の大型信金は、こうした数字になるのか。同じ姫路を地盤とする信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。姫路信用金庫の預金は9,489億円、貸出金は5,341億円。預貸率は56.3%で、預金の6割近くを貸出に回している。自己資本比率は11.17%、不良債権比率は6.45%。店舗数は46、中小企業等への貸出残高は4,756億円。

同じ姫路市に本店を置く播州信用金庫(預貸率60.6%・不良債権比率5.26%)と比べると、両者は姫路を地盤とする二つの大型信金だ。預貸率は播州信用金庫(60.6%)が姫路信用金庫(56.3%)をやや上回るが、どちらも預金の6割前後を貸出に回している。不良債権比率は姫路信用金庫(6.45%)が播州信用金庫(5.26%)を上回り、どちらも5%を超えるやや高めの水準だ。姫路という同じ城下町を、二つの大型信金がよく貸して支えている。播磨の中小・零細事業者に深く貸すぶん、地域の事業の浮き沈みを引き受け、焦げ付きもやや高めになっていると読める。一方、自己資本比率は姫路信用金庫(11.17%)が播州信用金庫(10.0%)をやや上回り、姫路信用金庫のほうが資本にやや厚みがある。

姫路市を地盤とする二つの信用金庫(令和7年3月末)
 姫路信用金庫播州信用金庫
本店姫路市姫路市
預金9,489億円1兆2,396億円
預貸率56.3%60.6%
自己資本比率11.17%10.0%
不良債権比率6.45%5.26%

ともに姫路市に本店を置く二つの大型信金。どちらもよく貸し、焦げ付きはやや高め。姫路信用金庫のほうが資本にやや厚みがある。播磨の城下町を二つの信金が支える姿が数字に表れている。

播磨の城下町・姫路とともに——姫路信用金庫の歩み

姫路信用金庫は、播磨の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。姫路の城下町の商店、臨海部の重化学工業に関わる事業者、播磨の皮革・地場産業、地場の中小製造業、そして住民——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。姫路信用金庫は、合併を経て、播磨に広く根ざす大型信金へと成長してきた。同じ姫路市に本店を置く播州信用金庫とともに、姫路には二つの大型信金が並び立っている。

播磨という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要のある地盤だ。姫路の城下町の商業、臨海部の重化学工業、皮革をはじめとする地場産業と、多様な業種が広がる。地元の中小に密着し、会員との関係のもとで深く貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率56.3%という水準を支えている。一方、地場産業や中小製造業は景気や産業構造の変化を受けやすく、不良債権比率6.45%という高めの数字に、その浮き沈みが映っていると読める。同じ姫路の播州信用金庫も不良債権比率は5.26%で、播磨の信金がともに一定の焦げ付きを抱えるのは、この地域に深く貸す信金の宿命でもある。

6.45%を、播磨から読む

姫路信用金庫の不良債権比率6.45%という高めの数字は、播磨の城下町・姫路で、よく貸すなかで地域の中小・零細事業者の浮き沈みを引き受けてきたことの表れだと読める。姫路の城下町の商業、臨海部の重化学工業、皮革・地場産業が広がる播磨は、信用金庫が貸す相手に事欠かない一方、景気や産業構造の変化のなかで返済の滞る先も出やすい。姫路信用金庫は、預貸率56.3%で預金の6割近くを地元に貸し、地域の事業を支えるぶん、焦げ付きも一定程度抱えてきた。

自己資本比率11.17%という水準は、信用金庫の国内基準4%を上回り、同じ姫路の播州信用金庫(10.0%)よりやや厚い。この資本の厚みが、6.45%という焦げ付きを吸収する備えとなっていると読める。播磨の城下町で会員の中小によく貸し、地域の浮き沈みを引き受けながら、資本で守りを固める——それが、姫路信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。播磨を支える大型信金の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

兵庫の経済とともに

姫路信用金庫の数字は、播磨の城下町・姫路という土地と、そこで会員の中小によく貸す大型信金の歩みの、両方を映している。預金の6割近くを地元の会員に貸し、姫路の商業、臨海部の重化学工業、播磨の地場産業を支えてきた。よく貸すぶん焦げ付きはやや高めだが、資本の厚みでそれを支えてきた。播磨の独自の経済圏が、56.3%という預貸率と、6.45%という焦げ付きに表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。姫路信用金庫を見れば、播磨の城下町・姫路の経済と、そこで会員によく貸す大型信金の姿が浮かぶ。兵庫県の他の金融機関は、同じ姫路の播州信用金庫、県北部の但馬信用金庫、尼崎の尼崎信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。兵庫県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、兵庫県の地域金融機関のページへ。

不良債権比率とは 不良債権比率とは、貸出金などの債権のうち、返済が滞るなどして回収に懸念のある債権の占める割合。比率が高いほど、焦げ付きのリスクを抱えていることを示す。ただし、比率の高さは必ずしも貸し方の甘さを意味しない。地域に密着して中小・零細事業者によく貸す信用金庫は、地域の事業者の浮き沈みを引き受けるぶん、焦げ付きを一定程度抱えやすい。自己資本比率とあわせて見ることで、その焦げ付きを吸収できる備えがあるかが見えてくる。 → あわせて「預貸率の読み方」もどうぞ

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。播州信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(姫路市に本店を置き、播磨地域を地盤とする信用金庫であること、合併を経て播磨に広く根ざす大型信金になったこと、同じ姫路市に播州信用金庫も本店を置くこと、姫路が世界遺産・姫路城で知られる播磨の中心都市で城下町として開けた商業の集積地であること、臨海部に製鉄をはじめとする重化学工業が広がり、播磨一帯に皮革・地場産業や中小製造業が層をなすこと)に関する記述=姫路信用金庫および各種公開情報にもとづく。
姫路・播磨の地理・経済(姫路、姫路城、播磨、城下町、重化学工業、製鉄、皮革、地場産業)に関する記述=各種公開情報。

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