¥Today ニホン銀行紀行

兵庫県信用組合——神戸の信組は、なぜよく貸しながら厚い資本を持つのか

預貸率64.5%、預金4,115億円、自己資本比率16.71%。神戸市に本店を置く兵庫県信用組合。兵庫に根ざす「けんしん」が、なぜよく貸しながら厚い自己資本を持つのか。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 兵庫県

兵庫県の神戸市に本店を置く兵庫県信用組合は、地元で「けんしん」と呼ばれる信用組合だ。預金4,115億円、店舗24。神戸市を中心に、兵庫県の各地を地盤としている。県名を冠する、兵庫県を代表する信用組合の一つだ。

本拠の神戸は、古くからの国際港湾都市だ。開港以来、貿易と海運で栄え、いまも兵庫県の県都として、商業・サービス業・製造業が集積する。県内には、神戸の都市部に加え、阪神間の市街地、播磨の工業地帯、但馬・淡路などの地方部まで、多様な経済圏が広がる。兵庫県信用組合は、こうした国際港湾都市・神戸を中心に、兵庫の中小・零細事業者を支えてきた信用組合だ。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率64.5%という高さと、自己資本比率16.71%という厚さの両立だ。よく貸しながら、自己資本も厚い。よく貸す金融機関は資本の厚みが控えめになりがちだが、兵庫県信用組合は両方を高い水準で保っている。なぜ、神戸の信組は、よく貸しながら厚い資本を持つのか。数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。兵庫県信用組合の預金は4,115億円、貸出金は2,652億円。預貸率は64.5%で、預金の6割超を貸出に回している。自己資本比率は16.71%と厚く、不良債権比率は5.17%。店舗数は24、中小企業等への貸出残高は2,558億円。

注目すべきは、預貸率64.5%という高さと、自己資本比率16.71%という厚さが両立していることだ。信用組合として、組合員である中小・零細事業者によく貸しながら、同時に厚い自己資本を保つのは、容易なことではない。よく貸せば、それだけ焦げ付きのリスクを抱え、資本が削られやすい。兵庫県信用組合の不良債権比率5.17%という数字は、よく貸すなかで一定の焦げ付きを抱えていることを示すが、それでも16.71%という厚い自己資本を保っている。これは、長年にわたり利益を着実に資本として積み重ねてきたことの表れだと読める。国際港湾都市・神戸という、資金需要の厚い土地で、よく貸しながらも堅実に資本を蓄えてきたと読める。

兵庫県信用組合の主要指標(令和7年3月末)
預金4,115億円
貸出金2,652億円
預貸率64.5%
自己資本比率16.71%
不良債権比率5.17%
店舗数24
中小企業等貸出残高2,558億円

預貸率64.5%でよく貸しながら、自己資本比率16.71%という厚みも保つ。よく貸す姿勢と厚い資本の両立が、長年の堅実な歩みとして数字に表れている。

国際港湾都市・神戸とともに——兵庫県信用組合の歩み

兵庫県信用組合は、神戸の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。港町の商店、阪神間の事業者、播磨の工場、地方部の中小事業者、そして住民——こうした人々が組合員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。兵庫県信用組合は、合併を経て、兵庫県内に広く根ざす信用組合へと成長してきた。

神戸・兵庫という土地は、信用組合にとって、組合員の資金需要の厚い地盤だ。国際港湾都市・神戸の商業、阪神間の事業、播磨の製造業——多様な経済圏に、中小・零細事業者が層をなす。地元の中小に密着し、組合員との関係のもとで深く貸す——この信用組合ならではの貸し方が、預貸率64.5%という高さの背景にあると読める。そして、よく貸しながらも、長年にわたり利益を着実に資本として積み、16.71%という厚い自己資本を築いてきたと読める。

16.71%の資本を、神戸の信組から読む

兵庫県信用組合の自己資本比率16.71%という厚さは、よく貸しながらも、長年にわたり利益を着実に資本として積み重ねてきたことの表れだと読める。預貸率64.5%でよく貸す信用組合が、これほど厚い自己資本を保つのは、資金需要の厚い神戸・兵庫の地で堅実に営みを重ね、利益を蓄えてきたからだと読める。よく貸す姿勢と厚い資本の両立は、地域の中小を支えながら、自らの足腰も固めてきたことを示す。

不良債権比率5.17%という数字は、よく貸すなかで一定の焦げ付きを抱えていることを示すが、16.71%という厚い自己資本が、これを十分に吸収できる。神戸で組合員の中小に深く貸し、資金需要によく応えながら、厚い自己資本で守りも固める——それが、兵庫県信用組合の数字に表れた生き方だと読める。よく貸すが堅実、という両立は、資金需要の厚い大都市に根ざす信用組合の一つの到達点だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

兵庫の経済とともに

兵庫県信用組合の数字は、国際港湾都市・神戸という土地と、そこで組合員の中小に深く貸しながら厚い自己資本を積む信組の歩みの、両方を映している。預金の6割超を地元の組合員に貸しながら、厚い自己資本で守りも固めてきた。多様な経済圏を抱える兵庫の経済が、64.5%という高い預貸率と、16.71%という厚い自己資本に表れている。

銀行や信用金庫・信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。兵庫県信用組合を見れば、国際港湾都市・神戸の経済と、そこで組合員に深く貸す信組の姿が浮かぶ。兵庫県の他の金融機関は、姫路の兵庫信用金庫、但馬の但馬信用金庫、丹波の中兵庫信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。兵庫県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、兵庫県の地域金融機関のページへ。

自己資本比率とは 自己資本比率とは、金融機関の総資産に対する自己資本の割合。損失が出たときに、自前の資本でどれだけ吸収できるかを示す、健全性の目安の一つだ。信用組合には国内基準で4%以上が求められる。よく貸す金融機関は焦げ付きのリスクを抱え、資本が削られやすいが、長年にわたり利益を着実に積み重ねれば、よく貸しながら厚い自己資本を保つこともできる。預貸率とあわせて見ることで、その両立の度合いが見えてくる。 → あわせて「預貸率の読み方」もどうぞ

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。
沿革・地域(神戸市に本店を置き、兵庫県内を地盤とする信用組合であること、合併を経て県内に広く根ざす信用組合になったこと、神戸が開港以来の国際港湾都市で兵庫県の県都であること、県内に神戸都市部・阪神間・播磨の工業地帯・但馬・淡路など多様な経済圏が広がること)に関する記述=兵庫県信用組合および各種公開情報にもとづく。
神戸・兵庫の地理・経済(神戸港、開港、阪神間、播磨、但馬、淡路、製造業)に関する記述=各種公開情報。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ