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西兵庫信用金庫——播磨の山里・宍粟で、にししんはなぜ資本が厚いか

預貸率40.8%、預金5,456億円、自己資本比率21.06%、不良債権比率4.61%。兵庫県宍粟市に本店を置く西兵庫信用金庫。播磨の山里・宍粟に根ざし、海の播磨まで広がる「にししん」が、なぜこれほど厚い資本を持つのか。同じ兵庫の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 兵庫県

兵庫県の宍粟市山崎町に本店を置く西兵庫信用金庫は、預金5,456億円を持つ信用金庫だ。店舗27。地元で「にししん」と呼ばれ、本店のある宍粟市から、佐用町・たつの市・姫路市・相生市・赤穂市・明石市、そして神戸市西区まで、西播磨一帯を事業区域とする。播磨の山里・宍粟に根ざす信金だ。

本拠の宍粟市は、兵庫県の南西部、中国山地の山あいに広がる。市域の大半を森林が占める林業のまちであり、揖保川・千種川の源流域にあたる。良質な水と気候に恵まれ、酒米・山田錦の産地としても知られ、播磨の酒造りを支えてきた。中心の山崎町は、かつて山崎藩の陣屋町として栄えた在郷町だ。この山里に本店を置きながら、西兵庫信用金庫は南へ——たつの・姫路・赤穂・明石、さらに神戸西区まで、瀬戸内の海沿いの街へと事業区域を広げてきた。山に生まれ、海へ広がった信金だ。宍粟市の指定金融機関も務めている。

この信金の数字で際立つのは、自己資本比率21.06%という厚さだ。預金5,456億円という規模に対し、資本を極めて手厚く積んでいる。預貸率は40.8%で、預金の4割ほどを貸出に回している。山里に生まれた信金は、なぜこれほど資本を厚く保つのか。同じ兵庫の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。西兵庫信用金庫の預金は5,456億円、貸出金は2,225億円。預貸率は40.8%で、預金の4割ほどを貸出に回している。自己資本比率は21.06%、不良債権比率は4.61%。店舗数は27。

同じ兵庫県の信金と比べてみる。姫路を地盤とする姫路信用金庫(預貸率56.3%・預金9,489億円)、同じく姫路の播州信用金庫(預貸率60.6%・預金1兆2,396億円)、兵庫信用金庫(預貸率43.9%)と並べると、西兵庫信用金庫の預貸率40.8%は、これらの信金のなかで最も低い。姫路・播州が瀬戸内沿岸の都市部でよく貸して5~6割台なのに対し、西兵庫は4割台にとどまる。一方で自己資本比率21.06%は、これらの信金(10~11%台)の倍近い厚さだ。本店を播磨の山里に置き、人口減少が進む中山間地を地盤の一角とするぶん、大型の資金需要は乏しい。だから貸出を抑えめにして、資本を極めて厚く積む。不良債権比率4.61%は標準的で、堅実に貸してきたことをうかがわせる。

兵庫県の信用金庫(令和7年3月末)
 西兵庫信用金庫姫路信用金庫播州信用金庫兵庫信用金庫
本店宍粟市姫路市姫路市姫路市
預貸率40.8%56.3%60.6%43.9%
自己資本比率21.06%11.17%10.0%11.9%
不良債権比率4.61%6.45%5.26%5.26%

いずれも兵庫県の信金。西兵庫は預貸率が最も低い一方、自己資本比率は他の倍近い。山里を地盤とする守りの経営を映す。

山崎信用組合から——西兵庫信用金庫の歩み

西兵庫信用金庫は、1948年(昭和23年)8月、「保証責任山崎信用組合」として設立された。本拠・山崎町の名を冠した組合だった。1951年(昭和26年)8月に宍粟信用組合へ改称し、同年12月、信用金庫法に基づき宍粟信用金庫に改組した。そして1972年(昭和47年)12月、瀬戸内の海沿いへと事業区域を広げるなかで、より広域を表す「西兵庫信用金庫」に改称した。本店は宍粟市山崎町に置かれ、略称は「にししん」。「地域と共生し豊かな街づくりに奉仕する」を経営理念に掲げ、近年は事業承継支援にも力を入れている。

山に生まれ、海へ広がった——という歩みが、この信金の性格を形づくっている。本店のある宍粟は、森林と酒米の山里であり、人口減少が進む中山間地だ。そこに大型の資金需要は乏しい。一方、事業区域を広げた先の姫路・たつの・赤穂・明石・神戸西区は、瀬戸内沿岸の都市部であり、商工業が集積する。山里の堅実な預金基盤を抱えつつ、海沿いの都市部で貸出先を求める——その構造のなかで、西兵庫信金は貸出を無理に伸ばさず、資本を極めて厚く積んできた。自己資本比率21.06%という、県内の信金で突出した厚さは、本拠の山里を地盤としながら健全性を最優先する姿勢の表れだと読める。預貸率40.8%という低さは、山里に大型の資金需要が乏しいことと、無理に貸さない堅実さの、両方を映していると読める。不良債権比率4.61%という標準的な数字は、堅実に貸してきたことを裏づけている。

40.8%を、播磨の山里から読む

西兵庫信用金庫の預貸率40.8%という低さと、自己資本比率21.06%という突出した厚さの組み合わせは、森林と酒米の山里・宍粟に本店を置き、海沿いの都市部まで広がりながらも、貸出を抑えめにして資本を極めて厚く積んできたことの表れだと読める。山里には大型の資金需要が乏しい。だから預金は集まっても、貸出は預金の4割ほど。残りを運用と、分厚い資本の備えに回す。

姫路・播州といった瀬戸内沿岸の信金がよく貸して5~6割台なのに対し、本拠を山里に置く西兵庫は、貸出を抑え、資本を倍近く厚く保つ。無理に貸さず、健全性を最優先し、地域とともに生き残る——その守りの経営が、21.06%という突出した自己資本に表れていると読める。播磨の山里・宍粟で、にししんは西播磨の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

兵庫の経済とともに

西兵庫信用金庫の数字は、森林と酒米の山里・宍粟という土地と、山に生まれて海へ広がってきた歴史の、両方を映している。播磨の山里に本店を置きながら、瀬戸内の都市部まで事業区域を広げ、貸出を抑えめにして資本を極めて厚く積んできた。山里を地盤とする土地柄が、40.8%という低い預貸率と、21.06%という突出した自己資本に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。西兵庫信用金庫を見れば、播磨の山里・宍粟の経済と、そこで資本を厚く保って地域を守る信金の姿が浮かぶ。兵庫県の他の金融機関は、姫路の姫路信用金庫、同じく姫路の播州信用金庫兵庫信用金庫、但馬の但馬信用金庫、神戸のみなと銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。兵庫県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、兵庫県の地域金融機関のページへ。

西兵庫信用金庫と融資のはなし

西兵庫信用金庫は、播磨の山里・宍粟に根ざし、厚い資本を抱えて堅実に貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。4割台という水準は、中山間地など大型の資金需要が乏しい地を地盤とすることや、貸出を抑えて資本を厚く保つ守りの経営の表れであることが多い。とりわけ自己資本比率が極めて高い場合、その傾向が強い。自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。姫路信用金庫・播州信用金庫・兵庫信用金庫の数値も同出典。
沿革(1948年8月に「保証責任山崎信用組合」として設立されたこと、1951年8月に宍粟信用組合へ改称し同年12月に宍粟信用金庫へ改組したこと、1972年12月に西兵庫信用金庫へ改称したこと、本店が宍粟市山崎町にあること、宍粟市の指定金融機関であること、西播磨一帯を事業区域とすること、略称が「にししん」であること)=西兵庫信用金庫および各種公開情報にもとづく。
宍粟・西播磨の地理・産業(宍粟市、山崎町、中国山地、林業、揖保川・千種川源流、酒米・山田錦、山崎藩陣屋町、たつの・姫路・赤穂・明石・神戸西区)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。

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