鹿児島興業信用組合——桜島のまち・鹿児島で、こうしんは何に貸すか
預貸率69.3%、自己資本比率9.93%、不良債権比率7.16%。鹿児島市に本店を置く鹿児島興業信用組合「こうしん」。鹿児島県信用組合を合併し、桜島を望む南九州の中小に貸す信組の数字を読みます。
- 2026.06.19【保証協会】26年度補正予算成立、セーフティネット保証5号の事前相談を開始。指定業種で、直近月の売上高が前年同月比で5%以上減少等の要件(経産省PDF)を満たす中小事業者が対象。
鹿児島県鹿児島市に本店を置く鹿児島興業信用組合は、預金1,357億円、貸出金941億円、店舗25。「こうしん」の愛称で、鹿児島市を中心に、鹿児島県内を広く地盤とする信用組合です。
地盤とする鹿児島は、九州の南端、活火山・桜島を望む錦江湾に面したまちです。県都・鹿児島市を中心に、商業・サービス業が集積する一方、県全体では農業・畜産・水産といった一次産業も基幹を成す南九州の中心地です。離島を多く抱え、地域ごとに産業の色合いが異なるのも、この県の特徴です。県内に25もの店舗を構えて広く地域を支える——この、県都と多様な地域を併せ持つ土地柄が、鹿児島興業信用組合の数字を読む鍵になります。
この信用組合は、1953年に設立されました。2008年には鹿児島県信用組合を合併し、県内に広く地盤を持つ信用組合へと歩みを広げています。数字の面で目を引くのは、預貸率69.3%という高さです。
まず、数字を並べる
鹿児島興業信用組合の預金は1,357億円、貸出金は941億円、預貸率69.3%。自己資本比率は9.93%、不良債権比率は7.16%。中小企業等向けの貸出先は8,521件です。
| 預金 | 1,357億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 941億円 |
| 預貸率 | 69.3% |
| 自己資本比率 | 9.93% |
| 不良債権比率 | 7.16% |
| 中小企業等向け貸出先 | 8,521件 |
| 店舗 | 25店 |
預貸率69.3%・店舗25。桜島のまちで中小に貸す信組の数字を読む。
69.3%を、桜島のまちから読む
預貸率69.3%は、本紀行で見てきた信用組合・信用金庫のなかでも高い部類です。預金として集めた資金の七割近くを貸出に回しており、地元の中小事業者にしっかり資金を供給していることがうかがえます。地方では「預金は集まるが貸し先が限られる」という構図から預貸率が低くとどまる信金・信組も多いなかで、鹿児島興業信用組合の69.3%は、貸出に積極的な姿勢を示しています。
鹿児島興業信用組合が貸す相手は、鹿児島市を中心とする県内の中小事業者です。商業やサービス業、建設業、そして県内各地の農業・畜産・水産に連なる事業者が、その融資先に含まれると考えられます。8,521件という中小企業等向けの貸出先と、25という店舗の多さは、県都だけでなく県内の多様な地域に資金を届けてきたこの信組の地盤の広がりを示しています。よく貸す姿勢が、預貸率69.3%という高い水準に表れていると読めます。
一方、不良債権比率7.16%は、地方の信用組合としてやや高めの水準にあります。よく貸すぶん、地域経済の変動の影響も受けやすいと読めます。自己資本比率9.93%は信用組合として手堅い水準で、よく貸しながらも守りを保ってきた歩みがうかがえます。もちろん、これらの比率には個別の事情や経営方針も絡むため断定はできませんが、県都と多様な地域を併せ持つ鹿児島という土地を抜きに、この信組の数字は読めません。
なぜ、こうなったのか——制度と地域
鹿児島興業信用組合が地元に貸す信組であることの背景には、信用組合という制度があります。信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。
この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。鹿児島興業信用組合にとって、その「地元」とは、県都・鹿児島市を中心に、農業・畜産・水産など多様な産業を抱える鹿児島県の経済です。2008年に鹿児島県信用組合を合併して県内に地盤を広げたことも、より広い範囲の組合員に資金を届ける素地になっています。県内に25店舗を構えて中小に貸す姿勢が、預貸率69.3%という高い水準に表れていると読めます。
同じ県の、金融機関と並べてみる
同じ鹿児島県を代表する地銀として、鹿児島銀行(預貸率90.9%)も本紀行に登場しています。県土全体を相手にする県地銀・鹿児島銀行(預貸率90.9%)と、県内の中小に密着するこの鹿児島興業信用組合(預貸率69.3%)とは、ともに高めの預貸率を示しますが、相手とする事業者の規模は異なります。県全体を支える地銀の姿は、鹿児島銀行の記事もあわせてどうぞ。
同じ鹿児島市には、鹿児島信用金庫もあります。預貸率68.2%の鹿児島信用金庫と、預貸率69.3%の鹿児島興業信用組合は、ともに県都で中小にしっかり貸す、近い数字の協同組織金融機関どうしです。鹿児島の信金と信組、それぞれの姿は、鹿児島信用金庫の記事もあわせてどうぞ。
借り手にとっての意味
地元に根ざす信用組合は、地域の中小事業者にとって、身近な相談相手です。とりわけ、商業や農業を担う鹿児島の小さな事業者にとって、組合員として付き合える信組の存在は心強いものです。高い預貸率は、しっかり貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。
数字は、根を張る土地を映す
預貸率69.3%という高さと、25という店舗の多さは、桜島を望む県都・鹿児島に根を張り、県内の中小にしっかり貸してきた信組の姿を映しています。貸し先を探す信組もあれば、地域に積極的に資金を回す信組もある。数字は、その金融機関がどんな土地で、誰に向き合ってきたかを語ります。鹿児島興業信用組合の数字は、桜島のまちに根ざす「こうしん」の、いまの記録です。
各地の金融機関には、それぞれの土地と産業の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。鹿児島県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、鹿児島県の地域金融機関のページもどうぞ。
鹿児島興業信用組合は、地元にしっかり貸す信用組合です。実際に借入れを考えるなら、土台になるのは事業の中身を伝える準備と、保証制度の理解。借りる側が知っておきたい融資・保証の基礎をまとめました。
- → 創業融資の受け方
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- → 信用保証協会とは
- → セーフティネット保証とは
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執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
鹿児島興業信用組合の沿革(1953年設立、2008年に鹿児島県信用組合を合併)、「こうしん」の愛称、鹿児島市を中心に鹿児島県内を地区とすることに関する記述=鹿児島興業信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
鹿児島市の桜島・錦江湾・商業、鹿児島県の農業・畜産・水産に関する記述=各種公開情報。
鹿児島銀行・鹿児島信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。
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