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高知銀行——無尽から生まれた「こうぎん」は、公的資金を背負って何に貸すか

預貸率74.9%、自己資本比率8.82%、不良債権比率3.94%。1930年の高知無尽を源流とし、2009年に公的資金注入を受けた高知県の第二地方銀行「こうぎん」。四国銀行とともに県を支える二地銀の数字を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 高知県

高知県には、二つの普通銀行がある。一つは、県のトップバンクである地方銀行の四国銀行。もう一つが、第二地方銀行の高知銀行——通称「こうぎん」だ。高知市に本店を置き、「あしたを元気に!ビビッドバンク」を掲げる、県民に親しまれた銀行である。

四国銀行が明治の国立銀行を源流に持つのに対し、高知銀行の出発点はまったく違う。「無尽(むじん)」——庶民が金を出し合い、くじや入札で順番に融通し合う、相互扶助の金融である。そこから生まれた高知銀行が、いま公的資金を背負いながら、高知の中小事業者に貸している。その歩みと数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。高知銀行の預金は9,997億円、貸出金は7,489億円。預貸率は74.9%で、預金の4分の3ほどを貸出に回している。自己資本比率は8.82%、不良債権比率は3.94%とやや高め。店舗数は72、中小企業等への貸出先は約3万7千件。地盤の高知県のほか、徳島・香川・愛媛の四国3県、さらに岡山・大阪・東京にも店舗を持つ。

同じ高知市に本店を置く四国銀行と並べると、規模の違いと、二地銀ならではの性格が見えてくる。

高知県内の主な普通銀行(2025年3月期)
 高知銀行四国銀行
種別第二地方銀行地方銀行
預金9,997億円29,522億円
貸出金7,489億円21,030億円
預貸率74.9%71.2%
不良債権比率3.94%2.46%

規模では四国銀行が大きく上回る。預貸率は高知銀行のほうがやや高いが、不良債権比率も高め。中小・零細により深く関わる二地銀の性格が、数字に表れている。

無尽から生まれた銀行

高知銀行の源流は、1930年(昭和5年)に設立された「高知無尽株式会社」だ。無尽とは、庶民が定期的に金を出し合い、必要な人に順番に融通する、古くからの相互扶助のしくみである。銀行から金を借りにくい庶民や零細事業者にとって、無尽は大切な資金の出どころだった。その庶民金融を出発点に持つのが、高知銀行の特徴だ。

戦後、無尽会社は相互銀行へと姿を変え、1989年(平成元年)には普通銀行に転換して、第二地方銀行となった。地方銀行(四国銀行)が大企業や中堅企業も相手にするのに対し、第二地銀である高知銀行は、より小さな事業者や個人に密着する性格を、無尽の時代から受け継いでいる。

公的資金を背負って

高知銀行の歩みには、試練もあった。2009年、金融庁は金融機能強化法に基づき、高知銀行に公的資金を注入した。地域経済が厳しさを増すなか、地域の中小企業への金融機能を維持するための措置だった。公的資金を受けた銀行は、中小企業向け融資を増やすなど、地域経済を支える役割を強く求められる。

高知県は、全国でも早くから人口減少が進み、経済の規模が縮小してきた県だ。そうした厳しい土地で、中小・零細事業者に深く関わる二地銀の経営は、決して楽ではない。不良債権比率3.94%というやや高めの数字は、体力の弱い小さな借り手にも貸すという、二地銀の役割と背中合わせのものだ。公的資金を背負いながら、それでも地元に貸し続ける——その姿に、地域金融機関としての使命が映る。

預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。同じ高知県でも、四国銀行と高知銀行とでは、貸す相手も、抱えるリスクも違う。二行を並べて見ることで、県の金融の全体像が見えてくる。

土佐の小さな担い手とともに

高知銀行の数字は、人口減の進む高知県で、無尽の時代から続く庶民金融の精神を受け継ぎ、中小・零細事業者に深く貸す姿を映している。公的資金を背負いながら、四国銀行とともに高知の経済を支える。「こうぎん」の名のもとに、土佐の小さな担い手に寄り添い続けている。

銀行の数字は、その土地の経済を映す鏡だ。高知銀行を見れば、人口減と向き合う土佐の経済の体温が伝わる。同じ高知県のトップバンクである四国銀行とあわせて読むと、県の金融の姿がより立体的に見えてくる。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。高知県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、高知県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
沿革(1930年高知無尽設立・1989年普通銀行転換・2009年公的資金注入)=高知銀行公開情報、各種公開情報。
店舗網(四国3県・岡山・大阪・東京)に関する記述=高知銀行公開情報。
高知県の経済(人口減少)に関する記述=各種公開情報。

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