宿毛商銀信用組合——四国南西端の地域信組は、何に貸すか
預貸率42.3%、自己資本比率8.25%、不良債権比率3.55%。宿毛市に本店を置く宿毛商銀信用組合。「商銀」の名を持ちますが民族系ではない、高知県西部・幡多地域の地域信組の数字を読みます。
- 2026.06.19【保証協会】26年度補正予算成立、セーフティネット保証5号の事前相談を開始。指定業種で、直近月の売上高が前年同月比で5%以上減少等の要件(経産省PDF)を満たす中小事業者が対象。
高知県宿毛市に本店を置く宿毛商銀信用組合は、預金224億円、貸出金95億円、店舗2。宿毛市を中心に、四万十市・土佐清水市など高知県西部の幡多地域と、愛媛県南宇和郡を地盤とする信用組合です。
名称に「商銀」が付きますが、宿毛商銀信用組合は在日韓国人系の商銀系信用組合ではなく、地元の商工業者の相互扶助から生まれた地域の信用組合です。1953年に宿毛市小筑紫町で小筑紫町信用協同組合として発足し、商工業者・勤労者の相互扶助と金融の円滑化を目的に、1958年に「宿毛商銀信用組合」へ改称しました。「商銀」は「商工業者の銀行」の意で用いられたもので、系統が異なります。四国の南西端、足摺岬にほど近い宿毛湾のまちに根ざしてきた信組です。数字の面で目を引くのは、預貸率42.3%という控えめな水準です。
まず、数字を並べる
宿毛商銀信用組合の預金は224億円、貸出金は95億円、預貸率42.3%。自己資本比率は8.25%、不良債権比率は3.55%。中小企業等向けの貸出先は1,229件です。
| 預金 | 224億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 95億円 |
| 預貸率 | 42.3% |
| 自己資本比率 | 8.25% |
| 不良債権比率 | 3.55% |
| 中小企業等向け貸出先 | 1,229件 |
| 店舗 | 2店 |
預貸率42.3%。高知県西部・幡多の地域信組の数字を読む。
42.3%を、四国南西端から読む
預貸率42.3%という控えめな水準は、集めた預金のうち貸出に回しているのが四割ほどであることを示します。本紀行で見てきた地方の小さな信組によく見られる水準です。四国の南西端、人口減少が進む幡多地域では、旺盛に伸びる資金需要が常にあるわけではなく、預貸率42.3%という水準は、そうした土地の事情を映していると読めます。
宿毛商銀信用組合が貸す相手は、宿毛を中心とする幡多地域の中小事業者です。水産や農業、まちの商業や建設業が、その融資先に含まれると考えられます。店舗2・預金224億円という小さな規模で、四国南西端の限られた地区の組合員に向き合ってきた信組です。自己資本比率8.25%は信用組合として国内基準を上回る水準で、不良債権比率3.55%は中庸の水準です。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、四国南西端の宿毛という土地を抜きに、この信組の数字は読めません。
なぜ、こうなったのか——制度と地域
信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。
この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。宿毛商銀信用組合にとって、その「地元」とは、水産や農業を柱とし、人口減少が進む高知県西部の幡多地域です。地元の商工業者の相互扶助から生まれた小さな信組が、限られた地区の組合員に向き合ってきたことが、控えめな預貸率という数字に表れていると読めます。
同じ県の、金融機関と並べてみる
同じ高知県を代表する地銀として、高知銀行(預貸率74.9%)や四国銀行(預貸率71.2%)も本紀行に登場しています。同じ幡多地域には幡多信用金庫(預貸率61.5%)があり、高知県西部の金融機関の姿は各記事もどうぞ。
数字は、根を張る土地を映す
預貸率42.3%という控えめな水準は、四国南西端・宿毛の小さなまちに根を張り、限られた地区の組合員に向き合ってきた地域信組の姿を映しています。宿毛商銀信用組合の数字は、幡多地域に根ざす信組の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、高知県の他の金融機関は高知県の地域金融機関のページもどうぞ。
宿毛商銀信用組合は、地域に根ざした信用組合です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。
- → 口座を育てる
- → 積立で信用をつくる
- → 与信枠の考え方
- → 創業支援保証とは
- → セーフティネット保証とは
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
宿毛商銀信用組合の沿革(1953年に宿毛市小筑紫町で小筑紫町信用協同組合として発足、1958年に宿毛商銀信用組合へ改称、商工業者・勤労者の相互扶助を目的とする地域の信用組合であり在日韓国人系の商銀系ではないこと、高知県西部の幡多地域と愛媛県南宇和郡を地区とすること)に関する記述=宿毛商銀信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
宿毛市・幡多地域の水産・農業・宿毛湾に関する記述=各種公開情報。
高知銀行・四国銀行・幡多信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。
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