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北伊勢上野信用金庫——コンビナートの四日市と城下町・伊賀上野を結ぶ信金は、何に貸すか

預貸率54.3%、預金4,102億円、自己資本比率10.61%、不良債権比率4.81%。三重県四日市市に本店を置く北伊勢上野信用金庫。コンビナートの四日市と城下町・伊賀上野の信金が合併して生まれた中堅信金が、何に貸すのか。同じ三重の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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三重県の四日市市に本店を置く北伊勢上野信用金庫は、預金4,102億円を持つ信用金庫だ。店舗30。四日市を中心に、鈴鹿・菰野・東員・川越など北勢(ほくせい)地域に店舗を構える。県内有数の規模を持つ、北勢の中堅信金だ。

本拠の四日市は、三重県最大の都市にして、石油化学コンビナートを擁する工業都市だ。伊勢湾に面した臨海部には巨大な工場群が連なり、関連する中小企業も数多く集まる。一方、この信金の名にある「上野」は、内陸の伊賀上野——城下町であり、松尾芭蕉や伊賀忍者ゆかりの歴史の街を指す。沿岸の工業都市・四日市と、内陸の城下町・伊賀上野。性格の異なる二つの地を名に持つこの信金は、二つの信金が合併して生まれた。北伊勢上野信用金庫は、こうした北勢から伊賀にかけての多彩な土地に根ざしてきた。

この信金の数字は、預貸率54.3%、自己資本比率10.61%、不良債権比率4.81%。預金の5割超を貸出に回している。なぜ、工業都市の中堅信金が、こうした数字になるのか。同じ三重の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。北伊勢上野信用金庫の預金は4,102億円、貸出金は2,226億円。預貸率は54.3%で、預金の5割超を貸出に回している。自己資本比率は10.61%、不良債権比率は4.81%。店舗数は30。

同じ三重県の信金と比べてみる。県内最大級の桑名三重信用金庫(預貸率41.6%・預金7,822億円)、津の津信用金庫(預貸率19.2%・自己資本22.84%)と並べると、北伊勢上野信用金庫の預貸率54.3%は、三重の信金のなかでは高めの水準にある。桑名三重(41.6%)や津(19.2%)が預金を貸出に回しきれずにいるなか、北伊勢上野はよく貸している。これは、四日市というコンビナート工業都市を抱え、関連する中小企業の資金需要が旺盛だからだと読める。工場群を支える部品・加工・物流などの事業者が集まる土地では、設備や運転の資金需要が生まれやすい。不良債権比率4.81%はやや高めだが、これは工業地帯の事業者に幅広く貸してきたことを映していると読める。

三重県の信用金庫(令和7年3月末)
 北伊勢上野信用金庫桑名三重信用金庫津信用金庫
本店四日市市桑名市津市
預貸率54.3%41.6%19.2%
自己資本比率10.61%16.09%22.84%
不良債権比率4.81%5.02%4.55%

いずれも三重県の信金。北伊勢上野は三者のなかで最も高い預貸率を示す。工業都市・四日市の資金需要を映す。

四日市金庫から——北伊勢上野信用金庫の歩み

北伊勢上野信用金庫の源流は、1929年(昭和4年)6月に設立された「有限責任四日市金庫」にさかのぼる。1943年(昭和18年)に四日市信用組合、1952年(昭和27年)に四日市信用金庫となった。1967年(昭和42年)には鈴鹿信用金庫と合併して北伊勢信用金庫となり、1970年(昭和45年)に四日市商業信用組合を合併。そして2004年(平成16年)1月、内陸の伊賀上野を地盤とする上野信用金庫と合併し、北伊勢上野信用金庫が誕生した。沿岸の工業都市・四日市と、内陸の城下町・伊賀上野——性格の異なる二つの地が、一つの信金のもとに結ばれた。

四日市というコンビナート工業都市は、信用金庫にとって資金需要に富む地盤だ。臨海部の巨大な工場群を支える中小企業——部品、加工、メンテナンス、物流——が数多く集まり、設備投資や運転資金の需要が絶えない。北伊勢上野信用金庫は、「地域金融のプロフェッショナル」を掲げ、課題解決型の金融サービスに徹することで、こうした工業地帯の中小事業者によく貸してきた。請求書を最短即日で現金化するクラウドファクタリングや、創業承継支援ローンなど、事業者の資金繰りを支える商品も手がける。預貸率54.3%という三重では高めの水準は、工業都市の旺盛な資金需要に応えてきたことの表れだと読める。一方で不良債権比率4.81%は、幅広く貸すことに伴うリスクを引き受けてきたことを映していると読める。沿岸の工業と内陸の城下町を結びながら、地域経済を下支えしている。

54.3%を、四日市から読む

北伊勢上野信用金庫の預貸率54.3%という三重では高めの水準は、コンビナート工業都市・四日市を抱え、関連する中小企業の旺盛な資金需要に応えてきたことの表れだと読める。津信用金庫が19.2%、桑名三重信用金庫が41.6%と低めにとどまるなか、北伊勢上野はよく貸している。これは、工場群を支える事業者が集まる土地ならではの数字だ。

そのうえで、不良債権比率4.81%というやや高めの数字が、この信金の性格を物語る。工業地帯の中小事業者に幅広く貸し、その浮き沈みを引き受ける——課題解決型の金融サービスに徹し、資金繰りを支える。沿岸の四日市と内陸の伊賀上野という性格の異なる地を結びながら、地域経済を下支えする。それが、この信金の生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

三重の経済とともに

北伊勢上野信用金庫の数字は、コンビナート工業都市・四日市と城下町・伊賀上野という二つの地盤と、二つの信金が合併して歩んできた歴史の、両方を映している。工業地帯の中小事業者によく貸し、資金繰りを支えながら、北勢から伊賀にかけての経済を下支えしてきた。旺盛な資金需要を持つ土地柄が、54.3%という三重では高めの預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。北伊勢上野信用金庫を見れば、四日市の工業経済と、そこでよく貸す信金の姿が浮かぶ。三重県の他の金融機関は、県内最大級の桑名三重信用金庫、津の津信用金庫、県内最大の地銀百五銀行、合併で生まれた三十三銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。三重県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、三重県の地域金融機関のページへ。

北伊勢上野信用金庫と融資のはなし

北伊勢上野信用金庫は、コンビナート工業都市・四日市に根ざし、中小事業者によく貸す中堅信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。工業都市を抱える信金では、関連する中小事業者の資金需要を背景に、預貸率が高めになることが多い。自己資本比率や不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。桑名三重信用金庫・津信用金庫の数値も同出典。
沿革(源流が1929年設立の「有限責任四日市金庫」であること、1952年に四日市信用金庫となったこと、1967年に鈴鹿信用金庫と合併して北伊勢信用金庫となったこと、2004年に上野信用金庫と合併して北伊勢上野信用金庫となったこと、本店が四日市市安島にあること、四日市・鈴鹿・菰野・東員・川越など北勢地域に店舗を持つこと、「地域金融のプロフェッショナル」を経営理念に掲げ課題解決型の金融サービスに取り組むこと)=北伊勢上野信用金庫および各種公開情報にもとづく。
四日市・伊賀の地理・産業(四日市市、石油化学コンビナート、伊勢湾、北勢地域、伊賀上野、城下町)に関する記述=各種公開情報。

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