¥Today ニホン銀行紀行

宮崎第一信用金庫——日向の県都で、信金はなぜ焦げ付きを低く保つのか

預貸率55.2%、預金2,378億円、不良債権比率1.59%。宮崎市に本店を置く宮崎第一信用金庫。日向の県都に根ざす「だいいち」が、なぜよく貸しながら焦げ付きを低く保つのか。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 宮崎県

宮崎県の県都・宮崎市に本店を置く宮崎第一信用金庫は、地元で親しまれる信用金庫だ。預金2,378億円、店舗28。宮崎市を中心に、宮崎県の中南部を地盤としている。県都に根ざす、宮崎県内有数の規模の信金だ。

本拠の宮崎は、日向灘に面した温暖な気候で知られる県都だ。プロ野球やプロサッカーのキャンプ地として全国に知られ、観光・農業・食品が地域経済を支える。周辺の宮崎平野は、施設園芸が盛んで、ピーマンやマンゴーなどの農業が広がる。一方、大きな工業地帯の集積は限られ、第一次産業とサービス業に厚みのある経済だ。宮崎第一信用金庫は、こうした温暖な日向の県都・宮崎に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率55.2%という標準からやや高めの水準と、不良債権比率1.59%という低さだ。預金の5割強を貸出に回しながら、焦げ付きは低い。なぜ、日向の県都の信金は、よく貸しながら焦げ付きを低く保つのか。同じ宮崎県の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。宮崎第一信用金庫の預金は2,378億円、貸出金は1,313億円。預貸率は55.2%で、預金の5割強を貸出に回している。自己資本比率は11.7%、不良債権比率は1.59%と低い。店舗数は28、中小企業等への貸出残高は1,163億円。

同じ宮崎県で、延岡市を地盤とする延岡信用金庫(預貸率53.6%・不良債権比率1.69%)と比べると、両者はよく似ている。預貸率はともに5割台、不良債権比率もともに1%台後半と低い。規模では宮崎第一信用金庫が上回る。同じ宮崎県の信金が、そろってよく貸しながら焦げ付きを低く保つことは、宮崎の地盤が、信用金庫にとって堅実に貸せる土地であることを示していると読める。温暖な気候のもと、農業・観光・サービス業が地域経済を支え、貸出先の事業が比較的安定していることの表れだと読める。

宮崎県の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 宮崎第一信用金庫延岡信用金庫
本店宮崎市延岡市
預金2,378億円742億円
預貸率55.2%53.6%
自己資本比率11.7%11.46%
不良債権比率1.59%1.69%

ともに宮崎県を地盤とする二つの信金。預貸率は5割台、不良債権比率は1%台後半と、よく似ている。宮崎の地盤が信金にとって堅実に貸せる土地であることが数字に表れている。

日向の県都とともに——宮崎第一信用金庫の歩み

宮崎第一信用金庫は、日向の県都・宮崎の商人や事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。県都の商店、宮崎平野の農家、観光・食品の事業者、そして住民——こうした人々が預金を預け、必要なときに資金を借りる。宮崎第一信用金庫は、県都を中心に、日向の暮らしと商いに寄り添ってきた。

宮崎という土地は、信用金庫にとって、農業・観光・サービス業に支えられた堅実な地盤だ。温暖な気候のもと、施設園芸の農業、キャンプ地としての観光、食品産業がある。大きな工業地帯はないが、地域に根ざした事業が層をなす。地元に堅実な産業基盤があり、信用金庫は地域の中小に堅実に貸せる——この構図が、55.2%という標準からやや高めの預貸率と、1.59%という低い焦げ付きの背景にあると読める。

1.59%を、日向の県都から読む

宮崎第一信用金庫の不良債権比率1.59%という低さは、温暖な日向の地で、農業・観光・サービス業に支えられた堅実な貸出先を見極めてきたことの表れだと読める。同じ宮崎県の延岡信用金庫も焦げ付きは1%台後半で、宮崎の信金がそろって低い焦げ付きを保つことは、地盤の堅実さを映している。預貸率55.2%という水準は、県都の商業・農業の資金需要によく応えていることを示す。

自己資本比率11.7%という水準も、信用金庫として手堅い。日向の県都で、地域の資金需要によく応えながら、焦げ付きを低く抑え、堅実に資本を積む——それが、宮崎第一信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。よく貸すが堅実、という両立は、安定した地盤に根ざす信用金庫の一つのかたちだと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

宮崎の経済とともに

宮崎第一信用金庫の数字は、温暖な日向の県都・宮崎という土地と、そこでよく貸しながら焦げ付きを低く保つ信金の歩みの、両方を映している。預金の5割強を地元に貸しながら、焦げ付きを低く抑え、堅実に資本を積んできた。農業・観光・サービス業に支えられた宮崎の経済が、55.2%という預貸率と、1.59%という低い焦げ付きに表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。宮崎第一信用金庫を見れば、日向の県都・宮崎の経済と、そこで堅実に貸す信金の姿が浮かぶ。宮崎県の他の金融機関は、児湯の高鍋信用金庫、県トップの地銀宮崎銀行、第二地銀の宮崎太陽銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。宮崎県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、宮崎県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が標準からやや高めの金融機関は、地元の資金需要によく応えている一つの目安になる。不良債権比率とあわせて見ることで、よく貸しながら焦げ付きを低く保てているか、その堅実さがより立体的に見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。延岡信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(宮崎市に本店を置き、宮崎県中南部を地盤とする信用金庫であること、宮崎が日向灘に面した温暖な気候の県都で、プロスポーツのキャンプ地・農業・観光・食品が地域経済を支えること、宮崎平野で施設園芸が盛んであること)に関する記述=宮崎第一信用金庫および各種公開情報にもとづく。
宮崎・日向の地理・産業(日向灘、宮崎平野、施設園芸、ピーマン、マンゴー、キャンプ地、観光)に関する記述=各種公開情報。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ