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宮崎県南部信用組合——飫肥杉と油津の日南で、県唯一の信組はなぜ預金の8割近くを貸すか

預貸率78.0%、預金82億円、自己資本比率7.12%、不良債権比率0.68%。宮崎県日南市に本店を置く宮崎県南部信用組合。店舗ひとつ、宮崎県唯一の信組が、なぜ預金の8割近くを貸すのか。同じ宮崎の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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宮崎県の日南市に本店を置く宮崎県南部信用組合は、預金82億円を持つ信用組合だ。店舗はわずか1。日南市の本店を拠点に、宮崎県南部から、いまは県内全域を営業区域とする。宮崎県に本拠を置く唯一の信用組合であり、本サイトで紹介してきた信金・信組のなかでも、際立って小さな規模を持つ。

本拠の日南市は、宮崎県南部、日向灘に面した海と杉のまちだ。飫肥(おび)は飫肥杉で栄えた城下町であり、その町並みは「九州の小京都」とも呼ばれる。港町・油津(あぶらつ)は、かつてマグロ漁とカツオ漁、そして飫肥杉の積出で栄えた。近年は、シャッター街となっていた油津商店街の再生が全国の注目を集めたことでも知られる。宮崎県南部信用組合は、こうした海と杉の日南に根ざし、地域の中小事業者と住民に貸してきた。第一勧業信用組合と地域活性化の連携協定を結ぶなど、小さな信組ならではの取り組みも進めている。

この信組の数字で最も目を引くのは、預貸率78.0%という、際立って高い水準だ。預金82億円に対し、貸出金は64億円。預金の8割近くを貸出に回している。なぜ、店舗ひとつの小さな信組が、これほど貸せるのか。同じ宮崎の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。宮崎県南部信用組合の預金は82億円、貸出金は64億円。預貸率は78.0%で、預金の8割近くを貸出に回している。自己資本比率は7.12%、不良債権比率は0.68%。店舗数は1。

同じ宮崎県の信金と比べてみる。旭化成の企業城下町・延岡の延岡信用金庫(預貸率53.6%・預金742億円)、畜産と農業の町の高鍋信用金庫(預貸率39.5%)と並べると、宮崎県南部信用組合の預貸率78.0%は、群を抜いて高い。延岡信金が5割台、高鍋信金が4割弱を貸すなか、この信組は8割近くを貸している。預金規模82億円は延岡信金(742億円)の10分の1ほどで、本サイトで紹介してきた機関のなかでも最小級だ。小さな信組が、限られた組合員に深く踏み込んで貸している姿がうかがえる。目を引くのは不良債権比率0.68%という際立った低さで、8割近くを貸しながら焦げ付きは1%にも満たない。店舗ひとつだからこそ、組合員一人ひとりを知り尽くし、確かな相手に確かに貸せることの表れだと読める。一方で自己資本比率7.12%はやや薄めで、小規模ゆえの資本の制約もうかがえる。

宮崎県の協同組織金融機関(令和7年3月末)
 宮崎県南部信用組合延岡信用金庫高鍋信用金庫
業態信用組合信用金庫信用金庫
預貸率78.0%53.6%39.5%
自己資本比率7.12%11.46%
不良債権比率0.68%1.69%

いずれも宮崎県の機関。県唯一の信組は、群を抜いて高い預貸率と、際立って低い焦げ付きを両立する。

外浦信用組合から——宮崎県南部信用組合の歩み

宮崎県南部信用組合の源流は、1928年(昭和3年)に設立された「外浦(とのうら)信用組合」にさかのぼる。日南海岸の外浦の地に生まれたこの組合が、母体となった。1982年(昭和57年)4月、外浦信用組合が串間(くしま)信用組合を吸収合併し、宮崎県南部信用組合となった。当初は日南市・串間市を営業区域とする県南部の信組だったが、2018年(平成30年)7月、営業エリアを宮崎県内全域に拡張した。かつて宮崎県には信用組合が二つ(当組合と宮崎県北部信用組合)あったが、宮崎県北部信用組合が2006年(平成18年)に熊本県信用組合へ合併されたため、当組合が宮崎県に本拠を置く唯一の信用組合となった。本店は日南市吾田東に置かれている。

海と杉の日南という土地は、この小さな信組に独特の役割を与えてきた。飫肥杉の林業、油津の漁業、そして地域の商いと暮らし——大企業の少ないこの地で、地域の中小事業者にとって、身近な信組は貴重な資金の出し手だ。「相互扶助」を理念とし、組合員がお互いに支え合うという信用組合の原点を、店舗ひとつのこの信組は体現している。預貸率78.0%という際立って高い水準は、限られた組合員に深く踏み込んで貸してきたことの表れだ。そして不良債権比率0.68%という低さは、店舗ひとつだからこそ、組合員一人ひとりの事業と人となりを知り尽くし、確かな相手に貸せることを物語る。油津商店街の再生に象徴されるような地域づくりの動きとともに、この小さな信組は日南の経済を足元から支えている。

78.0%を、日南から読む

宮崎県南部信用組合の預貸率78.0%という際立って高い水準は、店舗ひとつの小さな信組が、限られた組合員に深く踏み込んで貸してきたことの表れだと読める。海と杉の日南で、飫肥杉の林業、油津の漁業、地域の商いに、信組として貸せる相手に深く貸してきた。

そのうえで、不良債権比率0.68%という際立った低さが、この信組の性格を物語る。8割近くを貸しながら、焦げ付きは1%にも満たない。店舗ひとつだからこそ、組合員一人ひとりを知り尽くし、確かな相手に確かに貸せる——その密着が、78.0%という高い預貸率と、0.68%という低い不良債権比率を両立させていると読める。規模は小さくとも、相互扶助という信用組合の原点を体現する。宮崎県唯一の信組として、日南の経済を足元から支えている。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

宮崎の経済とともに

宮崎県南部信用組合の数字は、海と杉の日南という地盤と、外浦信用組合から県唯一の信組へと歩んできた歴史の、両方を映している。店舗ひとつで限られた組合員に深く貸し、際立って低い焦げ付きを保ちながら、日南の経済を足元から支えてきた。相互扶助という信組の原点と、組合員を知り尽くす密着が、78.0%という高い預貸率に表れている。

銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。宮崎県南部信用組合を見れば、海と杉の日南の経済と、そこで深く貸す県唯一の信組の姿が浮かぶ。宮崎県の他の金融機関は、旭化成の企業城下町の延岡信用金庫、畜産と農業の町の高鍋信用金庫、県内最大の地銀宮崎銀行、第二地銀の宮崎太陽銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。宮崎県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、宮崎県の地域金融機関のページへ。

宮崎県南部信用組合と融資のはなし

宮崎県南部信用組合は、海と杉の日南に根ざし、店舗ひとつで限られた組合員に深く貸す県唯一の信用組合です。地元の事業者に貸す信組とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

信用組合とは 信用組合(信用協同組合)とは、組合員の相互扶助を目的とする協同組織の金融機関。信用金庫と似ているが、根拠法が異なり、原則として組合員でなければ取引できないなど、より地域・職域・業域に密着した存在だ。店舗の少ない小さな信組は、組合員一人ひとりを知り尽くし、確かな相手に深く貸すことで、高い預貸率と低い焦げ付きを両立させることがある。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。延岡信用金庫・高鍋信用金庫の数値も同出典。
沿革(源流が1928年設立の「外浦信用組合」にさかのぼること、1982年4月に外浦信用組合が串間信用組合を吸収合併して宮崎県南部信用組合となったこと、2018年7月に営業エリアを日南市・串間市から宮崎県内全域に拡張したこと、宮崎県北部信用組合が2006年に熊本県信用組合へ合併されたため当組合が宮崎県に本拠を置く唯一の信用組合であること、本店が日南市吾田東にあること、第一勧業信用組合と地域活性化の連携協定を結んでいること)=宮崎県南部信用組合および各種公開情報にもとづく。
日南の地理・産業(日南市、飫肥、飫肥杉、城下町、油津、漁業、油津商店街の再生)に関する記述=各種公開情報。

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