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延岡信用金庫——旭化成の企業城下町で、のべしんは何に貸すか

預貸率53.6%、預金742億円、自己資本比率11.46%、不良債権比率1.69%。宮崎県延岡市に本店を置く延岡信用金庫。旭化成の企業城下町に根ざし、店舗を延岡市内のみに置く信金が、何に貸すのか。同じ宮崎の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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宮崎県の延岡市に本店を置く延岡信用金庫は、預金742億円を持つ信用金庫だ。店舗8。「のべしん」の呼び名で知られる。延岡市のほか日向市・東臼杵郡・西臼杵郡も営業地区としているが、本店・支店・店外ATMはいずれも延岡市内にしかない、という珍しい店舗網を持つ。

本拠の延岡市は、宮崎県北部の工業都市だ。旭化成の発祥の地であり、その企業城下町として発展してきた。日向灘に注ぐ五ヶ瀬川の河口に開け、化学・繊維・電子部品といった製造業が集積する。背後には高千穂へと続く山々が広がり、神話と祖母傾山系の自然にも近い。延岡信用金庫は、こうした旭化成とともに歩んできた工業の城下町に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率53.6%という標準的な水準と、不良債権比率1.69%という低い焦げ付きだ。預金の半分強を貸出に回し、焦げ付きは低く抑えている。自己資本比率は11.46%。なぜ、企業城下町の信金は、こうした数字になるのか。同じ宮崎の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。延岡信用金庫の預金は742億円、貸出金は398億円。預貸率は53.6%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は11.46%、不良債権比率は1.69%。店舗数は8、中小企業等への貸出残高は371億円。

同じ宮崎県で、県都・宮崎市を地盤とする宮崎第一信用金庫(預貸率55.2%・不良債権1.59%)と比べると、両者はよく似た数字を示す。延岡信用金庫の預貸率53.6%は宮崎第一信用金庫(55.2%)と近く、どちらも預金の半分強を貸出に回している。不良債権比率も延岡信用金庫(1.69%)・宮崎第一信用金庫(1.59%)とともに低く、宮崎の信金はそろって焦げ付きを抑えている。一方、規模では宮崎第一信用金庫が上回る。県都・宮崎で広く貸す「だいいち」と、工業の城下町・延岡で堅実に貸す「のべしん」——同じ宮崎の信金でも、地盤とする土地の性格が異なる。

宮崎県の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 延岡信用金庫宮崎第一信用金庫
本店延岡市宮崎市
預金742億円2,378億円
預貸率53.6%55.2%
不良債権比率1.69%1.59%

ともに宮崎県を地盤とする信金。預貸率・焦げ付きとも近いが、延岡は工業の城下町、宮崎第一は県都に根ざす。地盤とする土地の性格が異なる。

旭化成とともに——延岡信用金庫の歩み

延岡信用金庫は、1923年(大正12年)10月、産業組合法により有限責任延岡信用組合として設立された。1934年(昭和9年)の延岡市制施行に伴い市街信用組合法による延岡信用組合となり、1951年(昭和26年)11月、信用金庫法施行により延岡信用金庫に組織変更した。社是に「地域金融機関として、地域の繁栄に奉仕し、地域のすべての人々から信頼され、親しまれる信頼金庫にする」を掲げ、延岡を中心に北部宮崎の地域金融機関として歩んできた。近年は、県中北部を地盤とする信用金庫と地域経済の活性化に関する連携協定「ひなたアライアンス」を結び、地域企業のデジタル化や人材確保を後押ししている。延岡市の副業人材の獲得支援でも、市や金融機関とともに連携協定を結んでいる。

延岡という土地は、信用金庫にとって、独特の地盤だ。旭化成という巨大企業が地域経済の中心にあり、その関連企業や下請け、従業員の暮らしを支える商業・サービス業が広がる。大企業の城下町で、その周辺に集まる中小・零細事業者に堅実に貸す——その姿が、預貸率53.6%という標準的な水準と、不良債権比率1.69%という低い焦げ付きを支えている。本店・支店をすべて延岡市内に置くという店舗網は、この地に深く根を張ってきたことの表れだと読める。自己資本比率11.46%は堅実な水準だ。

53.6%を、企業城下町から読む

延岡信用金庫の預貸率53.6%という水準は、旭化成の企業城下町で、その周辺の中小・零細事業者に堅実に貸していることの表れだと読める。大企業とその関連産業、それを支える商業・サービス業が広がる延岡は、信用金庫が貸す相手のある土地だ。延岡信用金庫は、その事業者に密着して貸し、預金の半分強を貸出に回している。

不良債権比率1.69%という低い焦げ付きは、地元をよく見て堅実に貸してきたことの表れだと読める。自己資本比率11.46%という堅実な資本とあわせて、企業城下町で地に足のついた経営を続けてきた姿が浮かぶ。旭化成とともに歩み、延岡に深く根ざす——それが、延岡信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

宮崎の経済とともに

延岡信用金庫の数字は、旭化成の企業城下町という土地と、その地に深く根ざしてきた信金の歴史の、両方を映している。預金の半分強を地元の会員に貸し、低い焦げ付きと堅実な資本を保ちながら、延岡の中小・零細事業者を支えてきた。大企業とその周辺産業の経済が、53.6%という預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。延岡信用金庫を見れば、企業城下町・延岡の経済と、そこで堅実に貸す信金の姿が浮かぶ。宮崎県の他の金融機関は、県都の宮崎第一信用金庫、畜産の町の高鍋信用金庫、県のトップバンク宮崎銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。宮崎県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、宮崎県の地域金融機関のページへ。

延岡信用金庫と融資・保証のはなし

延岡信用金庫は、延岡に深く根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。大企業の企業城下町では、その関連産業や周辺の商業・サービス業の中小・零細事業者に堅実に貸すことで、預貸率が半分前後に落ち着くことがある。不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の堅実さが見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。宮崎第一信用金庫の数値も同出典。
沿革(1923年(大正12年)10月に産業組合法により有限責任延岡信用組合として設立され、1934年(昭和9年)の延岡市制施行に伴い延岡信用組合となり、1951年(昭和26年)11月に信用金庫法施行により延岡信用金庫となったこと、延岡市のほか日向市・東臼杵郡・西臼杵郡を営業地区とするが店舗は延岡市内のみであること、社是に「地域の繁栄に奉仕し…信頼金庫にする」を掲げること、県中北部の信金との連携協定「ひなたアライアンス」を結ぶこと、延岡市の副業人材獲得支援で連携協定を結ぶこと、「のべしん」と呼ばれること)=延岡信用金庫および各種公開情報にもとづく。
延岡の地理・経済(延岡、旭化成、企業城下町、五ヶ瀬川、日向灘、化学・繊維・電子部品、高千穂)に関する記述=各種公開情報。

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