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松本信用金庫——国宝・松本城の城下町で、まつしんは何に貸すか

預貸率47.9%、預金4,466億円、自己資本比率13.94%、不良債権比率5.65%。長野県松本市に本店を置く松本信用金庫。国宝・松本城の城下町と北アルプスの玄関口に根ざす「まつしん」が、何に貸すのか。同じ長野の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 長野県

長野県の松本市に本店を置く松本信用金庫は、預金4,466億円を持つ信用金庫だ。店舗27。地元で「まつしん」と呼ばれ、松本市の丸の内に本店を構え、塩尻・安曇野・大町・東筑摩郡・北安曇郡・木曽郡木曽町など、長野県中部の中信地方を地盤とする。国宝・松本城の城下町に根ざす信金だ。

本拠の松本市は、長野県中部・中信地方の中心都市だ。現存する五重六階の天守としては日本最古の国宝・松本城がそびえる城下町であり、その黒い天守は「烏城(からすじょう)」とも呼ばれる。北アルプスの玄関口として、上高地や乗鞍へ向かう観光の拠点でもあり、旧開智学校など近代の文教都市の面影も色濃い。商業・観光・農業、そして地場の中小製造業が重なり合う、信州を代表する都市のひとつだ。松本信用金庫は、こうした城と山岳の松本に根ざし、地域の中小事業者と住民に貸してきた。「ジョン君」というキャラクターや、青いバラをかたどったロゴ(花言葉「夢がかなう」に由来)で、地域に親しまれている。

この信金の数字を見ると、預貸率47.9%という、信用金庫として中位の水準が目を引く。預金の半分弱を貸出に回している。一方で自己資本比率は13.94%と厚い。城下町の信金は、何に貸しているのか。同じ長野の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。松本信用金庫の預金は4,466億円、貸出金は2,139億円。預貸率は47.9%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は13.94%、不良債権比率は5.65%。店舗数は27。

同じ長野県の信金と比べてみる。精密工業の集まる岡谷の諏訪信用金庫(預貸率45.9%・自己資本比率23.91%)、善光寺門前の長野信用金庫(預貸率40.9%・自己資本比率22.27%)と並べると、松本信用金庫の預貸率47.9%は、長野県の信金のなかではやや高めだ。諏訪・長野が4割前後にとどまるなか、松本は半分近くを貸している。一方で自己資本比率13.94%は、諏訪(23.91%)・長野(22.27%)の極厚資本には及ばないものの、信用金庫として十分に厚い。長野県の信金は総じて貸出を抑えめにして資本を厚く積む傾向にあるが、そのなかで松本は、城下町の商業・観光・中小製造業の資金需要に、比較的よく応えている姿がうかがえる。不良債権比率5.65%はやや高めで、地域の事業の浮き沈みを引き受けていることをうかがわせる。

長野県の信用金庫(令和7年3月末)
 松本信用金庫諏訪信用金庫長野信用金庫
本店松本市岡谷市長野市
預貸率47.9%45.9%40.9%
自己資本比率13.94%23.91%22.27%
不良債権比率5.65%3.16%6.03%

いずれも長野県の信金。長野県の信金は総じて資本が厚い。そのなかで松本は預貸率がやや高めで、城下町の資金需要に比較的よく応えている。

有限責任松本信用組合から——松本信用金庫の歩み

松本信用金庫は、1922年(大正11年)2月、産業組合法に基づき「有限責任松本信用組合」として設立された。1933年(昭和8年)に保証責任松本信用組合、1943年(昭和18年)に市街地信用組合法に基づく松本信用組合、1950年(昭和25年)に中小企業等協同組合法に基づく信用組合へと改組し、1951年(昭和26年)10月、信用金庫法に基づき松本信用金庫となった。本店は松本市丸の内、国宝・松本城のほど近くに置かれている。長く使われてきたカタカナの「マ」と、親愛・愛情を意味するバラの花をモチーフとしたロゴを受け継ぎ、地域に根ざしてきた。

城と山岳の松本という土地は、信用金庫にとって多面的な地盤だ。松本城を中心とする城下町の商業、上高地・乗鞍への観光、安曇野や中信平の農業、そして地場の中小製造業——多彩な資金需要が重なり合う。松本信用金庫は、こうした中信地方の中小事業者に、長野県の信金としては比較的よく貸してきた。預貸率47.9%という、県内の信金のなかでやや高めの水準は、城下町・松本を中心とする中信経済の厚みと、それに応えてきた姿勢の表れだと読める。一方で、自己資本比率13.94%という厚い資本を保つのは、長野県の信金に共通する堅実さでもある。よく貸しながらも、資本の備えを欠かさない——その両面が、この信金の数字に表れていると読める。不良債権比率5.65%というやや高めの数字は、地域の事業の浮き沈みを引き受けながら歩んでいることを映していると読める。

47.9%を、松本から読む

松本信用金庫の預貸率47.9%という長野県でやや高めの水準は、城と山岳の松本で、城下町の商業・観光・中小製造業の資金需要に、比較的よく応えてきたことの表れだと読める。諏訪や長野の信金が貸出を抑えめにして4割前後にとどまるなか、松本は中信経済の厚みを背景に、半分近くを貸している。

そのうえで、自己資本比率13.94%という厚い資本を保っていることが、この信金の性格を物語る。よく貸しながらも、資本の備えを欠かさない。城下町の資金需要に応えつつ、長野県の信金らしい堅実さも保つ——その両面が、47.9%という預貸率と、13.94%という厚い自己資本に表れていると読める。国宝・松本城のもとで、まつしんは中信の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

長野の経済とともに

松本信用金庫の数字は、国宝・松本城の城下町という土地と、中信地方で中小事業者に比較的よく貸しながら厚い資本も保つ歩みの、両方を映している。城下町の商業・観光・中小製造業の資金需要に応えながら、長野県の信金らしい堅実さも欠かさない。城と山岳の松本という土地柄が、47.9%という預貸率と13.94%という厚い自己資本に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。松本信用金庫を見れば、城と山岳の松本の経済と、そこで比較的よく貸しながら堅実さも保つ信金の姿が浮かぶ。長野県の他の金融機関は、精密工業の岡谷の諏訪信用金庫、善光寺門前の長野信用金庫、南信の飯田信用金庫、県内の信組長野県信用組合、県トップの地銀八十二銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。長野県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、長野県の地域金融機関のページへ。

松本信用金庫と融資のはなし

松本信用金庫は、国宝・松本城の城下町に根ざし、中信地方の中小事業者に貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。同じ地域の信金を並べると、地盤の経済の厚みや経営の方針によって預貸率に差が出る。自己資本比率や不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の貸し方と備えのバランスが見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。諏訪信用金庫・長野信用金庫の数値も同出典。
沿革(1922年2月に「有限責任松本信用組合」として設立されたこと、1951年10月に信用金庫法に基づき松本信用金庫となったこと、本店が松本市丸の内にあること、塩尻・安曇野・大町・木曽など中信地方を地盤とすること、青いバラをモチーフとしたロゴを用いること)=松本信用金庫および各種公開情報にもとづく。
松本の地理・歴史(松本市、国宝・松本城、現存最古級の五重六階天守、北アルプス、上高地、乗鞍、中信地方、城下町)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。

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