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たちばな信用金庫——諫早の信金は、なぜよく貸して焦げ付きが少ないのか

預貸率63.5%、預金1,484億円、自己資本比率9.03%、不良債権比率1.27%、店舗13。諫早市に本店を置くたちばな信用金庫。長崎県央・諫早に根ざし、よく貸しながら際立って低い焦げ付きを保つ信金が、何に貸すのか。その数字と歴史を読む。

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長崎県の諫早市に本店を置くたちばな信用金庫は、預金1,484億円を持つ信用金庫だ。店舗13。諫早市を中心に、長崎県の中央部(県央)を地盤としている。

本拠の諫早市は、長崎県のほぼ中央に位置する交通の要衝だ。長崎・佐世保・島原を結ぶ街道が交わり、人とものが行き交う。本明川のほとりに架かる石造りの眼鏡橋(諫早眼鏡橋)で知られ、干拓で広がった諫早平野は県内有数の穀倉地帯だ。長崎市・大村市にも近く、近年は半導体関連の進出も伝えられる。県央の中核都市——たちばな信用金庫は、こうした諫早に根ざしてきた信金だ。その名は、長崎ゆかりの橘(たちばな)に由来する。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率63.5%という高さと、不良債権比率1.27%という低さだ。預金の6割を超えてよく貸しながら、焦げ付きは際立って少ない。なぜ、諫早の信金は、これほどよく貸して焦げ付かないのか。同じ長崎を地盤とする金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。たちばな信用金庫の預金は1,484億円、貸出金は942億円。預貸率は63.5%で、預金の6割を超えて貸出に回している。自己資本比率は9.03%、不良債権比率は1.27%。店舗数は13、中小企業等への貸出残高は814億円。

長崎県の地域金融機関と比べると、たちばな信用金庫の不良債権比率1.27%は際立って低い。造船の城下町・佐世保を地盤とする西海みずき信用組合(預貸率89.6%・不良債権比率7.11%)は、よく貸すが焦げ付きも高い。それに対し、たちばな信用金庫は預貸率63.5%とよく貸しながら、不良債権比率は1.27%にとどまる。よく貸して、なお焦げ付かない——この組み合わせは、地域金融機関のなかでも数少ない。県央という比較的安定した地盤と、堅実な貸し方が、この数字を支えていると読める。

長崎県の地域金融機関の比較(令和7年3月末)
 たちばな信金西海みずき信組
本店諫早市佐世保市
預金1,484億円
預貸率63.5%89.6%
自己資本比率9.03%
不良債権比率1.27%7.11%

たちばな信用金庫は、預金の6割を超えてよく貸しながら、不良債権比率は1.27%と際立って低い。県央の安定した地盤と堅実な貸し方が背景にある。

県央・諫早とともに——たちばな信用金庫の歩み

たちばな信用金庫は、県央の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。諫早の商店やサービス業、町工場、諫早平野の農家、そして交通の要衝に住む人々——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を経て、県央に根ざす信金へと歩んできた。

諫早という土地は、信用金庫にとって、比較的安定した資金需要のある地盤だ。長崎・佐世保・島原・大村を結ぶ交通の要衝であり、諫早平野の農業、商業、そして近隣の都市経済の縁にあって、事業者の層が厚い。地元の中小に密着し、会員との関係のもとで堅実に貸す——この貸し方が、預貸率63.5%という高さと、不良債権比率1.27%という低さを両立させている。よく知る相手に、見極めて貸す。それが焦げ付きの少なさに表れている。自己資本比率9.03%は、信用金庫の国内基準4%を上回る水準だ。よく貸し、低い焦げ付きを保つことで、薄めの資本でも健全な経営を続けてきた。

63.5%と1.27%を、諫早から読む

たちばな信用金庫の預貸率63.5%という高さと、不良債権比率1.27%という低さは、県央・諫早という安定した地盤で、堅実によく貸してきたことの表れだと読める。よく貸すことと焦げ付きを抑えることは、ともすれば相反する。貸出を伸ばせば焦げ付きも増えやすいからだ。しかし、たちばな信用金庫は、よく知る地元の中小に、見極めて貸すことで、その両立を実現している。交通の要衝という安定した地盤も、これを支えている。

預貸率63.5%という、預金の6割を超える貸出と、不良債権比率1.27%という際立って低い焦げ付き——この組み合わせは、県央の地盤で、堅実によく貸す信金の姿を映している。攻めながら、守る。それが、たちばな信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

長崎の経済とともに

たちばな信用金庫の数字は、県央・諫早という土地と、そこで堅実に貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の6割を超えて地元の会員に貸し、際立って低い焦げ付きを保ちながら、諫早を中心とする県央の中小・零細事業者を支えてきた。交通の要衝と諫早平野の農業、近隣都市の縁という安定した経済が、63.5%という預貸率と1.27%という低い不良債権比率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。たちばな信用金庫を見れば、県央・諫早の経済と、そこで堅実に貸す信金の姿が浮かぶ。長崎県の他の金融機関は、佐世保の西海みずき信用組合、県最大の十八親和銀行、全国最小級の長崎銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。長崎県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、長崎県の地域金融機関のページへ。

たちばな信用金庫と融資・保証のはなし

本業の事業融資に踏み込むなら、知っておきたいのが融資の進め方と保証のしくみです。創業期から事業の拡大まで、長崎で事業を営む立場で押さえておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。一般に貸出を伸ばすと焦げ付きも増えやすいが、よく知る地元の中小に見極めて貸すことで、高い預貸率と低い不良債権比率を両立させる信金もある。預貸率・自己資本比率・不良債権比率を合わせて見ることで、その信金の貸し方が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。西海みずき信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(諫早市に本店を置き、長崎県中央部・県央を地盤とする信用金庫であること、合併を経て県央に根ざす信金になったこと、名が長崎ゆかりの橘に由来すること、諫早市が長崎県のほぼ中央に位置する交通の要衝で長崎・佐世保・島原を結ぶ街道が交わること、本明川に架かる石造りの諫早眼鏡橋で知られ干拓で広がった諫早平野が県内有数の穀倉地帯であること、長崎市・大村市に近く近年半導体関連の進出が伝えられること)に関する記述=たちばな信用金庫および各種公開情報にもとづく。
諫早・県央の地理・経済(諫早、本明川、諫早眼鏡橋、諫早平野、干拓、交通の要衝、農業)に関する記述=各種公開情報。

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