新井信用金庫——スキーと雪のまち・妙高で、あらいしんは何に貸すか
預貸率36.4%、自己資本比率13.92%、不良債権比率5.23%。妙高市に本店を置く新井信用金庫。新井庶民信用組合を源流とし、雪とスキーの妙高に根ざす信金の数字を読みます。
- 2026.06.19【保証協会】26年度補正予算成立、セーフティネット保証5号の事前相談を開始。指定業種で、直近月の売上高が前年同月比で5%以上減少等の要件(経産省PDF)を満たす中小事業者が対象。
新潟県妙高市に本店を置く新井信用金庫は、預金1,160億円、貸出金422億円、店舗12。「あらいしん」の愛称で、妙高市(旧新井市)を中心に、新潟県上越地域を地盤とする信用金庫です。
本店のある妙高市は、新潟県の南西部、妙高山のふもとに広がる豪雪の地です。妙高高原のスキー場や温泉で知られる観光のまちであり、豊かな雪解け水を生かした米作や酒造もさかんです。新井信用金庫は、1948年に「新井庶民信用組合」として設立され、1952年に信用金庫へ改組した、上越の信金です。数字の面で目を引くのは、預貸率36.4%という低さです。
まず、数字を並べる
新井信用金庫の預金は1,160億円、貸出金は422億円、預貸率36.4%。自己資本比率は13.92%、不良債権比率は5.23%。中小企業等向けの貸出先は2,869件です。
| 預金 | 1,160億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 422億円 |
| 預貸率 | 36.4% |
| 自己資本比率 | 13.92% |
| 不良債権比率 | 5.23% |
| 中小企業等向け貸出先 | 2,869件 |
| 店舗 | 12店 |
預貸率36.4%。雪とスキーの妙高に根ざす信金の数字を読む。
36.4%を、雪のまちから読む
預貸率36.4%という低めの水準は、集めた預金のうち貸出に回しているのが四割に満たないことを示します。本紀行で見てきた地方の信金のなかでも、控えめな部類です。豪雪と人口減少の進む山あいの地では、旺盛に伸びる資金需要が常にあるわけではなく、預貸率36.4%という水準は、そうした土地の事情を映していると読めます。
新井信用金庫が貸す相手は、妙高を中心とする上越地域の中小事業者です。スキーや温泉観光に連なる宿や商業、米作や酒造、まちの建設業が、その融資先に含まれると考えられます。自己資本比率13.92%は相応の厚みで、不良債権比率5.23%はやや高めながら極端ではありません。借り手が細る土地で、無理に貸し増さず堅実に経営する信金の輪郭が読めます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、雪とスキーの妙高という土地を抜きに、この信金の数字は読めません。
なぜ、こうなったのか——制度と地域
信用金庫が融資できる相手は原則として「会員」に限られ、その資格は信用金庫法10条1項により、信用金庫の「地区」の中に住所や事業所がある人、その地区で働く人、と定められています。事業者には規模の制限もあり、大企業は会員になれません。
この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。新井信用金庫にとって、その「地元」とは、観光・米作・酒造を柱とし、豪雪と人口減少を抱える妙高・上越の地域経済です。借り手が構造的に細るなか、無理に貸し増さず堅実さを優先する姿が、控えめな預貸率という数字に表れていると読めます。
同じ県の、金融機関と並べてみる
同じ新潟県を代表する地銀として、第四北越銀行(預貸率65.7%)も本紀行に登場しています。同じ上越には、上越信用金庫(預貸率33.7%)があり、ともに低めの預貸率にとどまります。中越の柏崎信用金庫(預貸率47.8%)とあわせて、新潟の信金の姿は各記事もどうぞ。
数字は、根を張る土地を映す
預貸率36.4%という控えめな水準は、雪とスキーの妙高に根を張り、人口減少と向き合いながら堅実に経営してきた信金の姿を映しています。新井信用金庫の数字は、豪雪の上越に根ざす「あらいしん」の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、新潟県の他の金融機関は新潟県の地域金融機関のページもどうぞ。
新井信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。
- → 口座を育てる
- → 積立で信用をつくる
- → 与信枠の考え方
- → 創業支援保証とは
- → セーフティネット保証とは
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
新井信用金庫の沿革(1948年に新井庶民信用組合として設立、1952年に信用金庫へ改組、妙高市を中心に上越地域を地区とすること、「あらいしん」の愛称)に関する記述=新井信用金庫公開情報・各種公開情報にもとづく。
妙高市の妙高高原・スキー・温泉・米作・酒造、豪雪に関する記述=各種公開情報。
第四北越銀行・上越信用金庫・柏崎信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用金庫の地区・会員資格に関する記述=金融庁 金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」資料『協同組織金融機関の「地区」のあり方』(2008年6月20日・神吉正三)。
本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。