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大分みらい信用金庫——温泉のまち別府で、信金は何に貸すか

預貸率49.2%、預金4,386億円、自己資本比率13.34%、不良債権比率6.32%。別府市に本店を置く大分みらい信用金庫。温泉のまち・別府に根ざす信金が、何に貸すのか。同じ大分の金融機関と比べながら、その数字と歴史を読む。

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ニホン銀行紀行 ・ 大分県

大分県の別府市に本店を置く大分みらい信用金庫は、預金4,386億円を持つ信用金庫だ。店舗29。別府市を中心に、大分市や県内各地を地盤としている。

本拠の別府市は、日本有数の温泉のまちだ。源泉数・湧出量ともに国内随一を誇り、「別府八湯」と呼ばれる温泉郷が市内に広がる。湯けむりの立ちのぼる街並みは、別府ならではの風景だ。観光・宿泊業が地場の基幹産業であり、隣接する大分市は新日鉄や石油化学の臨海工業地帯を抱える県都だ。湯の街と工業の県都が並ぶ豊後の地——大分みらい信用金庫は、こうした温泉のまち・別府に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、不良債権比率6.32%という高さだ。預貸率は49.2%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は13.34%と厚めだ。なぜ、温泉のまちの信金は、こうした数字になるのか。同じ大分を地盤とする金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。大分みらい信用金庫の預金は4,386億円、貸出金は2,156億円。預貸率は49.2%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は13.34%、不良債権比率は6.32%。店舗数は29、中小企業等への貸出残高は1,930億円。

同じ大分県で、破綻した信金の事業を引き受けた歴史を持つ大分信用金庫(預貸率44.5%・自己資本比率20.29%)や、大分県信用組合(預貸率62.0%・不良債権比率1.76%)と比べると、大分みらい信用金庫は、預貸率は中程度だが、不良債権比率がやや高い。大分信用金庫(自己資本20.29%)ほどの厚い資本ではないが、13.34%という健全な水準を保つ。不良債権比率6.32%は、観光・宿泊という浮き沈みのある産業を地盤に抱えることの表れだと読める。温泉と観光のまちで、地元に貸し、地域の浮き沈みを引き受ける——それが、この信金の数字の姿だ。

大分県の地域金融機関の比較(令和7年3月末)
 大分みらい信金大分信用金庫大分県信組
本店別府市大分市大分市
預金4,386億円5,400億円5,121億円
預貸率49.2%44.5%62.0%
自己資本比率13.34%20.29%9.43%
不良債権比率6.32%1.76%

大分みらい信用金庫は、健全な資本を保ちつつ、不良債権比率がやや高め。観光・宿泊という浮き沈みのある産業を地盤に抱えることが背景にある。

温泉のまちとともに——大分みらい信用金庫の歩み

大分みらい信用金庫は、別府・大分を中心とする県内の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。別府の旅館・ホテル、観光関連の事業者、大分市の商工業者、地元の商店、そして湯の街と県都に住む人々——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を経て、現在の「大分みらい信用金庫」へと歩んできた。その名は、地域とともに歩む未来への姿勢を映している。

別府という土地は、信用金庫にとって、観光・宿泊を軸とした資金需要のある地盤だ。温泉旅館やホテル、土産物店、飲食店といった観光関連の中小・零細事業者が集まる。観光業は、景気や旅行需要の変動、近年の世界的な情勢の影響を受けやすく、浮き沈みのある産業だ。そうした土地で、地元の中小に密着して貸す——その姿勢が、預貸率49.2%という水準を支えている。一方、観光・宿泊業の浮き沈みが、不良債権比率6.32%という高めの数字に表れていると読める。自己資本比率13.34%という厚めの資本は、こうした焦げ付きを十分に吸収できる備えとなる。

49.2%と6.32%を、別府から読む

大分みらい信用金庫の預貸率49.2%という水準と、不良債権比率6.32%という高さは、温泉と観光のまち・別府で、浮き沈みのある産業を抱えながら地元に貸してきたことの表れだと読める。観光・宿泊業は、好況時には旺盛な資金需要を生むが、不況や災害、感染症の流行といった事態には弱い。大分みらい信用金庫は、その浮き沈みのある地盤で、地元の中小に貸し続けてきた。地域とともにあるぶん、地域の困難も引き受けることになる。

預貸率49.2%という、預金の半分弱を貸す水準と、不良債権比率6.32%という高めの焦げ付き、そしてそれを吸収する13.34%という厚めの資本——この組み合わせは、温泉のまちで、浮き沈みを引き受けながらも地元に貸し続ける信金の姿を映している。地域とともにあり、地域の現実を引き受ける。それが、大分みらい信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

大分の経済とともに

大分みらい信用金庫の数字は、温泉のまち・別府という土地と、そこで地元に貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の半分弱を地元の会員に貸し、厚めの資本を保ちながら、別府・大分を中心とする県内の中小・零細事業者を支えてきた。観光・宿泊を軸とした浮き沈みのある経済が、49.2%という預貸率と6.32%という不良債権比率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。大分みらい信用金庫を見れば、温泉のまちの経済と、そこで地元に貸す信金の姿が浮かぶ。大分県の他の金融機関は、大分市の大分信用金庫大分県信用組合、県のトップバンク大分銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。大分県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、大分県の地域金融機関のページへ。

大分みらい信用金庫と融資・保証のはなし

大分みらい信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。観光・宿泊を基幹産業とする土地に根ざす信金では、好況時には旺盛な資金需要が生まれる一方、景気や災害、感染症の流行などの影響を受けやすく、不良債権比率が高めに出ることもある。自己資本比率とあわせて見ることで、その信金がどれだけの備えを持つかが見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。大分信用金庫・大分県信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(別府市に本店を置き、別府市・大分市など県内各地を地盤とする信用金庫であること、合併を経て現在の「大分みらい信用金庫」になったこと、別府市が源泉数・湧出量ともに国内随一の温泉のまちで「別府八湯」と呼ばれる温泉郷が広がること、観光・宿泊業が地場の基幹産業であること、隣接する大分市が臨海工業地帯を抱える県都であること)に関する記述=大分みらい信用金庫および各種公開情報にもとづく。
別府・大分の地理・経済(別府、温泉、別府八湯、湯けむり、観光、宿泊、大分市、臨海工業)に関する記述=各種公開情報。

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