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ミレ信用組合——朝銀近畿の受け皿として生まれた信組は、何に貸すか

預貸率69.8%、自己資本比率8.35%、不良債権比率1.59%。大阪市に本店を置くミレ信用組合。破綻した朝銀近畿信用組合の事業を引き継いで2002年に設立された信組の数字を、出典を示して読みます。

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大阪府大阪市に本店を置くミレ信用組合は、預金2,632億円、貸出金1,837億円、店舗9。大阪を中心に近畿圏を地盤とする信用組合で、在日朝鮮人系の信用組合である「朝銀(ちょうぎん)」系の系譜に連なります。「ミレ」は朝鮮語で「未来」を意味します。

「朝銀」は、戦後、在日朝鮮人系の事業者の相互扶助のために各地で設立された信用組合の系譜です。なお、ここでいう朝銀(朝鮮総連系)は、在日韓国人系(民団系)の「商銀」とは別系統です。ミレ信用組合は、2002年、経営破綻した朝銀近畿信用組合の事業の一部を引き継ぐ目的で設立され、同年に事業を開始しました。バブル経済の崩壊後、朝銀系の信用組合は各地で破綻・再編が相次ぎ、その事業を承継する受け皿として生まれた信組です。なお、同じ朝銀近畿の事業を引き継いだ信組として、京都の京滋信用組合、神戸の兵庫ひまわり信用組合もあります。数字の面で目を引くのは、預貸率69.8%と、不良債権比率1.59%という低さです。

まず、数字を並べる

ミレ信用組合の預金は2,632億円、貸出金は1,837億円、預貸率69.8%。自己資本比率は8.35%、不良債権比率は1.59%。中小企業等向けの貸出先は2,162件です。

ミレ信用組合(令和7年3月末)
預金2,632億円
貸出金1,837億円
預貸率69.8%
自己資本比率8.35%
不良債権比率1.59%
中小企業等向け貸出先2,162件
店舗9店

預貸率69.8%・不良債権1.59%。朝銀近畿の受け皿として生まれた信組の数字を読む。

69.8%と1.59%を、組合員基盤から読む

預貸率69.8%は、本紀行で見てきた信用組合のなかでも高い部類で、集めた預金の七割近くを組合員に貸し出しています。在日朝鮮人系のコミュニティという明確な組合員基盤のもと、その資金需要に貸してきたことの表れと読めます。あわせて、不良債権比率1.59%という低さも目を引きます。破綻した朝銀近畿の事業を承継して再出発した経緯を経て、堅実な経営に努めてきたことがうかがえます。

自己資本比率8.35%は、信用組合として国内基準は上回るものの、際立って厚いわけではありません。よく貸すぶん、資本の厚みは控えめです。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、朝銀近畿の受け皿として生まれた信組という成り立ちを抜きに、この数字は読めません。

ミレ信用組合が示すのは、破綻した朝銀近畿の受け皿として生まれ、組合員に貸す信組の姿です。預貸率69.8%という高さと不良債権1.59%という低さは、明確な組合員基盤に貸しつつ、再出発を経て堅実な経営に努めてきたことの表れです。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと組合員に絞られます。ミレ信用組合にとって、その組合員基盤は、在日朝鮮人系のコミュニティを中心とする事業者や住民です。破綻した朝銀近畿信用組合の事業の一部を引き受け、預金者と取引先を承継する受け皿となったことで、近畿圏の組合員基盤を持つに至りました。明確な組合員基盤に貸す姿が、高い預貸率に表れていると読めます。

同じ府の、信用組合と並べてみる

同じ大阪には、在日韓国人系で全国一の規模を持つ近畿産業信用組合(預貸率74.9%)があります。系統や規模は異なりますが、コミュニティを基盤とする協同組織金融機関という点は共通しています。大阪の金融機関の姿は、各記事もあわせてどうぞ。

数字は、組合の成り立ちを映す

預貸率69.8%という高さと、不良債権比率1.59%という低さは、朝銀近畿の受け皿として生まれ、コミュニティの組合員に貸してきた信組の姿を映しています。ミレ信用組合の数字は、朝銀系の系譜を引き継ぐ信組の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、大阪府の他の金融機関は大阪府の地域金融機関のページもどうぞ。

ミレ信用組合と融資・保証のはなし

ミレ信用組合は、地元にしっかり貸す信用組合です。実際に借入れを考えるなら、土台になるのは事業の中身を伝える準備と、保証制度の理解。借りる側が知っておきたい融資・保証の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
ミレ信用組合の沿革(2002年に経営破綻した朝銀近畿信用組合の事業の一部を引き継いで設立、朝銀系の信用組合であること、「ミレ」が朝鮮語で「未来」を意味すること)に関する記述=ミレ信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
朝銀系・商銀系の系譜、朝銀近畿信用組合の破綻と承継に関する記述=各種公開情報。
近畿産業信用組合の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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