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大阪協栄信用組合——商都の大型信組は、なぜ預金の6割超を貸せるのか

預貸率64.6%、預金8,583億円、不良債権比率1.42%。大阪市に本店を置く大阪協栄信用組合。信用組合として全国有数の規模を持ち、商都・大阪の中小事業者に深く貸す信組。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 大阪府

大阪市に本店を置く大阪協栄信用組合は、地元で「きょうえい」と呼ばれる信用組合だ。預金8,583億円。信用組合としては全国でも有数の規模を持つ大型信組である。商都・大阪を地盤に、中小・零細の事業者に密着して貸してきた。

信用組合は、信用金庫よりもさらに組合員の枠が狭く、地域や業域に根ざした相互扶助の金融機関だ。規模も信金より小さいことが多い。そのなかで、大阪協栄信用組合が8,583億円もの預金を集めるのは、商都・大阪という土地の厚みと、長年の地域密着の積み重ねによるものだと読める。大阪には、中小・零細の事業者が数多く集まり、町工場や商店、サービス業がひしめく。そうした事業者の資金需要に応えてきたのが、この信組だ。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率64.6%という、信用組合として高めの水準だ。預金の6割超を貸出に回している。さらに、不良債権比率は1.42%と低い。よく貸しながら焦げ付きが少ない——なぜそれが可能なのか。同じ大阪の大型信組とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。大阪協栄信用組合の預金は8,583億円、貸出金は5,543億円。預貸率は64.6%で、預金の6割超を貸出に回している。自己資本比率は13.0%、不良債権比率は1.42%と低い。中小企業等への貸出残高は5,543億円にのぼる。

注目すべきは、預貸率64.6%という高さと、不良債権比率1.42%という低さの両立だ。同じ大阪市を地盤とする大型信組・大同信用組合(預貸率66.9%・不良債権比率2.54%)と比べると、両者は預貸率がともに6割台と高く、信用組合のなかでもよく貸す部類に入る。大阪協栄信用組合の不良債権比率1.42%は、大同信用組合(2.54%)よりさらに低い。商都・大阪の旺盛な資金需要に応えてよく貸しながら、貸出先をしっかり見極めて焦げ付きを抑える——その両立が、この信組の数字に表れていると読める。

大阪市の二つの大型信用組合(令和7年3月末)
 大阪協栄信用組合大同信用組合
本店大阪市大阪市
預金8,583億円7,032億円
預貸率64.6%66.9%
自己資本比率13.0%12.25%
不良債権比率1.42%2.54%

ともに大阪市を地盤とする全国有数の大型信組。両者とも預貸率6割台でよく貸す。大阪協栄信用組合は焦げ付きがより低く、商都の資金需要に応えながら手堅さも保つ姿がうかがえる。

商都の中小とともに——大阪協栄信用組合の歩み

大阪協栄信用組合は、商都・大阪の中小・零細の事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。大阪には、町工場や問屋、商店、サービス業など、数えきれないほどの小さな事業者が集まる。銀行が取引しにくい小さな事業者にとって、信用組合は身近な資金の出し手だ。大阪協栄信用組合は、そうした事業者に密着し、必要な資金を供給しながら、信用組合としては全国有数の規模へと成長してきた。

商都・大阪という土地は、信用組合にとって大きな地盤だ。事業者の数が多く、資金需要も旺盛で、よく貸せる。一方で、中小・零細への貸出は、相手の経営状況を見極める目が欠かせない。事業者一軒一軒との近い距離と、長年の取引で培った目利きが、よく貸しながら焦げ付きを抑える経営を支えていると読める。地域に密着した信用組合だからこそできる貸し方が、ここにある。

64.6%を、商都の信組から読む

大阪協栄信用組合の預貸率64.6%という高さは、商都・大阪の旺盛な資金需要に、よく応えてきたことの表れだと読める。中小・零細の事業者が数多く集まる大阪では、運転資金や設備資金の需要が絶えない。信用組合は、そうした需要に密着して応えることで、預金の6割超を貸出に回せる。これは、貸出先が地域に乏しく預貸率が低くとどまる地方の信組とは、対照的な姿だ。

そして、不良債権比率1.42%という低さは、よく貸しながらも、貸出先をしっかり見極めていることを示す。事業者との近い距離と目利きがあれば、よく貸しても焦げ付きは抑えられる。自己資本比率13.0%という水準も、信用組合として手堅い。商都の資金需要に深く応えながら、手堅さも失わない——それが、大阪協栄信用組合の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

大阪の経済とともに

大阪協栄信用組合の数字は、中小・零細の事業者がひしめく商都・大阪という土地と、そこに深く貸しながら手堅さも保つ大型信組の歩みの、両方を映している。信用組合として全国有数の規模を持ち、預金の6割超を地元に貸しながら、焦げ付きを低く抑えてきた。商都の資金需要に応える力と目利きが、64.6%という高い預貸率と1.42%という低い焦げ付きの両立に表れている。

銀行や信用金庫・信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。大阪協栄信用組合を見れば、中小・零細がひしめく商都・大阪の経済と、そこに深く貸す信組の姿が浮かぶ。大阪の他の協同組織金融機関は、市が生んだ大阪シティ信用金庫、北摂の北おおさか信用金庫、コミュニティから生まれた成協信用組合もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。大阪府の他の金融機関と並べて眺めたい方は、大阪府の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が高い金融機関は、地元の旺盛な資金需要に応えている一つの目安になる。ただし、よく貸すことと焦げ付きの少なさを両立できるかは、貸出先を見極める目にかかっている。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。大同信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(大阪市に本店を置き、商都・大阪を地盤とする信用組合であること、信用組合として全国有数の規模を持つこと、中小・零細の事業者に密着して貸してきたこと)に関する記述=大阪協栄信用組合および各種公開情報にもとづく。
大阪の経済(商都、中小・零細事業者、町工場、問屋、商業・サービス業)に関する記述=各種公開情報。

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