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九州ひぜん信用金庫——武雄温泉とやきものの里で、信金は何に貸すか

預貸率55.6%、預金1,626億円、自己資本比率9.72%、不良債権比率2.84%。武雄市に本店を置く九州ひぜん信用金庫。武雄温泉とやきものの里・肥前に根ざす信金が、何に貸すのか。同じ佐賀の金融機関と比べながら、その数字と歴史を読む。

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佐賀県の武雄市に本店を置く九州ひぜん信用金庫は、預金1,626億円を持つ信用金庫だ。店舗17。武雄市を中心に、佐賀県の西部から長崎県の一部にかけて、肥前の地を地盤としている。

本拠の武雄市は、1300年の歴史を持つ武雄温泉で知られる。朱塗りの楼門が温泉街を見守り、湯治の地として古くから親しまれてきた。周辺の肥前の地は、やきものの里でもある。日本磁器発祥の地・有田、伊万里、唐津——世界に名を知られる窯業の産地が広がる。2022年には西九州新幹線が開業し、武雄温泉駅が新たな結節点となった。温泉とやきものと新幹線——九州ひぜん信用金庫は、こうした肥前の地に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字を見ると、預貸率55.6%という標準的な水準で、不良債権比率2.84%という落ち着いた焦げ付きを保っている。なぜ、肥前の信金は、こうした数字になるのか。同じ佐賀を地盤とする金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。九州ひぜん信用金庫の預金は1,626億円、貸出金は904億円。預貸率は55.6%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は9.72%、不良債権比率は2.84%。店舗数は17、中小企業等への貸出残高は807億円。

同じ佐賀県で、やきものの積出港・伊万里の伊万里信用金庫(預貸率65.0%・不良債権比率3.04%)や、県都の佐賀信用金庫(預貸率54.2%)と比べると、九州ひぜん信用金庫は、県内の信金と近い水準で堅実に貸している。預貸率55.6%は佐賀信用金庫(54.2%)と並び、伊万里信用金庫(65.0%)よりやや低い。不良債権比率2.84%は、県内の信金のなかでも落ち着いた水準だ。温泉とやきものの肥前で、地元に堅実に貸す——それが、この信金の数字の姿だ。

佐賀県の信用金庫の比較(令和7年3月末)
 九州ひぜん信金伊万里信用金庫佐賀信用金庫
本店武雄市伊万里市佐賀市
預金1,626億円1,337億円
預貸率55.6%65.0%54.2%
自己資本比率9.72%11.34%
不良債権比率2.84%3.04%

九州ひぜん信用金庫は、県内の信金と近い水準で堅実に貸す。温泉とやきものの肥前に根ざし、落ち着いた焦げ付きを保っている。

肥前の地とともに——九州ひぜん信用金庫の歩み

九州ひぜん信用金庫は、肥前の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。武雄温泉の旅館・観光業、有田・伊万里・唐津の窯元や窯業関連の事業者、地元の商店、農家、そして肥前の地に住む人々——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を経て、肥前に広く根ざす信金へと歩み、現在の「九州ひぜん信用金庫」の名は、この肥前の地盤を映している。

肥前という土地は、信用金庫にとって、多様な地場産業の資金需要のある地盤だ。温泉・観光、やきもの、農業——それぞれに浮き沈みはあるが、世界に知られる窯業の伝統と、新幹線開業による観光の追い風が、地域に新しい動きをもたらしている。地元の中小に密着し、会員との関係のもとで堅実に貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率55.6%という水準と、不良債権比率2.84%という落ち着いた焦げ付きを支えている。自己資本比率9.72%は、信用金庫の国内基準4%を上回る水準だ。よく知る地元の事業者に見極めて貸すことで、焦げ付きを抑えてきた。

55.6%を、肥前から読む

九州ひぜん信用金庫の預貸率55.6%という水準は、温泉とやきものの肥前で、地元の多様な事業者に堅実に貸してきたことの表れだと読める。武雄温泉の観光業、有田・伊万里・唐津の窯業、農業——肥前の地場産業は多様で、それぞれに資金需要がある。九州ひぜん信用金庫は、その層に密着して貸し、預金の半分強を貸出に回している。不良債権比率2.84%という落ち着いた焦げ付きは、よく知る相手に見極めて貸してきたことを映す。

自己資本比率9.72%という健全な資本と、不良債権比率2.84%という落ち着いた焦げ付き、そして預貸率55.6%という堅実な貸出——この組み合わせは、温泉とやきものの肥前で、地元に堅実に貸す信金の姿を映している。派手さはないが、地域とともに着実に歩む。それが、九州ひぜん信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。西九州新幹線の開業による観光の追い風は、この地の事業者にも新しい商機をもたらしうる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

佐賀の経済とともに

九州ひぜん信用金庫の数字は、温泉とやきものの肥前という土地と、そこで堅実に貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の半分強を地元の会員に貸し、落ち着いた焦げ付きを保ちながら、武雄を中心とする肥前の中小・零細事業者を支えてきた。温泉・観光・窯業・農業という肥前の多様な経済が、55.6%という預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。九州ひぜん信用金庫を見れば、肥前の経済と、そこで堅実に貸す信金の姿が浮かぶ。佐賀県の他の金融機関は、やきものの積出港・伊万里の伊万里信用金庫、県都の佐賀信用金庫、県のトップバンク佐賀銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。佐賀県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、佐賀県の地域金融機関のページへ。

九州ひぜん信用金庫と融資・保証のはなし

九州ひぜん信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。温泉・観光、窯業、農業など多様な地場産業を抱える土地に根ざす信金では、地元の事業者に密着して堅実に貸し、預貸率が半分強に落ち着くことがある。自己資本比率や不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の貸し方が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。伊万里信用金庫・佐賀信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(武雄市に本店を置き、佐賀県西部から長崎県の一部にかけて肥前の地を地盤とする信用金庫であること、合併を経て肥前に広く根ざす信金になり現在の名がその地盤を映すこと、武雄市が1300年の歴史を持つ武雄温泉で知られ朱塗りの楼門が温泉街を見守ること、周辺の肥前が有田・伊万里・唐津などやきものの里であり日本磁器発祥の地を含むこと、2022年に西九州新幹線が開業し武雄温泉駅が結節点となったこと)に関する記述=九州ひぜん信用金庫および各種公開情報にもとづく。
武雄・肥前の地理・経済(武雄温泉、楼門、有田、伊万里、唐津、やきもの、窯業、磁器、西九州新幹線)に関する記述=各種公開情報。

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