佐賀信用金庫——県都の信金は、肥前の地で何に貸すか
預貸率54.2%、預金1,337億円、自己資本比率11.34%。佐賀市に本店を置く佐賀信用金庫。肥前の県都に根ざす「さがしん」が、何に貸すか。同じ佐賀県の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
佐賀県の県都・佐賀市に本店を置く佐賀信用金庫は、地元で「さがしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金1,337億円、店舗11。佐賀市を中心に、佐賀平野の一帯を地盤としている。県名と県都を冠する、佐賀県の中核の信金だ。
本拠の佐賀は、鍋島藩三十五万石の城下町を起こりとし、いまも佐賀県の県都として行政と商業の中心を担う。周辺に広がる佐賀平野は、有明海の干拓で開かれた肥沃な穀倉地帯で、米や麦、玉ねぎなどの農業が盛んだ。一方、大きな工業地帯の集積は福岡県側に比べると限られ、福岡都市圏にも近い。佐賀信用金庫は、こうした農業と商業の県都・佐賀に根ざしてきた信金だ。
この信金の数字を見ると、預貸率54.2%という、信用金庫として標準からやや高めの水準が目を引く。預金の半分強を貸出に回している。肥前の県都で、佐賀信用金庫は何に貸しているのか。同じ佐賀県の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。佐賀信用金庫の預金は1,337億円、貸出金は725億円。預貸率は54.2%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は11.34%、不良債権比率は3.58%。店舗数は11、中小企業等への貸出残高は637億円。
同じ佐賀県で、唐津市を地盤とする唐津信用金庫(預貸率56.8%・自己資本比率8.5%)と比べると、両者は近い。預貸率はともに5割台で、佐賀県の信金が地元によく貸していることを示す。一方、自己資本比率は佐賀信用金庫(11.34%)が唐津信用金庫(8.5%)を上回り、佐賀信用金庫のほうが資本に厚みがある。同じ佐賀県の信金でも、県都の佐賀信用金庫は、よく貸しながら、より厚い自己資本を保っている。これは、県都・佐賀の商業・農業の資金需要に応えながら、堅実に資本を積んできたことの表れだと読める。
| 佐賀信用金庫 | 唐津信用金庫 | |
|---|---|---|
| 本店 | 佐賀市 | 唐津市 |
| 預金 | 1,337億円 | 955億円 |
| 預貸率 | 54.2% | 56.8% |
| 自己資本比率 | 11.34% | 8.5% |
| 不良債権比率 | 3.58% | 4.03% |
ともに佐賀県を地盤とする二つの信金。預貸率はともに5割台で、地元によく貸す。県都の佐賀信用金庫はより厚い自己資本を持つ。県内で信金が地域の資金需要を支える姿が数字に表れている。
肥前の県都とともに——佐賀信用金庫の歩み
佐賀信用金庫は、肥前の県都・佐賀の商人や事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。城下町以来の商店、佐賀平野の農家、地域の中小事業者、そして住民——こうした人々が預金を預け、必要なときに資金を借りる。佐賀信用金庫は、県都を中心に、佐賀平野の暮らしと商いに寄り添ってきた。
佐賀という土地は、信用金庫にとって、農業と商業に支えられた地盤だ。県都・佐賀市の商業・サービス業に加え、佐賀平野の農業がある。隣接する福岡都市圏に人や経済が引かれる面もあるが、県都の商業と地場の農業は、地元の信用金庫にとって貸出先となる。県都の商業・農業の資金需要があり、信用金庫はそれに応えて貸せる——この構図が、54.2%という標準からやや高めの預貸率の背景にあると読める。そのなかで、自己資本を堅実に積み、11.34%という厚みを保っている。
54.2%を、肥前の県都から読む
佐賀信用金庫の預貸率54.2%という水準は、県都・佐賀の商業・農業の資金需要に、よく応えていることの表れだと読める。城下町以来の商店、佐賀平野の農家、地域の中小事業者——こうした地元の借り手に貸すことで、信用金庫は預金の半分強を貸出に回せる。同じ佐賀県の唐津信用金庫も預貸率は5割台で、佐賀県の信金がそろって地元によく貸していることがうかがえる。
自己資本比率11.34%という水準は、よく貸しながらも、堅実に資本を積んでいることを示す。不良債権比率3.58%という数字は、地場の農業・中小事業の事情を映すが、自己資本がこれを吸収できる水準にある。肥前の県都で、商業・農業の資金需要によく応えながら、厚い自己資本で守りも固める——それが、佐賀信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。県都の信金として、地域の資金需要を支えるこの姿は、地方の県都に根ざす信用金庫の一つのかたちだと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
佐賀の経済とともに
佐賀信用金庫の数字は、農業と商業の県都・佐賀という土地と、そこで地元によく貸しながら堅実に資本を積む信金の歩みの、両方を映している。預金の半分強を地元に貸しながら、厚い自己資本で守りも固めてきた。県都・佐賀の商業と佐賀平野の農業が、54.2%という預貸率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。佐賀信用金庫を見れば、肥前の県都・佐賀の経済と、そこで地元に貸す信金の姿が浮かぶ。佐賀県の他の金融機関は、やきものの里の伊万里信用金庫、県トップの地銀佐賀銀行、第二地銀の佐賀共栄銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。佐賀県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、佐賀県の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。唐津信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(佐賀市に本店を置き、佐賀平野の一帯を地盤とする信用金庫であること、佐賀が鍋島藩の城下町を起こりとする佐賀県の県都であること、佐賀平野が有明海の干拓で開かれた穀倉地帯であること、福岡都市圏に近いこと)に関する記述=佐賀信用金庫および各種公開情報にもとづく。
佐賀・肥前の地理・産業(佐賀平野、鍋島藩、城下町、有明海、干拓、米、麦、玉ねぎ、福岡都市圏)に関する記述=各種公開情報。