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佐賀共栄銀行——全国最小級の第二地銀は、肥前の地で何に貸すか

預貸率83.1%、預金2,349億円、店舗34。佐賀市に本店を置く佐賀共栄銀行。無尽を源流とする佐賀県唯一の第二地方銀行。全国でも最小級の規模ながら、預金の8割超を地元に貸すその数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 佐賀県

佐賀県の県都・佐賀市に、佐賀共栄銀行の本店はある。県内には県トップバンクの佐賀銀行があり、佐賀共栄銀行は、それに次ぐ佐賀県唯一の第二地方銀行として、地元の中小事業者に寄り添ってきた。

佐賀県は、九州の北西部に位置する、有明海と玄界灘の二つの海に面した県だ。有明海沿いの平野は穀倉地帯として知られ、有田・伊万里の焼物、唐津の歴史と、個性ある地場の産業が点在する。福岡と長崎にはさまれ、人口規模は大きくないが、農業と地場産業に支えられた堅実な経済を持つ。その土地で、佐賀共栄銀行は、小さくとも地元に密着した銀行として歩んできた。

この銀行のいちばんの特徴は、その規模の小ささだ。預金は2,349億円、店舗は34。これは、全国の第二地方銀行のなかでも最小級の規模である。小さな県の、小さな銀行。だが、その小ささのなかに、地域金融の一つの姿がある。数字とともに、その姿を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。佐賀共栄銀行の預金は2,349億円、貸出金は1,953億円。預貸率は83.1%で、預金の8割を超える額を貸出に回している。自己資本比率は9.62%、不良債権比率は2.74%。店舗数は34、中小企業等への貸出残高は1,794億円にのぼる。

目を引くのは、規模の小ささと、預貸率83.1%という高さの組み合わせだ。預金2,349億円は、地方銀行・第二地方銀行のなかでも際立って小さい。だが、その小さな預金の8割を超える額を、地元に貸している。県トップの佐賀銀行(77.4%)を上回るこの預貸率は、小さくとも地元によく貸すという、この銀行の姿勢をはっきり示している。一方、不良債権比率2.74%はやや高め。小さな銀行が地元の中小に深く関わってきたことの裏返しだと読める。

佐賀県内の二つの銀行(令和7年3月末)
 佐賀共栄銀行佐賀銀行
種別第二地方銀行地方銀行
預金2,349億円29,178億円
貸出金1,953億円22,574億円
預貸率83.1%77.4%
店舗数34103

県を代表するのは佐賀銀行。預金量では十数倍の差があり、店舗数も3倍だ。そのなかで佐賀共栄銀行は、全国最小級の規模ながら、預貸率では佐賀銀行を上回る。規模ではなく、地元への密着で存在感を示す構図だ。

無尽から始まった——佐賀の小さな銀行

佐賀共栄銀行の源流は、戦後の無尽にあるとされる。無尽とは、人々が金を出し合い、くじや入札で順番に融通し合う、庶民の相互金融のしくみだ。佐賀の地に根ざした無尽が、相互銀行の時代を経て、いまの佐賀共栄銀行へとつながっている。多くの第二地方銀行と同じく、庶民の相互金融から出発した銀行だと伝えられる。

その歩みのなかで、佐賀共栄銀行は、大きく規模を広げることはなかった。県の名を冠した佐賀銀行が県全体を広く覆うのに対し、佐賀共栄銀行は、佐賀市を中心とする限られた範囲で、地元の中小事業者に貸すことを役割としてきた。「共栄」という名のとおり、地元とともに栄えることを掲げる、小さくとも地域に根ざした銀行である。福岡や長崎の大きな金融機関が県境を越えて進出してくるなかでも、佐賀の地に踏みとどまり、地元に貸し続けてきた。

83.1%を、全国最小級の地銀から読む

佐賀共栄銀行の預貸率83.1%は、第二地方銀行のなかでもよく貸す部類に入る。全国最小級の規模でありながら、集めた預金の8割を超える額を地元に貸している。この数字の背景には、小さな銀行ならではの、地元への密着があると読める。

規模が小さいということは、扱う預金も貸出も限られるということだ。大企業向けの大口融資や、市場での大規模な運用に手を広げる余地は小さい。そのぶん、この銀行は、顔の見える地元の中小事業者に、着実に貸すことに集中してきた。それが、高い預貸率となって表れている。不良債権比率2.74%というやや高めの数字は、その密着ゆえに、地元経済の浮き沈みを直に引き受けてきたことの裏返しでもある。小さいからこそ、地元と運命をともにする——その姿が、この数字には映っている。

人口規模の大きくない佐賀で、福岡と長崎の大きな金融機関にはさまれながら、全国最小級の銀行が独立を保ち、地元に貸し続けている。それは、規模の大きさだけでは測れない、地域金融の一つの値打ちを示している。小さくとも、地元のために貸す銀行が、その土地にある意味は小さくない。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

肥前の経済とともに

佐賀共栄銀行の数字は、農業と地場産業に支えられた佐賀という土地と、全国最小級の規模で地元に貸し続ける第二地銀の姿の、両方を映している。庶民の無尽から始まり、大きく規模を広げることなく、佐賀の地に踏みとどまり、「共栄」の名のとおり地元とともに歩んできた。規模ではなく、密着で存在感を保つ——その姿が、83.1%という高い預貸率に表れている。

銀行の数字は、その土地の経済と、その銀行の生き方を映す鏡だ。佐賀共栄銀行を見れば、二つの海に面した佐賀と、全国最小級の規模で地元に貸し続ける小さな銀行の姿が浮かぶ。同じ佐賀県の県トップの姿は、佐賀銀行の記事もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。佐賀県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、佐賀県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。佐賀銀行の数値も同出典。
沿革(無尽を源流とし相互銀行の時代を経て佐賀県唯一の第二地方銀行となったこと、佐賀市を中心に地元の中小事業者に貸すことを役割としてきたこと、全国の地方銀行・第二地方銀行のなかでも最小級の規模であること)に関する記述=佐賀共栄銀行および各種公開情報にもとづく。詳細な設立年や統合の経緯など確認が困難な事項については、確実な範囲にとどめて記述した。
佐賀県の地理・産業(有明海と玄界灘の二つの海、有明海沿いの穀倉地帯、有田・伊万里の焼物、唐津、福岡と長崎にはさまれた立地)に関する記述=各種公開情報。

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