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青木信用金庫——同じ川口の二信金は、どう貸し分けているか

預貸率52.5%、預金7,949億円、自己資本比率9.89%、不良債権比率3.62%。川口市に本店を置く青木信用金庫。鋳物のまち・川口に根ざし、同じ市内に本店を置く川口信用金庫と並び立つ二信金の一つが、何に貸すのか。その数字と歴史を読む。

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ニホン銀行紀行 ・ 埼玉県

埼玉県の川口市に本店を置く青木信用金庫は、預金7,949億円を持つ信用金庫だ。店舗37。「あおしん」の愛称で知られ、川口市を中心に、さいたま市や草加・越谷など埼玉県南部を地盤としている。

本拠の川口市は、古くから鋳物のまちとして知られてきた。江戸期から鍋・釜・鉄瓶などの鋳物づくりが栄え、近代には機械・部品の製造業へと広がった。荒川を挟んで東京と接する立地から、戦後は住宅地としても急速に発展し、いまや人口60万人を超える埼玉県第二の都市だ。鋳物の町工場、機械・金属の中小製造業、そして都心へ通う人々の住む街——青木信用金庫は、こうした鋳物のまち・川口に根ざしてきた信金だ。

この川口市には、もう一つ、市内に本店を置く信用金庫がある。川口信用金庫(預金9,985億円・預貸率56.4%)だ。同じ川口市に本店を構える二つの信金が、並び立っている。青木信用金庫の数字を、このもう一つの川口の信金とも比べながら読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。青木信用金庫の預金は7,949億円、貸出金は4,177億円。預貸率は52.5%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は9.89%、不良債権比率は3.62%。店舗数は37、中小企業等への貸出残高は3,795億円。

同じ川口市に本店を置く川口信用金庫(預金9,985億円・預貸率56.4%・不良債権比率1.97%)と比べると、二つの信金は、似た規模で、似た貸し方をしている。預金規模は川口信用金庫がやや大きく、預貸率も56.4%対52.5%で川口信用金庫がわずかに上回る。不良債権比率は川口信用金庫(1.97%)が青木信用金庫(3.62%)より低い。とはいえ、どちらも預金の半分強を貸出に回し、鋳物のまちの中小製造業と県南の住民に貸す、という基本の姿は重なっている。同じ川口の二信金は、競い合いながら、ともに地元の中小を支えてきたと読める。

同じ川口市の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 青木信用金庫川口信用金庫
本店川口市川口市
預金7,949億円9,985億円
預貸率52.5%56.4%
自己資本比率9.89%
不良債権比率3.62%1.97%

同じ川口市に本店を置く二つの信金。規模・預貸率は近く、ともに鋳物のまちの中小と県南の住民に貸す。不良債権比率には差がある。

鋳物のまちとともに——青木信用金庫の歩み

青木信用金庫は、川口の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。鋳物の町工場、機械・金属の製造業、地元の商店、そして県南に住む人々——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を経て、埼玉県南部に広く根ざす信金へと歩んできた。

川口という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要のある地盤だ。鋳物から発展した機械・金属の中小製造業、東京に近い立地を生かした物流・サービス業、そして人口60万人を超える街の住民——多様な需要が広がる。地元の中小に密着し、会員との関係のもとで貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率52.5%という水準を支えている。自己資本比率9.89%は、信用金庫の国内基準4%を十分に上回り、健全な水準だ。不良債権比率3.62%はやや高めだが、地域の事業の浮き沈みを引き受けるなかで、おおむね落ち着いた水準を保っていると読める。

52.5%を、川口から読む

青木信用金庫の預貸率52.5%という水準は、鋳物のまち・川口で、会員の資金需要に応えつつ、運用とのバランスを取っていることの表れだと読める。鋳物から発展した機械・金属の中小製造業、県南の商店や住民は、信用金庫が貸す相手のある土地だ。一方、大企業や大規模な設備投資は、信用金庫より大手銀行が主に資金を供給する。青木信用金庫は、その間にある中小・零細事業者に密着して貸し、預金の半分強を貸出に回している。

自己資本比率9.89%という健全な資本と、不良債権比率3.62%というおおむね落ち着いた焦げ付きは、川口で会員に着実に貸し、運用とのバランスを保ってきたことを映す。鋳物のまちで、もう一つの信金と競い合いながら、中小に密着して貸す——それが、青木信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。同じ市内に二つの信金が並び立つという構図そのものが、川口という土地に厚い中小の層があることの証でもある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

埼玉の経済とともに

青木信用金庫の数字は、鋳物のまち・川口という土地と、そこで中小に密着して貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の半分強を地元の会員に貸し、健全な資本を保ちながら、川口を中心とする埼玉県南部の中小・零細事業者を支えてきた。鋳物から発展した中小製造業と、人口60万人を超える街の経済が、52.5%という預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。青木信用金庫を見れば、川口の経済と、そこで中小に貸す信金の姿が浮かぶ。埼玉県の他の金融機関は、同じ川口の川口信用金庫、埼玉北部の埼玉縣信用金庫、奥武蔵の飯能信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。埼玉県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、埼玉県の地域金融機関のページへ。

青木信用金庫と融資・保証のはなし

青木信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。鋳物から発展した中小製造業と住民を抱える都市部では、中小・零細事業者の資金需要に応えつつ、預金の残りを有価証券などの運用に向け、預貸率が半分前後に落ち着くことがある。自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の堅実さが見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。川口信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(川口市に本店を置き、「あおしん」の愛称で知られ、川口市・さいたま市・草加・越谷など埼玉県南部を地盤とする信用金庫であること、合併を経て県南部に広く根ざす信金になったこと、川口市が古くから鋳物のまちとして知られ江戸期から鋳物づくりが栄え近代に機械・部品の製造業へ広がったこと、荒川を挟んで東京と接し戦後は住宅地として発展し人口60万人を超える埼玉県第二の都市であること、同じ川口市に川口信用金庫が本店を置くこと)に関する記述=青木信用金庫および各種公開情報にもとづく。
川口の地理・経済(川口、鋳物、機械、金属、製造業、荒川、住宅地、埼玉県南部)に関する記述=各種公開情報。

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