湖東信用金庫——近江商人の地・東近江で、ことしんは何に貸すか
預貸率44.1%、預金2,146億円、自己資本比率13.57%、不良債権比率5.05%。滋賀県東近江市に本店を置く湖東信用金庫。近江商人を生んだ地・東近江に根ざす「ことしん」が、何に貸すのか。同じ滋賀の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
滋賀県の東近江市に本店を置く湖東信用金庫は、預金2,146億円を持つ信用金庫だ。店舗12。地元で「ことしん」と呼ばれ、東近江市を中心に、近江八幡市・甲賀市・湖南市・蒲生郡日野町など、琵琶湖東の湖東地域に展開する。近江商人を生んだ地・東近江に根ざす信金だ。
本拠の東近江市は、滋賀県の南東部、鈴鹿山脈から琵琶湖へと愛知川が流れる地に広がる。中心の旧・八日市は、その名のとおり市が立つ商いのまちとして栄えた。周辺の五個荘や近江八幡は、近江商人——「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の精神で全国に商いを広げた商人たち——を多く輩出した地として知られる。白壁と舟板塀の商家の町並みが、いまも近江商人の繁栄を伝える。湖東信用金庫は、こうした商いの伝統が息づく湖東に根ざし、地域の中小事業者と住民に貸してきた。「東近江三方よし基金」への参画など、近江商人の精神を受け継ぐ地域づくりにも取り組んでいる。
この信金の数字を見ると、預貸率44.1%という、信用金庫として中位の水準が目を引く。預金の4割強を貸出に回している。自己資本比率は13.57%。商いの地の信金は、何に貸しているのか。同じ滋賀の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。湖東信用金庫の預金は2,146億円、貸出金は947億円。預貸率は44.1%で、預金の4割強を貸出に回している。自己資本比率は13.57%、不良債権比率は5.05%。店舗数は12。
同じ滋賀県の信金と比べてみる。県内最大の信金で彦根・近江八幡を地盤とする滋賀中央信用金庫(預貸率57.6%・預金4,757億円)、琵琶湖北の長浜信用金庫(預貸率37.9%・自己資本比率19.9%)と並べると、湖東信用金庫の預貸率44.1%は、滋賀の信金のなかでちょうど中位だ。よく貸す滋賀中央(57.6%)と、貸出を抑えめにする長浜(37.9%)の、ちょうど中間に位置する。自己資本比率13.57%も、滋賀中央(10.2%)より厚く、長浜(19.9%)より薄い、中位の水準だ。近江商人の地・東近江で、地域の中小に身の丈に合った貸出をしながら、資本もほどよく保つ——バランスの取れた経営がうかがえる。不良債権比率5.05%はやや高めで、地域の事業の浮き沈みを引き受けてきたことをうかがわせる。
| 湖東信用金庫 | 滋賀中央信用金庫 | 長浜信用金庫 | |
|---|---|---|---|
| 本店 | 東近江市 | 近江八幡市 | 長浜市 |
| 預貸率 | 44.1% | 57.6% | 37.9% |
| 自己資本比率 | 13.57% | 10.2% | 19.9% |
| 不良債権比率 | 5.05% | 3.51% | 4.58% |
いずれも滋賀県の信金。湖東は預貸率・自己資本ともに、よく貸す滋賀中央と守りの長浜の、ちょうど中間に位置する。
八日市信用組合から——湖東信用金庫の歩み
湖東信用金庫は、1948年(昭和23年)7月の創立を経て、同年8月23日に「八日市信用組合」として創業した。中心地・八日市(現在の東近江市)の名を冠した組合だった。1950年(昭和25年)に中小企業等協同組合法に基づき改組し、1951年(昭和26年)7月に「湖東信用組合」へ改称、翌1952年(昭和27年)3月、信用金庫法に基づき湖東信用金庫となった。本店は東近江市青葉町に置かれ、略称は「ことしん」。東近江市を中心に、近江八幡・甲賀・湖南・日野など湖東地域に店舗を構えている。「地域の産業と地域社会の発展に貢献する」ことを使命に掲げ、近江商人ゆかりの地で地域とともに歩んできた。
近江商人の地・東近江という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。愛知川流域の農業、五個荘・近江八幡の商いの伝統、東近江の地場の中小製造業、そして琵琶湖東の住民の暮らし——堅実だが、大型の資金需要が次々と生まれる土地ではない。預金は地域から着実に集まり、その4割強を地域の中小に貸す。預貸率44.1%という中位の水準は、湖東経済の厚みと、それに応えてきた姿勢の表れだと読める。自己資本比率13.57%という中位の資本も、よく貸しすぎず、抑えすぎず、ほどよく備えるバランスの表れだ。三方よしの精神が息づく地で、地域とともに無理なく歩む——その堅実さが、湖東信金の数字に表れていると読める。不良債権比率5.05%というやや高めの数字は、地域の事業の浮き沈みを地道に引き受けてきたことを映していると読める。
44.1%を、近江商人の地から読む
湖東信用金庫の預貸率44.1%という中位の水準は、近江商人を生んだ商いの地・東近江で、地域の中小に身の丈に合った貸出をしながら、資本もほどよく保ってきたことの表れだと読める。よく貸す滋賀中央と、守りの長浜の、ちょうど中間。預金は着実に集まり、その4割強を地域に貸す。
そのうえで、自己資本比率13.57%という中位の資本を保っていることが、この信金の性格を物語る。よく貸しすぎず、抑えすぎず、ほどよく備える。三方よしの精神が息づく地で、地域とともに無理なく歩むバランスの経営——その姿勢が、44.1%という中位の預貸率と、13.57%という中位の自己資本に表れていると読める。近江商人ゆかりの東近江で、ことしんは湖東の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
滋賀の経済とともに
湖東信用金庫の数字は、近江商人を生んだ商いの地・東近江という土地と、戦後に発足して地域に根ざしてきた歴史の、両方を映している。三方よしの精神が息づく湖東に根ざし、地域の中小に身の丈に合った貸出をしながら、資本もほどよく保ってきた。商いの伝統が息づく東近江という土地柄が、44.1%という中位の預貸率と、13.57%という中位の自己資本に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。湖東信用金庫を見れば、近江商人の地・東近江の経済と、そこでバランスよく貸す信金の姿が浮かぶ。滋賀県の他の金融機関は、県内最大の滋賀中央信用金庫、琵琶湖北の長浜信用金庫、県全域の滋賀県信用組合、県唯一の地銀滋賀銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。滋賀県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、滋賀県の地域金融機関のページへ。
湖東信用金庫は、近江商人を生んだ地・東近江に根ざし、地域の中小にバランスよく貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。滋賀中央信用金庫・長浜信用金庫の数値も同出典。
沿革(1948年7月の創立を経て同年8月に「八日市信用組合」として創業したこと、1951年7月に湖東信用組合へ改称したこと、1952年3月に信用金庫法に基づき湖東信用金庫となったこと、本店が東近江市青葉町にあること、東近江市を中心に近江八幡・甲賀・湖南・日野などに店舗を持つこと、略称が「ことしん」であること、東近江三方よし基金に参画すること)=湖東信用金庫および各種公開情報にもとづく。
東近江の地理・歴史(東近江市、旧・八日市、近江商人、三方よし、五個荘、近江八幡、愛知川、鈴鹿山脈、琵琶湖)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。
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