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滋賀県信用組合——甲賀から県内へ、けんしんは何に貸すか

預貸率75.2%、預金1,375億円、自己資本比率12.42%、不良債権比率5.33%。滋賀県甲賀市に本店を置く滋賀県信用組合。甲賀に生まれ県内へ広がった「けんしん」が、なぜ預金の四分の三を貸すのか。同じ滋賀の地域金融機関と比べながら、その数字と歴史を読む。

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ニホン銀行紀行 ・ 滋賀県

滋賀県の甲賀市に本店を置く滋賀県信用組合は、預金1,375億円を持つ信用組合だ。店舗11。地元では「けんしん」と呼ばれる。県名を冠してはいるが、その本店は県庁所在地の大津ではなく、県の南東部・甲賀にある。甲賀に生まれ、そこから大津・草津など県内へ営業地域を広げてきた信用組合だ。

本店を置く甲賀市は、滋賀県の南東部、三重県との県境に近い一帯だ。「甲賀流忍者」の郷として知られ、また東海道の宿場町・水口や、信楽焼の産地・信楽を含む。古くから街道と物流の要を担い、いまは内陸の製造業や農業、窯業が地域経済を形づくる。一方、営業地域の北西へ向かえば、京阪神への通勤圏として人口の増える草津・大津へとつながる。滋賀県信用組合は、こうした甲賀を起点に県内へ広がる一帯に根ざし、中小・零細事業者と住民を組合員として支えてきた信用組合だ。なお、県内には名称のよく似た滋賀県民信用組合(大津市・運輸観光業を母体とする信組)もあるが、両者は別の信用組合である。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率75.2%という高さだ。集めた預金の四分の三を貸出に回している。信用金庫や信用組合には、預金の半分前後しか貸さない「守りの経営」も多いなかで、滋賀県信用組合はよく貸す。なぜ、甲賀発祥のこの信組は、こうした数字になるのか。同じ滋賀を地盤とする金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。滋賀県信用組合の預金は1,375億円、貸出金は1,034億円。預貸率は75.2%で、預金の四分の三を貸出に回している。自己資本比率は12.42%、不良債権比率は5.33%。店舗数は11、中小企業等への貸出残高は964億円、貸出先は5千件を超える。

同じ滋賀県を地盤とする滋賀中央信用金庫(預貸率57.6%・不良債権比率3.51%)と比べると、滋賀県信用組合の預貸率75.2%は際立って高い。信用金庫が預金の6割弱を貸出に回すのに対し、この信組は四分の三を貸している。一方、不良債権比率は滋賀県信用組合(5.33%)が滋賀中央信用金庫(3.51%)をやや上回る。よく貸すぶん、相応の焦げ付きも引き受けていると読める。ただし自己資本比率は12.42%と厚く、その焦げ付きを吸収する備えは十分にある。甲賀発祥の地域信組として、組合員の中小に深く踏み込んで貸す——その姿勢が数字に表れている。

滋賀県の協同組織金融機関(令和7年3月末)
 滋賀県信用組合滋賀中央信用金庫
本店甲賀市近江八幡市
預金1,375億円4,757億円
預貸率75.2%57.6%
自己資本比率12.42%10.20%
不良債権比率5.33%3.51%

滋賀県信用組合は、信用金庫より高い預貸率で貸す。よく貸すぶん焦げ付きはやや高いが、厚い自己資本がそれを吸収する備えとなっている。

甲賀から県内へ——滋賀県信用組合の歩み

滋賀県信用組合は、1951年(昭和26年)12月、甲賀信用協同組合として設立された。出発点は、忍者の郷として知られる甲賀の地だ。東海道の宿場町・水口を中心に、街道沿いの商人や事業者の相互扶助のための金融機関として歩み始めた。その後、滋賀県信用組合へと名を改め、本店を甲賀に置いたまま、大津・草津といった県の中心部へと営業地域を広げてきた。県名を冠しながら、本店が県庁所在地ではなく南東部の甲賀にあるのは、こうした成り立ちによる。

甲賀を起点に県内へ広がる一帯は、信用組合にとって、組合員の資金需要のある地盤だ。甲賀の内陸製造業・窯業、街道沿いの商い、そして京阪神通勤圏として人口の増える草津・大津の事業——多様な顔を持つ。「金融という業務を通じて、組合員である地元の皆様のニーズに応える」ことを使命に掲げ、組合員の中小に踏み込んで貸す。近年は、商工組合中央金庫とのシンジケートローンの連携など、単独では応えきれない規模の資金需要にも取り組みを広げてきた。本業の事業融資に深く踏み込む姿勢が、預貸率75.2%という高い水準を支えている。

75.2%を、甲賀から読む

滋賀県信用組合の預貸率75.2%という高さは、甲賀発祥の地域信組として、組合員の中小に深く踏み込んで貸していることの表れだと読める。甲賀の内陸製造業・窯業から、人口の増える草津・大津の事業まで、営業地域には資金需要が広がる。滋賀県信用組合は、本業の事業融資を重んじ、組合員に深く貸し、預金の四分の三を貸出に回している。

不良債権比率5.33%という、やや高めの数字は、よく貸すぶん、相応の焦げ付きも引き受けていることを映す。預金の四分の三を貸す積極的な姿勢は、地域の事業者の浮き沈みを引き受けることと表裏一体だ。ただし、自己資本比率12.42%という厚い資本が、その焦げ付きを吸収する備えとなっている。甲賀から県内へ広がり、組合員の中小に深く貸しながら、厚い資本で備える——それが、滋賀県信用組合の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

滋賀の経済とともに

滋賀県信用組合の数字は、甲賀という土地と、そこから県内へ広がって組合員の中小に深く貸す信組の歩みの、両方を映している。預金の四分の三を地元の組合員に貸し、甲賀の製造業・窯業から草津・大津の事業までを支えてきた。甲賀を起点に県内へ広がる経済が、75.2%という高い預貸率に表れている。

銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。滋賀県信用組合を見れば、甲賀から県内へ広がる経済と、そこで深く貸す信組の姿が浮かぶ。滋賀県の他の金融機関は、近江八幡の滋賀中央信用金庫、県を代表する滋賀銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。滋賀県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、滋賀県の地域金融機関のページへ。

滋賀県信用組合と融資・保証のはなし

預貸率75.2%の滋賀県信用組合は、組合員の中小に深く貸す貸出型の信用組合です。実際に借りることを考えるなら、申込の前に手順と制度を押さえておきたいもの。融資の進め方と保証のしくみを、用語とあわせてまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。組合員の中小に深く踏み込んで貸す信用組合は、預貸率が高くなる。よく貸すぶん相応の焦げ付きも引き受けるため、その備えとなる自己資本比率や、焦げ付きの度合いを示す不良債権比率とあわせて見ることが大切になる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。滋賀中央信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(甲賀市水口町に本店を置く信用組合であること、1951年12月に甲賀信用協同組合として設立され、のち滋賀県信用組合に改称し甲賀に本店を置いたまま大津・草津など県内へ営業地域を広げたこと、県内に名称の類似する滋賀県民信用組合〈大津市・運輸観光業を母体とする信組〉が別に存在すること、商工組合中央金庫とのシンジケートローン連携などに取り組んでいること、甲賀が甲賀流忍者の郷であり東海道の宿場町・水口や信楽焼の産地・信楽を含むこと)に関する記述=滋賀県信用組合および各種公開情報にもとづく。
甲賀・滋賀の地理・経済(甲賀、水口、信楽、信楽焼、東海道、草津、大津、京阪神通勤圏)に関する記述=各種公開情報。

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