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日本海信用金庫——石見の港町・浜田で、にほんかいしんは何に貸すか

預貸率48.8%、預金1,054億円、自己資本比率11.49%、不良債権比率4.4%。島根県浜田市に本店を置く日本海信用金庫。石見地方の港町・浜田に根ざし、浜田市に本店を置く唯一の金融機関である日本海信金が、何に貸すのか。同じ島根の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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島根県の浜田市に本店を置く日本海信用金庫は、預金1,054億円を持つ信用金庫だ。店舗10。浜田市を中心に、江津市・益田市など、島根県西部の石見地方を地盤とする。石見の港町・浜田に根ざす信金だ。

本拠の浜田市は、島根県の西部、日本海に面した石見地方の中心都市だ。古くから北前船の寄港地として栄えた港町であり、いまも県内有数の漁港・浜田漁港を擁する。ノドグロ(アカムツ)などのブランド魚「どんちっち」で知られ、石見神楽の伝統が色濃く受け継がれる土地でもある。石見畳ヶ浦のような奇勝もあり、海と漁、神楽のまちだ。一方で、石見地方は中国山地が日本海に迫る地形で、人口減少と高齢化が進む。日本海信用金庫は、こうした石見の港町・浜田に根ざし、地域の中小事業者と住民、漁業者に貸してきた。浜田市に本店を置く唯一の金融機関として、地域に深く根ざしている。

この信金の数字を見ると、預貸率48.8%という、信用金庫として標準的な水準が目を引く。預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は11.49%。港町の信金は、何に貸しているのか。同じ島根の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。日本海信用金庫の預金は1,054億円、貸出金は515億円。預貸率は48.8%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は11.49%、不良債権比率は4.4%。店舗数は10。

同じ島根県の信金と比べてみる。松江のしまね信用金庫(預貸率54.2%・自己資本比率9.8%)、出雲の島根中央信用金庫(預貸率59.1%・預金2,939億円)と並べると、日本海信用金庫の預貸率48.8%は、島根の信金のなかではやや低めだ。出雲・松江という県東部の都市部の信金が5~6割台で貸すのに対し、石見地方の日本海信金は半分弱にとどまる。これは、人口減少が進む県西部を地盤とし、大型の資金需要が乏しいことの表れだと読める。自己資本比率11.49%は、しまね信金(9.8%)より厚く、信用金庫として標準的な水準だ。石見の中小と漁業に着実に貸しながら、資本も保つ姿がうかがえる。不良債権比率4.4%は標準的だ。

島根県の信用金庫(令和7年3月末)
 日本海信用金庫しまね信用金庫島根中央信用金庫
本店浜田市松江市出雲市
預貸率48.8%54.2%59.1%
自己資本比率11.49%9.8%8.75%
不良債権比率4.4%2.76%4.25%

いずれも島根県の信金。日本海は県東部の都市部の信金より預貸率が低い一方、自己資本比率は最も厚い。石見地方の堅実な経営を映す。

浜田町信用組合から——日本海信用金庫の歩み

日本海信用金庫は、1923年(大正12年)12月、「有限責任浜田町信用組合」として設立された。石見の港町・浜田の商工業者と漁業者を支える組合だった。1951年(昭和26年)10月、信用金庫法に基づき信用金庫に転換し、浜田信用金庫に改組した。そして1995年(平成7年)5月、隣接する江津信用金庫と合併し、日本海に面した石見地方を表す「日本海信用金庫」に名称を変更した。本店は浜田市に置かれ、金融機関コードは1711。2023年(令和5年)には創業100年を迎えた。

石見の港町・浜田という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。浜田漁港の漁業と水産加工、地場の中小商工業、そして日本海に面した港町の暮らし——全国と比べて建設業と農林水産業の比率が高い産業構造を持つ。人口減少と高齢化が進む県西部で、日本海信金は浜田市に本店を置く唯一の金融機関として、地域に深く根ざしてきた。預貸率48.8%という標準的な水準は、漁業と中小に着実に貸してきた姿勢の表れだ。自己資本比率11.49%という、島根の信金のなかで最も厚い資本は、人口減少が進む地で健全性を保とうとする堅実さの表れだと読める。後継者支援の「せがれ塾」や、石見神楽「どんちっち祭り」の主催など、地域の事業と伝統文化を次世代につなぐ取り組みにも力を入れてきた。これは、唯一の地元金融機関として地域の未来を支えようとする姿勢の表れだ。

48.8%を、石見の港町から読む

日本海信用金庫の預貸率48.8%という水準は、人口減少が進む石見地方で、港町・浜田の漁業と中小に着実に貸してきたことの表れだと読める。県東部の都市部の信金が5~6割台で貸すのに対し、石見の日本海信金は半分弱。預金は着実に集まり、その半分弱を地域に貸す。

そのうえで、自己資本比率11.49%という、島根の信金で最も厚い資本を保っていることが、この信金の性格を物語る。人口減少が進む地で、漁業と中小に貸しながら、資本の備えを欠かさない。浜田唯一の金融機関として、地域に残り、地域の未来を支える——その姿勢が、48.8%という預貸率と、11.49%という資本に表れていると読める。石見の港町・浜田で、にほんかいしんは石見地方の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

島根の経済とともに

日本海信用金庫の数字は、石見の港町・浜田という土地と、浜田と江津の信金が合併して石見地方を支えてきた歴史の、両方を映している。人口減少が進む県西部で、漁業と中小に着実に貸しながら、島根の信金で最も厚い資本を保ってきた。石見の港町という土地柄と、唯一の地元金融機関としての責任が、48.8%という預貸率と、11.49%という資本に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。日本海信用金庫を見れば、石見の港町・浜田の経済と、そこで地域に残り続ける信金の姿が浮かぶ。島根県の他の金融機関は、松江のしまね信用金庫、出雲の島根中央信用金庫、県内最大の地銀山陰合同銀行島根銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。島根県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、島根県の地域金融機関のページへ。

日本海信用金庫と融資のはなし

日本海信用金庫は、石見の港町・浜田に根ざし、漁業と中小に着実に貸す唯一の地元信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。人口減少が進む地方を地盤とする信金では、大型の資金需要が乏しく、預貸率が5割前後にとどまることが多い。地元唯一の金融機関として地域に残る信金は、無理に貸さず資本を保ちながら、地域の中小に着実に貸す傾向がある。自己資本比率とあわせて見ることで、その姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。しまね信用金庫・島根中央信用金庫の数値も同出典。
沿革(1923年12月に「有限責任浜田町信用組合」として設立されたこと、1951年10月に信用金庫に転換し浜田信用金庫に改組したこと、1995年5月に江津信用金庫と合併し日本海信用金庫に名称変更したこと、本店が浜田市にあること、金融機関コードが1711であること、浜田市・江津市・益田市など石見地方を地盤とすること、浜田市に本店を置く唯一の金融機関であること、後継者支援の「せがれ塾」を開講していること)=日本海信用金庫および各種公開情報にもとづく。
浜田・石見の地理・歴史(浜田市、石見地方、日本海、北前船、浜田漁港、どんちっち、石見神楽、石見畳ヶ浦、江津市、益田市)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。

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