島根益田信用組合——石見の西端・益田で、ますしんはなぜ預金の7割超を貸すか
預貸率74.7%、預金247億円、自己資本比率9.0%、不良債権比率5.8%。島根県益田市に本店を置く島根益田信用組合。石見地方の西端に根ざし、預金の7割超を貸す小さな信組「ますしん」が、何に貸すのか。同じ島根の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
- 2026.06.19【保証協会】26年度補正予算成立、セーフティネット保証5号の事前相談を開始。指定業種で、直近月の売上高が前年同月比で5%以上減少等の要件(経産省PDF)を満たす中小事業者が対象。
島根県の益田市に本店を置く島根益田信用組合は、預金247億円を持つ信用組合だ。愛称は「ますしん」。益田市駅前町に本店を構え、益田市内に複数の店舗と、隣接する浜田市、そして鹿足郡(津和野・吉賀)を営業区域とする。石見(いわみ)地方の西端に根ざす、小さな地域信組だ。
本拠の益田市は、島根県の西端、山口県との県境に近い石見地方の中心都市のひとつだ。日本海に面し、高津川と益田川の清流が流れるこの地は、雪舟が晩年を過ごした地としても知られ、画聖ゆかりの庭園が残る。県都・松江や出雲からは遠く離れ、むしろ山口県側との結びつきも深い、島根のなかでも独立性の高い圏域だ。島根益田信用組合は、こうした石見の西端に根ざし、地域の中小零細企業と住民に貸してきた。「おつきあい まごころで」をキャッチフレーズに、フットワークを活かした地域密着を掲げる。
この信組の数字で最も目を引くのは、預貸率74.7%という、際立って高い水準だ。預金247億円に対し、貸出金は185億円。預金の7割超を貸出に回している。なぜ、石見の西端の小さな信組が、これほど貸せるのか。同じ島根の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。島根益田信用組合の預金は247億円、貸出金は185億円。預貸率は74.7%で、預金の7割超を貸出に回している。自己資本比率は9.0%、不良債権比率は5.8%。本サイトで紹介してきた機関のなかでも、際立って小さな規模を持つ。
同じ島根県の信金と比べてみる。出雲の城下町・松江のしまね信用金庫(預貸率54.2%・預金1,251億円)、出雲に本店を置く島根中央信用金庫(預貸率59.1%・預金2,939億円)と並べると、島根益田信用組合の預貸率74.7%は、群を抜いて高い。しまね信金が5割台、島根中央信金が6割弱を貸すなか、ますしんは7割超を貸している。預金規模247億円はしまね信金(1,251億円)の5分の1ほどで、本サイトで紹介してきた機関のなかでも最小級だ。小さな信組が、限られた組合員に深く踏み込んで貸している姿がうかがえる。一方で不良債権比率5.8%はやや高めで、人口減少の進む石見の西端という地盤の現実を引き受けていることをうかがわせる。自己資本比率9.0%は、組合員の相互扶助で支える信組として堅実な水準だ。
| 島根益田信用組合 | しまね信用金庫 | 島根中央信用金庫 | |
|---|---|---|---|
| 業態 | 信用組合 | 信用金庫 | 信用金庫 |
| 預貸率 | 74.7% | 54.2% | 59.1% |
| 自己資本比率 | 9.0% | — | — |
| 不良債権比率 | 5.8% | — | 4.25% |
いずれも島根県の機関。ますしんは小さな信組ながら、県内で群を抜いて高い預貸率を示す。
益田信用組合から——島根益田信用組合の歩み
島根益田信用組合は、1951年(昭和26年)11月、「益田信用組合」として設立された。1983年(昭和58年)8月、現在の「島根益田信用組合」に改称した。石見の西端・益田の地で、相互扶助を原点とする協同組織として、地域の中小零細企業への支援と個人への奉仕を使命に掲げ、地域とともに歩んできた。本店は益田市駅前町に置かれ、愛称は「ますしん」。「仕事は足と情熱で」「サービスは知恵と真心で」「顧客の喜びに感謝を」をモットーに、窓口や得意先で日々お客様に寄り添うことを大切にしてきた。
石見の西端という土地は、この小さな信組に独特の役割を与えてきた。県都・松江や出雲から遠く離れ、人口減少と高齢化が進むこの地域では、大企業の集積は乏しい。だからこそ、地域の中小零細企業にとって、身近な信組は貴重な資金の出し手だ。「おつきあい まごころで」を掲げ、フットワークを活かして組合員一人ひとりに寄り添う——その密着が、預貸率74.7%という際立って高い水準を支えている。限られた組合員に深く踏み込んで貸すことは、地縁・人縁を活かした信組ならではの貸し方だ。不良債権比率5.8%というやや高めの数字は、人口減少の進む石見の西端という地盤の現実を引き受けながら、それでも地域に深く貸し続けてきたことを映していると読める。
74.7%を、益田から読む
島根益田信用組合の預貸率74.7%という際立って高い水準は、石見の西端という大企業の乏しい地で、小さな信組が限られた組合員に深く踏み込んで貸してきたことの表れだと読める。県都から遠く離れた地域で、ますしんは地域の中小零細企業にとって身近な資金の出し手であり続けてきた。
信用組合は、信用金庫よりさらに組合員の枠が狭い協同組織だ。その枠のなかで預金の7割超を貸すことは、地域の事業者と密接な関係を結んでいなければできない。「おつきあい まごころで」を掲げ、フットワークを活かして寄り添う——その姿勢が、74.7%という高い預貸率に表れていると読める。規模は小さくとも、相互扶助という信用組合の原点を体現する。石見の西端で、ますしんは地域経済を足元から支えている。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
島根の経済とともに
島根益田信用組合の数字は、石見の西端という地盤と、益田信用組合から地域信組へと歩んできた歴史の、両方を映している。小さな信組が限られた組合員に深く貸し、地縁・人縁を活かしながら、石見の西端の経済を足元から支えてきた。相互扶助という信組の原点と、フットワークを活かした密着が、74.7%という高い預貸率に表れている。
銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。島根益田信用組合を見れば、石見の西端の経済と、そこで深く貸す小さな信組の姿が浮かぶ。島根県の他の金融機関は、出雲の城下町・松江のしまね信用金庫、出雲の島根中央信用金庫、県内最大の地銀山陰合同銀行、第二地銀の島根銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。島根県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、島根県の地域金融機関のページへ。
島根益田信用組合は、石見の西端に根ざし、フットワークを活かして組合員に深く貸す小さな地域信用組合です。地元の事業者に貸す信組とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。しまね信用金庫・島根中央信用金庫の数値も同出典。
沿革(1951年11月に「益田信用組合」として設立されたこと、1983年8月に「島根益田信用組合」へ改称したこと、本店が益田市駅前町にあること、愛称が「ますしん」であること、益田市・浜田市・鹿足郡を営業区域とすること、「おつきあい まごころで」をキャッチフレーズに掲げること)=島根益田信用組合および各種公開情報にもとづく。
益田・石見の地理(益田市、石見地方、島根県西端、日本海、高津川、雪舟ゆかりの地、津和野)に関する記述=各種公開情報。
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