沼津信用金庫——駿河湾の港町・沼津で、ぬましんは何に貸すか
預貸率42.1%、預金5,701億円、自己資本比率16.11%、不良債権比率6.23%。静岡県沼津市に本店を置く沼津信用金庫。駿河湾の港町・沼津に根ざす「ぬましん」が、何に貸すのか。同じ静岡の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
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静岡県の沼津市に本店を置く沼津信用金庫は、預金5,701億円を持つ信用金庫だ。店舗30。地元で「ぬましん」と呼ばれ、沼津市を中心に、御殿場・裾野・三島・清水町・長泉町・小山町という静岡県東部を地盤とする。駿河湾の港町・沼津に根ざす信金だ。
本拠の沼津市は、静岡県の東部、駿河湾の最奥に位置する港町だ。古くから東海道の宿場町・沼津宿として栄え、漁港を抱える水産のまちであり、背後には愛鷹山と富士山を望む。明治には旧幕臣による沼津兵学校が置かれた、文教の歴史も持つ。千本松原の松林が海岸線を縁取り、観光と保養の地としても知られる。静岡県東部の中核都市として、商業・水産・観光・製造が集まる。沼津信用金庫は、こうした駿河湾の港町・沼津を中心とする県東部に根ざし、地域の中小事業者、水産・商業者、そして住む人々に貸してきた。
この信金の数字を見ると、預貸率42.1%という低めの水準に対し、自己資本比率16.11%という厚さと、不良債権比率6.23%というやや高めの数字が同居している。預金5,701億円という相応の規模を持つ県東部の信金は、何を抱えてきたのか。同じ静岡の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。沼津信用金庫の預金は5,701億円、貸出金は2,399億円。預貸率は42.1%で、預金の4割強を貸出に回している。自己資本比率は16.11%、不良債権比率は6.23%。店舗数は30。
同じ静岡県の信金と比べてみる。三島の三島信用金庫(預貸率47.1%・自己資本比率20.65%)、富士の富士信用金庫(預貸率43.9%・自己資本比率12.8%)、静岡市の静清信用金庫(預貸率42.9%・自己資本比率17.25%)と並べると、沼津信用金庫の預貸率42.1%は、静岡県東部の信金として標準的な水準だ。県東部の信金は、いずれも4割台で、預貸率の差は大きくない。注目すべきは自己資本比率16.11%という厚さで、無理に貸さず資本を厚く保つ堅実さがうかがえる。一方で、不良債権比率6.23%は県東部の信金のなかでやや高めだ。これは、地域の中小・零細に深く貸し、その浮き沈みを引き受けてきたことの表れだと読める。厚い資本で、その変動を吸収する構えだ。
| 沼津信用金庫 | 三島信用金庫 | 富士信用金庫 | 静清信用金庫 | |
|---|---|---|---|---|
| 本店 | 沼津市 | 三島市 | 富士市 | 静岡市 |
| 預貸率 | 42.1% | 47.1% | 43.9% | 42.9% |
| 自己資本比率 | 16.11% | 20.65% | 12.8% | 17.25% |
| 不良債権比率 | 6.23% | 5.46% | 5.84% | 2.77% |
いずれも静岡県東部の信金。預貸率は4割台で横並び。沼津は厚い資本を保ちつつ、地域の中小に深く貸す姿を映す。
沼津大空襲からの復興とともに——沼津信用金庫の歩み
沼津信用金庫は、1950年(昭和25年)4月20日に設立された。前年の1945年(昭和20年)7月17日、沼津は大空襲で市街地の大半を焼かれている。その焼け跡からの復興のなかで、地域の商工業者を支える金融機関として生まれた。本店は沼津市大手町に置かれ、愛称は「ぬましん」。「事業場が事業をするのではない。人間が事業をするのだ」という言葉を掲げてきた。2008年(平成20年)1月15日には、駿河信用金庫と対等合併し(存続金庫は沼津信用金庫)、県東部での地盤を広げた。三島市とのパートナーシップ協定、沼津市との災害支援協定(店舗を避難場所に提供)など、地域との結びつきを深め、「フェンシングのまち沼津」の応援や、商店街のストリートギャラリーといった文化・地域活動にも取り組んでいる。
駿河湾の港町・沼津を中心とする県東部という土地は、信用金庫にとって、水産・商業・観光・製造が入りまじる地盤だ。大型の資金需要が集中する大都市とは異なり、地域の中小・零細が経済の中心になる。だから預貸率は4割強にとどまる。沼津信金は、この県東部で、地域の事業者に深く貸してきた。不良債権比率6.23%というやや高めの数字は、景気や水産・観光の波を受けやすい地域の中小に貸し続けてきたことの裏返しだと読める。そして自己資本比率16.11%という厚い資本は、その変動を引き受けながらも健全性を保つための備えだ。空襲からの復興に始まり、合併で地盤を広げ、災害協定で地域の安全にも関わる——港町・沼津とともに歩んできた信金の姿が、この数字に表れている。
42.1%を、港町から読む
沼津信用金庫の預貸率42.1%という低めの水準と、自己資本比率16.11%という厚さ、不良債権比率6.23%というやや高めの数字の組み合わせは、駿河湾の港町・沼津を中心とする県東部で、水産・商業・観光の波を受けやすい中小に深く貸しながら、厚い資本でその変動を吸収してきたことの表れだと読める。大都市のような大型需要は乏しく、貸出は預金の4割強にとどまる。預金は県東部全域から集まり、その4割強を地域に貸す。
そのうえで、自己資本比率16.11%という厚い資本を保っていることが、この信金の構えを物語る。地域の中小に深く貸し、その浮き沈みを引き受けながらも、厚い資本で健全性を守る。港町・沼津の暮らしと商いとともに、変動を吸収しながら歩む——その姿勢が、42.1%という預貸率と、16.11%という厚い自己資本に表れていると読める。駿河湾の港町・沼津で、ぬましんは静岡県東部の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
静岡の経済とともに
沼津信用金庫の数字は、駿河湾の港町・沼津という土地と、空襲からの復興に始まり合併で地盤を広げてきた歴史の、両方を映している。水産・商業・観光の中小に深く貸しながら、厚い資本でその変動を吸収してきた。港町・県東部という土地柄と、地域とともに歩む姿勢が、42.1%という預貸率と、16.11%という厚い自己資本に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。沼津信用金庫を見れば、駿河湾の港町・沼津の経済と、そこで地域とともに歩む信金の姿が浮かぶ。静岡県の他の金融機関は、三島の三島信用金庫、富士の富士信用金庫、富士宮の富士宮信用金庫、県内最大の地銀静岡銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。静岡県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、静岡県の地域金融機関のページへ。
沼津信用金庫は、駿河湾の港町・沼津に根ざし、厚い資本を土台に県東部の中小へ深く貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。三島信用金庫・富士信用金庫・静清信用金庫の数値も同出典。
沿革(1950年4月20日に設立されたこと、前年1945年7月17日の沼津大空襲からの復興のなかで生まれたこと、本店が沼津市大手町にあること、愛称が「ぬましん」であること、沼津市を中心に御殿場・裾野・三島・清水町・長泉町・小山町を営業区域とすること、2008年1月15日に駿河信用金庫と対等合併し存続金庫が沼津信用金庫であること、三島市とのパートナーシップ協定・沼津市との災害支援協定を結んでいること、「フェンシングのまち沼津」の応援やストリートギャラリーに取り組んでいること)=沼津信用金庫および各種公開情報にもとづく。
沼津・県東部の地理・歴史(沼津市、駿河湾、東海道、沼津宿、漁港、愛鷹山、富士山、沼津兵学校、千本松原、御殿場、裾野、三島)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。
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