¥Today ニホン銀行紀行

那須信用組合——那須高原のふもとで、信組は何に貸すか

預貸率50.5%、自己資本比率16.45%、不良債権比率3.25%。那須塩原市に本店を置く那須信用組合。四つの信組の合併で生まれ、那須高原のふもと・栃木県北に根ざす信組の数字を読みます。

銀行・金融ニュース
ニホン銀行紀行 ・ 栃木県

栃木県那須塩原市に本店を置く那須信用組合は、預金917億円、貸出金463億円、店舗9。那須塩原市を中心に、矢板市・大田原市や那須町など、栃木県北部を地盤とする信用組合です。

地盤とする県北は、那須連山のふもとに広がる、酪農と観光のまちです。那須高原の温泉やリゾート、そして生乳生産で全国有数の酪農地帯が広がります。那須信用組合は、2002年に那須・西那須野・矢板・烏山(くろわ)の四つの信用組合が対等合併して発足し、いくつかの信組の事業も引き継いで県北の地盤を固めてきました。2012年には公的資金の注入も受けています。数字の面で目を引くのは、預貸率50.5%と、自己資本比率16.45%という相応の厚みです。

まず、数字を並べる

那須信用組合の預金は917億円、貸出金は463億円、預貸率50.5%。自己資本比率は16.45%、不良債権比率は3.25%。中小企業等向けの貸出先は3,529件です。

那須信用組合(令和7年3月末)
預金917億円
貸出金463億円
預貸率50.5%
自己資本比率16.45%
不良債権比率3.25%
中小企業等向け貸出先3,529件
店舗9店

預貸率50.5%・自己資本16.45%。那須高原のふもとに根ざす信組の数字を読む。

50.5%と16.45%を、那須から読む

預貸率50.5%は、信用組合として中庸からやや高めの水準で、集めた預金のおよそ半分を地元に貸し出しています。自己資本比率16.45%という相応の厚みと、不良債権比率3.25%という中庸の水準とあわせて読むと、合併で地盤を固めながら、地元に着実に貸しつつ守りも保つ信組の姿が浮かびます。

那須信用組合が貸す相手は、那須塩原を中心とする県北の中小事業者です。酪農や農業とその関連、那須高原の観光に連なる宿や商業、まちの建設業が、その融資先に含まれると考えられます。四つの信組が合併して県北をひとつにまとめ、公的資金も受けながら経営の健全性を保ってきた歩みは、地域の金融を支える役割を映しています。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、那須高原のふもとという土地を抜きに、この信組の数字は読めません。

那須信用組合が示すのは、合併で県北の金融を束ね、地元に着実に貸しつつ守りも固める信組の姿です。中庸の預貸率と相応の自己資本は、那須の酪農と観光のまちに資金を回しつつ、堅実さも保ってきたことの表れ。県北をひとつに支える信組の輪郭を映しています。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。那須信用組合にとって、その「地元」とは、酪農・観光を柱とする栃木県北の経済です。四つの信用組合が合併して地盤を固め、組合員である地区の事業者に着実に貸す姿は、地区の金融を束ねて支える協同組織金融機関の役割を映しています。

同じ県の、金融機関と並べてみる

同じ栃木県を代表する地銀として、足利銀行(預貸率78.7%)も本紀行に登場しています。同じ県北の大田原には大田原信用金庫(預貸率62.5%)があり、芳賀の真岡信用組合(預貸率52.1%)とあわせて、栃木の金融機関の姿は各記事もどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

預貸率50.5%という水準と、自己資本比率16.45%という相応の厚みは、那須高原のふもと・県北に根を張り、合併で地盤を固めて地元に貸してきた信組の姿を映しています。那須信用組合の数字は、酪農と観光のまちに根ざす信組の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、栃木県の他の金融機関は栃木県の地域金融機関のページもどうぞ。

那須信用組合と融資・保証のはなし

那須信用組合は、地域に根ざした信用組合です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
那須信用組合の沿革(2002年に那須・西那須野・矢板・烏山の4信用組合が合併して発足し他信組の事業を引き継ぎ、2012年に公的資金の注入を受けたこと、那須塩原市を中心に栃木県北部を地区とすること)に関する記述=那須信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
那須高原の観光・温泉、県北の酪農に関する記述=各種公開情報。
足利銀行・大田原信用金庫・真岡信用組合の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ