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佐野信用金庫——天明鋳物のまち・佐野で、さのしんは何に貸すか

預貸率45.3%、自己資本比率10.73%、不良債権比率1.79%。佐野市に本店を置く佐野信用金庫「さのしん」。天明鋳物と佐野ラーメンのまちに根ざし、低い不良債権を保つ信金の数字を読みます。

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ニホン銀行紀行 ・ 栃木県

栃木県佐野市に本店を置く佐野信用金庫は、預金1,228億円、貸出金556億円、店舗8。「さのしん」の愛称で、佐野市を中心に、栃木県南部の地域を地盤とする信用金庫です。

本店のある佐野市は、栃木県の南西部、関東平野の北の縁に開けたまちです。「天明鋳物」と呼ばれる伝統的な鋳物の産地として平安期からの歴史を持ち、いまも金属加工が地場に根づきます。佐野厄除け大師の門前町、佐野ラーメンのまちとしても知られ、首都圏に近い立地から物流・商業も発達しています。佐野信用金庫は1928年に設立された、佐野の地に根を張って約100年の信金です。数字の面で目を引くのは、不良債権比率1.79%という低さです。

まず、数字を並べる

佐野信用金庫の預金は1,228億円、貸出金は556億円、預貸率45.3%。自己資本比率は10.73%、不良債権比率は1.79%。中小企業等向けの貸出先は4,338件です。

佐野信用金庫(令和7年3月末)
預金1,228億円
貸出金556億円
預貸率45.3%
自己資本比率10.73%
不良債権比率1.79%
中小企業等向け貸出先4,338件
店舗8店

預貸率45.3%・不良債権1.79%。天明鋳物のまちに根ざす信金の数字を読む。

45.3%と1.79%を、鋳物のまちから読む

預貸率45.3%は、信用金庫として中庸の水準です。とりわけ目を引くのが、不良債権比率1.79%という低さです。地方の信用金庫の不良債権比率が3〜6%台になることも珍しくないなかで、1.79%は際立って低く、貸出の質の高さをうかがわせます。無理に貸し増さず、確実な先に貸す——堅実な信金の輪郭が浮かびます。

佐野信用金庫が貸す相手は、佐野を中心とする県南の中小事業者です。天明鋳物をはじめとする金属加工、まちの商業や建設業、物流に連なる事業者が、その融資先に含まれると考えられます。首都圏に近い立地で一定の経済的な厚みがある一方、無理に貸し増すより質を選ぶ姿勢が、中庸の預貸率と低い不良債権の組み合わせに表れていると読めます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、鋳物と門前のまち・佐野という土地を抜きに、この信金の数字は読めません。

佐野信用金庫が示すのは、鋳物のまちで堅実に貸す、約100年の信金の姿です。中庸の預貸率で地元に資金を回しつつ、不良債権比率1.79%という低さを保つ。よく選んで貸す数字は、長く土地とともに歩んできた信金の堅実さを映しています。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用金庫が融資できる相手は原則として「会員」に限られ、その資格は信用金庫法10条1項により、信用金庫の「地区」の中に住所や事業所がある人、その地区で働く人、と定められています。事業者には規模の制限もあり、大企業は会員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。佐野信用金庫にとって、その「地元」とは、天明鋳物を地場とし、首都圏に近い佐野を中心とした県南の経済です。創業から約100年、地区の事業者と長く付き合うなかで相手をよく知り、確実な貸出を重ねてきたことが、低い不良債権という数字に表れていると読めます。

同じ県の、金融機関と並べてみる

同じ栃木県を代表する地銀として、足利銀行(預貸率78.7%)も本紀行に登場しています。県全域を相手にする足利銀行(預貸率78.7%)と、鋳物のまち・佐野に根ざすこの佐野信用金庫(預貸率45.3%)とでは、貸す範囲も性格も異なります。同じ県南には鹿沼相互信用金庫(預貸率47.2%)や県都の栃木信用金庫(預貸率49.2%)もあり、栃木の信金の姿は各記事もどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

預貸率45.3%という中庸の水準と、不良債権比率1.79%という低さは、天明鋳物のまち・佐野に根を張り、堅実に貸してきた信金の姿を映しています。佐野信用金庫の数字は、鋳物と門前のまちに根ざす「さのしん」の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、栃木県の他の金融機関は栃木県の地域金融機関のページもどうぞ。

佐野信用金庫と融資・保証のはなし

佐野信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
佐野信用金庫の沿革(1928年設立、「さのしん」の愛称、佐野市を中心に栃木県南部を地区とすること)に関する記述=佐野信用金庫公開情報・各種公開情報にもとづく。
佐野市の天明鋳物・佐野厄除け大師・佐野ラーメン・金属加工に関する記述=各種公開情報。
足利銀行・鹿沼相互信用金庫・栃木信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用金庫の地区・会員資格に関する記述=金融庁 金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」資料『協同組織金融機関の「地区」のあり方』(2008年6月20日・神吉正三)。

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