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江東信用組合——城東の下町で、こうしんは何に貸すか

預貸率49.4%、自己資本比率12.66%、不良債権比率8.66%。江東区に本店を置く江東信用組合「こうしん」。東京23区を地区とし、城東の下町の中小に根ざす信組の数字を読みます。

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ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都江東区に本店を置く江東信用組合は、預金744億円、貸出金367億円、店舗8。「こうしん」の愛称で、東京23区一円を地区とし、城東の下町を中心に営む信用組合です。

本店のある江東区は、東京の東部、隅田川と荒川に挟まれた下町です。深川・木場の材木商の歴史を持ち、町工場や倉庫、商店が集まる、ものづくりと物流のまちでした。江東信用組合は1953年に設立され、1999年に東京東和信用組合、2002年に暁信用組合の事業を引き継ぎながら、城東の下町の事業者を支えてきた信組です。数字の面で目を引くのは、預貸率49.4%と、不良債権比率8.66%という高さの組み合わせです。

まず、数字を並べる

江東信用組合の預金は744億円、貸出金は367億円、預貸率49.4%。自己資本比率は12.66%、不良債権比率は8.66%。中小企業等向けの貸出先は1,494件です。

江東信用組合(令和7年3月末)
預金744億円
貸出金367億円
預貸率49.4%
自己資本比率12.66%
不良債権比率8.66%
中小企業等向け貸出先1,494件
店舗8店

預貸率49.4%・不良債権8.66%。城東の下町の中小に根ざす信組の数字を読む。

49.4%と8.66%を、下町から読む

預貸率49.4%は、信用組合として相応の水準で、集めた預金のおよそ半分を地元に貸し出しています。一方、目を引くのが不良債権比率8.66%という高さです。これは本紀行で見てきた信用組合のなかでも高い部類で、下町の小さな事業者に貸すなかで、地域経済の変動や事業の浮き沈みを引き受けてきたことの表れと読めます。

江東信用組合が貸す相手は、城東の下町の中小事業者です。町工場や倉庫・物流、まちの商店やサービス業が、その融資先に含まれると考えられます。破綻・整理された他の信組の事業を引き継いできた経緯も、下町の金融を支える役割を担ってきたことを示します。自己資本比率12.66%は信用組合として手堅く、高い不良債権を抱えながらも守りを保ってきた歩みがうかがえます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、町工場と商店の下町・城東という土地を抜きに、この信組の数字は読めません。

江東信用組合が示すのは、城東の下町の小さな事業者に貸し、その浮き沈みを引き受けてきた信組の姿です。相応の預貸率で地元に資金を回しつつ、不良債権8.66%という高さは、下町の事業者とともに変動を引き受けてきたことの裏返し。他の信組の事業を引き継いできた歩みも、下町の金融を支える役割を映しています。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。江東信用組合にとって、その「地元」とは、町工場や物流、商店の集まる城東の下町です。組合員である下町の小さな事業者に密着して貸し、整理された他の信組の事業を引き継いできた姿は、地区の金融を支える協同組織金融機関のありようを、城東という土地の上で示しています。

同じ都の、信用金庫・信用組合と並べてみる

同じ城東の下町には、葛飾の亀有信用金庫(預貸率44.3%)や東京東信用金庫(預貸率55.3%)があります。江東信用組合(預貸率49.4%)は、これら下町の信金と近い水準で、城東の中小に向き合う信組です。下町の協同組織金融機関の姿は、各記事もあわせてどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

預貸率49.4%という相応の水準と、不良債権比率8.66%という高さは、城東の下町・江東に根を張り、小さな事業者の浮き沈みを引き受けてきた信組の姿を映しています。江東信用組合の数字は、ものづくりと物流の下町に根ざす「こうしん」の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、東京都の他の金融機関は東京都の地域金融機関のページもどうぞ。

江東信用組合と融資・保証のはなし

江東信用組合は、地域に根ざした信用組合です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
江東信用組合の沿革(1953年設立、1999年に東京東和信用組合・2002年に暁信用組合の事業を引き継ぎ、東京23区を地区とすること、「こうしん」の愛称)に関する記述=江東信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
江東区・城東の下町の町工場・物流・商業に関する記述=各種公開情報。
亀有信用金庫・東京東信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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