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亀有信用金庫——下町・葛飾の亀有で、かめしんは何に貸すか

預貸率44.3%、預金6,400億円、自己資本比率15.99%、不良債権比率3.68%。東京都葛飾区亀有に本店を置く亀有信用金庫。下町・葛飾の亀有に根ざす「かめしん」が、何に貸すのか。同じ東京の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都の葛飾区亀有に本店を置く亀有信用金庫は、預金6,400億円を持つ信用金庫だ。店舗23。地元で「かめしん」と呼ばれ、葛飾区・足立区を中心に、隣接する埼玉県の三郷・八潮・吉川、千葉県の松戸にまで店舗を広げている。下町・葛飾の亀有に根ざす信金だ。

本拠の葛飾区亀有は、東京の東部、荒川と中川にはさまれた下町のまちだ。JR常磐線の亀有駅を中心に、昔ながらの商店街が連なり、町工場や個人商店、住宅が密に入りまじる。漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(こち亀)の舞台として全国に知られ、駅周辺には15体のキャラクター銅像が点在する。亀有信用金庫の本店前にも、その一つ「本田像」が立っている。隣の柴又は、帝釈天の門前町であり、映画『男はつらいよ』の寅さんの故郷としても名高い。こうした人情味の濃い下町に、亀有信用金庫は根ざしてきた。地域の町工場や商店、住む人々に貸す——下町の暮らしと商いに寄り添う信金だ。

この信金の数字を見ると、預貸率44.3%という水準に対し、自己資本比率15.99%という厚さが目を引く。預金6,400億円という相応の規模を持ちながら、貸出は半分弱で、資本は厚い。下町の信金は、何に貸しているのか。同じ東京の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。亀有信用金庫の預金は6,400億円、貸出金は2,832億円。預貸率は44.3%で、預金の4割強を貸出に回している。自己資本比率は15.99%、不良債権比率は3.68%。店舗数は23。

同じ東京の信金と比べてみる。隣接する足立区の足立成和信用金庫(預貸率51.1%・自己資本比率11.68%)、葛飾区の東栄信用金庫(預貸率48.6%・自己資本比率14.69%)、墨田区の東京東信用金庫(預貸率55.3%)と並べると、亀有信用金庫の預貸率44.3%は、東京下町の信金のなかではやや低めだ。下町の信金として、預金は集まるが、貸出は半分弱にとどまる。注目すべきは自己資本比率15.99%という厚さで、近隣の信金より明らかに厚い。無理に貸さず、資本を厚く積む堅実な経営がうかがえる。不良債権比率3.68%は標準的で、堅実に貸してきたことをうかがわせる。

東京都(下町)の信用金庫(令和7年3月末)
 亀有信用金庫足立成和信用金庫東栄信用金庫東京東信用金庫
本店葛飾区足立区葛飾区墨田区
預貸率44.3%51.1%48.6%55.3%
自己資本比率15.99%11.68%14.69%11.58%
不良債権比率3.68%3.76%3.26%3.12%

いずれも東京下町の信金。亀有は預貸率がやや低めだが、自己資本比率は最も厚い。下町で堅実に貸す守りの姿を映す。

亀青村信用購買組合から——亀有信用金庫の歩み

亀有信用金庫は、1920年(大正9年)12月13日、「有限責任亀青村信用購買組合」として設立された。亀有を含む亀青村の、地域の購買と金融を担う組合だった。戦後の改組を経て、1952年(昭和27年)2月、信用金庫法に基づき「亀有信用金庫」となった。本店は葛飾区亀有に置かれ、通称は「かめしん」。2020年(令和2年)12月には創立100周年を迎えている。東栄信用金庫・小松川信用金庫・足立成和信用金庫とは「Σ(シグマ)バンク」の名で提携し、ATMの相互利用などで顧客の利便性を高めてきた。シンボルマークは「人」の字が三つ重なった三層からなり、過去・現在・未来の三代の人々が結び合って永遠に成長し続けるという願いが込められているという。

下町・葛飾の亀有という土地は、信用金庫にとって、人と人の距離が近い地盤だ。町工場、個人商店、住宅が密に入りまじり、顔の見える商いが続いてきた。こうした下町で、亀有信金は地域の小規模事業者と住民に貸してきた。預貸率44.3%という水準は、下町の中小・零細に着実に貸しながらも、無理な貸出を避けてきたことの表れだ。そして自己資本比率15.99%という、近隣の信金より明らかに厚い資本は、地域とともに長く健全であろうとする守りの姿勢の表れだと読める。預金6,400億円という相応の規模を、貸出に回しすぎず、厚い資本の備えとして積む。創立100年を超えてなお、下町に根ざし続けるための堅実さが、この数字にあらわれている。不良債権比率3.68%という標準的な数字も、堅実な貸出姿勢を裏づけている。融資の数字には表れにくいが、亀有信金は地域づくりにも自ら旗を振ってきた。江戸切子・東京打刃物・印伝といった葛飾の伝統工芸や、町工場、食品小売の「メイドイン葛飾」の商品を集めた展示販売会「葛飾ものづくりフェア」を主催し、アリオ亀有を会場に地場産業の魅力を広く発信している。葛飾区が「こち亀」の版権使用料や開発費を補助する地域ブランド商品の開発支援事業でも、地元事業者の申請相談や資金繰りを支える。融資にとどまらず、地域の商いそのものを売り込む——下町に根ざす信金らしい関わり方だ。

44.3%を、下町から読む

亀有信用金庫の預貸率44.3%という水準と、自己資本比率15.99%という厚さの組み合わせは、下町・葛飾の亀有で、町工場や商店に着実に貸しながら、無理をせず資本を厚く積んできたことの表れだと読める。近隣の下町の信金が5割台で貸すなか、亀有は4割強にとどめ、その分、資本を厚く備える。預金は着実に集まり、その4割強を地域に貸す。

そのうえで、近隣の信金より明らかに厚い自己資本を保っていることが、この信金の性格を物語る。下町の小規模事業者に寄り添いながらも、健全性を最優先する。人情味の濃い下町とともに、堅実に長く歩む——その姿勢が、44.3%という預貸率と、15.99%という厚い自己資本に表れていると読める。下町・葛飾の亀有で、かめしんは地域の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

東京の経済とともに

亀有信用金庫の数字は、下町・葛飾の亀有という土地と、大正期の信用購買組合から100年を超えて歩んできた歴史の、両方を映している。町工場や商店に着実に貸しながら、無理をせず資本を厚く積んできた。人情味の濃い下町という土地柄と、長く健全であろうとする守りの姿勢が、44.3%という預貸率と、15.99%という厚い自己資本に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。亀有信用金庫を見れば、下町・葛飾の亀有の経済と、そこで堅実に長く歩む信金の姿が浮かぶ。東京の他の金融機関は、足立区の足立成和信用金庫、城北の城北信用金庫、巣鴨の巣鴨信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。東京都の他の金融機関と並べて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページへ。

亀有信用金庫と融資のはなし

亀有信用金庫は、下町・葛飾の亀有に根ざし、厚い資本を土台に町工場や商店へ堅実に貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。下町の小規模事業者を地盤とする信金では、預金は集まりやすい一方、貸出は手堅くとどめ、預貸率が4~5割になることがある。あわせて自己資本比率が厚い場合は、無理に貸さず健全性を保つ守りの経営の表れであることが多い。自己資本比率とあわせて見ることで、その姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。足立成和信用金庫・東栄信用金庫・東京東信用金庫の数値も同出典。
沿革(1920年12月13日に「有限責任亀青村信用購買組合」として設立されたこと、1952年2月に信用金庫法に基づき亀有信用金庫となったこと、本店が葛飾区亀有にあること、通称が「かめしん」であること、葛飾区・足立区と埼玉県三郷・八潮・吉川・千葉県松戸を営業区域とすること、2020年12月に創立100周年を迎えたこと、東栄・小松川・足立成和の各信用金庫と「Σバンク」で提携していること)=亀有信用金庫および各種公開情報にもとづく。
亀有・葛飾の地理・歴史(葛飾区、亀有、下町、荒川、中川、商店街、こちら葛飾区亀有公園前派出所、本店前の本田像、柴又、帝釈天)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。葛飾区による地域ブランド商品の開発支援事業(版権使用料・開発費の補助)と、それに対する亀有信用金庫の申請相談・資金繰り支援等の関与、および亀有信用金庫が主催する展示販売会「葛飾ものづくりフェア」(会場:アリオ亀有、後援:葛飾区・東京商工会議所葛飾支部・一般社団法人東京都信用金庫協会・葛飾区商店街連合会・葛飾区伝統産業職人会)=葛飾区および亀有信用金庫の公開情報にもとづく。漫画作品およびそのキャラクター名は著作権者に帰属する。

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