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東京東信用金庫——城東の大型信金は、下町で何に貸すか

預貸率55.3%、預金2兆825億円、不良債権比率3.12%。墨田区に本店を置く東京東信用金庫。東京の城東に根ざす「ひがしん」が、下町で何に貸すのか。同じ下町の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都の墨田区に本店を置く東京東信用金庫は、地元で「ひがしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金2兆825億円、店舗74。墨田区を中心に、東京の城東地域から都心、千葉県の一部までを地盤としている。預金2兆円を超える、信用金庫として全国でも有数の規模を持つ。

本拠の墨田区は、隅田川の東に広がる、東京でも指折りの下町だ。スカイツリーのお膝元であり、江戸以来のものづくりの町工場、皮革・繊維・金属加工などの小規模事業者が層をなしてきた。周辺の葛飾・江戸川・足立などの城東地域も、町工場と商店が密集する。東京東信用金庫は、こうしたものづくりの事業者が密集する東京の城東に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、2兆円を超える規模と、預貸率55.3%という水準だ。預金の半分強を貸出に回している。なぜ、城東の大型信金は、こうした数字になるのか。同じ下町を地盤とする信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。東京東信用金庫の預金は2兆825億円、貸出金は1兆1,510億円。預貸率は55.3%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は11.58%、不良債権比率は3.12%。店舗数は74、中小企業等への貸出残高は1兆294億円。

同じ東京の下町で、台東区を地盤とする朝日信用金庫(預貸率67.4%・自己資本比率9.82%)と比べると、ともに2兆円超の大型信金だ。両者は、東京の下町を二分する規模の信用金庫といえる。預貸率は朝日信用金庫(67.4%)が東京東信用金庫(55.3%)を上回るが、東京東信用金庫の自己資本比率11.58%は朝日信用金庫(9.82%)を上回り、資本にやや厚みがある。同じ下町の事業者に貸す二つの大型信金が、それぞれの均衡で地域を支えている。ものづくりの町工場が密集する城東は、信用金庫が貸す相手に事欠かない土地だ。東京東信用金庫は、預金の半分強を貸出に回しながら、厚めの自己資本も保っている。

東京の下町を地盤とする二つの信用金庫(令和7年3月末)
 東京東信用金庫朝日信用金庫
本店墨田区台東区
預金2兆825億円2兆1,817億円
預貸率55.3%67.4%
自己資本比率11.58%9.82%
不良債権比率3.12%4.0%

ともに東京の下町を地盤とする2兆円超の大型信金。東京東信用金庫は朝日信用金庫より預貸率は低めだが、自己資本はやや厚い。下町の事業者を二つの大型信金が支える姿が数字に表れている。

城東の下町とともに——東京東信用金庫の歩み

東京東信用金庫は、城東の下町の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。墨田の町工場、皮革・繊維・金属加工の事業者、城東の商店、そして住民——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。東京東信用金庫は、いくつもの信用金庫の合併を重ね、預金2兆円を超える大型信金へと成長してきた。

東京の城東という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要の旺盛な地盤だ。ものづくりの町工場が密集し、皮革・繊維・金属加工と多様な業種がひしめく。地元の中小に密着し、会員との関係のもとで深く貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率55.3%という水準を支えている。大手銀行が大企業を相手にするのに対し、信用金庫は町工場という、銀行が手の届きにくい層に貸す。城東の下町は、その役割を存分に果たせる土地だと読める。一方、ものづくりの中小は景気の波を受けやすく、不良債権比率3.12%という数字にその浮き沈みが映っていると読める。

55.3%を、城東の下町から読む

東京東信用金庫の預貸率55.3%という水準は、ものづくりの事業者が密集する城東の下町で、会員の資金需要によく応えていることの表れだと読める。町工場が層をなす城東は、信用金庫が貸す相手に事欠かない土地だ。東京東信用金庫は、会員との関係のもとで貸し、預金の半分強を貸出に回している。同じ下町の朝日信用金庫より預貸率は低めだが、そのぶん自己資本比率11.58%という厚めの資本を保ち、堅実さも併せ持っている。

不良債権比率3.12%という数字は、ものづくりの中小事業の浮き沈みを映すが、厚めの自己資本が十分に吸収できる範囲だ。城東の下町で会員の中小に深く貸し、資金需要に応えながら、厚めの資本で守りも固める——それが、東京東信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。朝日信用金庫とともに、東京の下町を二つの大型信金が支える姿が、ここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

東京の経済とともに

東京東信用金庫の数字は、ものづくりの事業者が密集する城東の下町という土地と、そこで会員の中小に深く貸す大型信金の歩みの、両方を映している。預金の半分強を地元の会員に貸し、城東の中小・零細事業者を支えてきた。町工場の集積する城東の経済が、55.3%という預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。東京東信用金庫を見れば、城東の下町の経済と、そこで会員に深く貸す大型信金の姿が浮かぶ。東京の他の信用金庫は、同じ下町の朝日信用金庫、芝の芝信用金庫、城北の城北信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。東京の他の金融機関と並べて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。ものづくりの町工場が密集する大都市の下町では、中小・零細事業者の資金需要が厚く、会員に密着して貸す信用金庫は、規模が大きくても預金の半分以上を貸出に回せることがある。自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の均衡が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。朝日信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(墨田区に本店を置き、東京の城東地域から都心・千葉県の一部を地盤とする信用金庫であること、いくつもの信用金庫の合併を経て預金2兆円を超える大型信金になったこと、墨田区が隅田川の東に広がる下町でスカイツリーのお膝元であり町工場・皮革・繊維・金属加工の事業者が層をなすこと、城東地域に町工場と商店が密集すること)に関する記述=東京東信用金庫および各種公開情報にもとづく。
東京・城東の地理・経済(墨田区、隅田川、スカイツリー、葛飾、江戸川、足立、町工場、皮革、繊維、金属加工)に関する記述=各種公開情報。

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