西京信用金庫——防災に最も力を入れる信金は、新宿で何に貸すか
預貸率56.8%、預金6,704億円、自己資本比率15.14%、不良債権比率3.94%。東京都新宿区に本店を置く西京信用金庫。全国の金融機関で唯一、日本防災プラットフォームに加入し、防災に最も力を入れる信金が、何に貸すのか。同じ城西の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
- 2026.06.19【保証協会】26年度補正予算成立、セーフティネット保証5号の事前相談を開始。指定業種で、直近月の売上高が前年同月比で5%以上減少等の要件(経産省PDF)を満たす中小事業者が対象。
東京都の新宿区に本店を置く西京信用金庫は、預金6,704億円を持つ信用金庫だ。店舗27。「さいきょう」の呼び名で知られ、本店を新宿に構え、東京都と埼玉県に店舗を展開する。城西エリアに根ざす、中堅規模の都市型信金だ。
本拠の新宿は、日本有数のターミナル都市だ。巨大な繁華街とオフィス街、住宅地が重なり合い、人と商いが絶え間なく行き交う。その新宿から城西の住宅地・商業地にかけてを地盤とする西京信用金庫は、地域の中小事業者と住民に貸してきた。そしてこの信金には、ほかにない際立った特徴がある。全国の金融機関で唯一、日本防災プラットフォームに加入し、防災に最も力を入れていることだ。本部の1階に「街づくり・防災プラザ」を設け、預金の取り扱い額の一部を負担して災害時の生活必需品を備蓄し、災害時に近隣住民へ配る——金融機関としては類を見ない取り組みを続けている。
この信金の数字は、預貸率56.8%、自己資本比率15.14%と厚く、不良債権比率3.94%。預金の6割近くを貸出に回しつつ、厚い資本を保つ。なぜ、防災の信金は、こうした数字になるのか。同じ城西の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。西京信用金庫の預金は6,704億円、貸出金は3,810億円。預貸率は56.8%で、預金の6割近くを貸出に回している。自己資本比率は15.14%、不良債権比率は3.94%。店舗数は27。
同じ城西エリアの信金と比べてみる。神田・都心を地盤とする興産信用金庫(預貸率63.0%・自己資本11.65%)、下町の朝日信用金庫(預貸率67.4%・預金2.2兆円)と並べると、西京信用金庫の預貸率56.8%は中程度の水準にある。預金規模6,704億円は都内信金として中堅クラス。目を引くのは自己資本比率15.14%という厚さで、興産(11.65%)や朝日(9.82%)より厚い。預金の6割近くを貸しつつ、なお厚い資本を保つ——堅実な財務だ。一方で不良債権比率3.94%はやや高めで、城西の競争の激しい市場で貸してきたことをうかがわせる。
| 西京信用金庫 | 興産信用金庫 | 朝日信用金庫 | |
|---|---|---|---|
| 本店 | 新宿区 | 千代田区 | 台東区 |
| 預貸率 | 56.8% | 63.0% | 67.4% |
| 自己資本比率 | 15.14% | 11.65% | 9.82% |
| 不良債権比率 | 3.94% | 3.68% | 4.0% |
いずれも東京の都市型信金。西京は預貸率は中程度だが、自己資本比率は三者のなかで最も厚い。
内藤新宿町の購買組合から——西京信用金庫の歩み
西京信用金庫は、1992年(平成4年)2月、新宿区に本店を置く大同信用金庫と、練馬区に本店を置く共栄信用金庫が合併して発足した。その源流は古く、1918年(大正7年)1月に「内藤新宿町共済信用購買組合」として設立された組織にさかのぼる。内藤新宿——いまの新宿の地で生まれた購買組合が、山手信用購買利用組合、新宿信用組合と姿を変え、1951年(昭和26年)に信用金庫法に基づき大同信用金庫となった。共栄信用金庫もまた同年に信用金庫へ改組した組織だ。二つの流れが1992年に一つになり、西京信用金庫が生まれた。マスコットキャラクターは「サイの京子ちゃん」。
この信金を語るうえで欠かせないのが、防災への類例のない注力だ。西京信用金庫は、全国の金融機関で唯一、日本防災プラットフォームに加入している。本部1階の「街づくり・防災プラザ」では、建物の耐震化や地震への備えについてパネルや書籍、防災グッズを展示する。災害時生活必需品(簡易トイレ、おむつ、生理用品など)を購入して各店舗の倉庫に備蓄し、災害時には近隣住民へ配布する。東京都と連携した政策特別融資「西京防災対策『そなえ』」も手がける。海外行政機関の防災責任者にもその取り組みを紹介してきた。地域の防災力そのものを高めることを、金融機関の役割の一部としている——これは、地震の多い首都・東京で、地域とともに生きる信金の一つの形だと読める。預貸率56.8%という水準は、城西の中小事業者によく貸してきたことの表れであり、自己資本比率15.14%という厚さは、その堅実な経営姿勢を裏づけていると読める。
56.8%を、新宿から読む
西京信用金庫の預貸率56.8%という水準は、有力な信金がひしめく城西エリアで、地域の中小事業者によく貸してきたことの表れだと読める。新宿から城西の住宅地・商業地にかけて、地域の商いと暮らしの資金需要に応えてきた。
そのうえで、自己資本比率15.14%という厚さが共存していることが、この信金の性格を物語る。よく貸しつつ、厚い資本を保つ。そして何より、防災という地域の安全に金融機関として深く関わる姿勢が、この信金を際立たせている。お金を貸すだけでなく、災害に強い街をつくる——地震の多い首都で、地域とともに生き残ることを考えた信金の生き方が、ここにあると読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
東京の経済とともに
西京信用金庫の数字は、有力信金がひしめく城西という地盤と、防災に類例なく力を入れる信金の生き方の、両方を映している。地域の中小によく貸し、厚い資本を保ちながら、災害に強い街づくりにまで踏み込んできた。新宿から城西に広がる都市の暮らしが、56.8%という預貸率と、15.14%という厚い資本に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。西京信用金庫を見れば、城西エリアの経済と、そこで防災に力を入れる信金の姿が浮かぶ。東京の他の金融機関は、神田の興産信用金庫、下町の朝日信用金庫、人を見て貸す巨大信金城南信用金庫、多摩の雄多摩信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。東京の他の金融機関と並べて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページへ。
西京信用金庫は、城西エリアに根ざし、防災に類例なく力を入れる信用金庫です。地元の中小事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。興産信用金庫・朝日信用金庫の数値も同出典。
沿革(1992年に大同信用金庫と共栄信用金庫が合併して発足したこと、源流が1918年の内藤新宿町共済信用購買組合にさかのぼること、本店が新宿にあること、東京都と埼玉県に店舗を展開すること、全国の金融機関で唯一日本防災プラットフォームに加入していること、本部1階に「街づくり・防災プラザ」を設け災害時生活必需品を備蓄・配布すること、東京都と連携した政策特別融資「西京防災対策『そなえ』」を手がけること、マスコットキャラクターが「サイの京子ちゃん」であること)=西京信用金庫および各種公開情報にもとづく。
新宿・城西の地理(新宿、ターミナル都市、城西エリア)に関する記述=各種公開情報。
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