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朝日信用金庫——下町の最大信金は、東京で何に貸すか

預貸率67.4%、預金2兆1,817億円、不良債権比率4.0%。台東区に本店を置く朝日信用金庫。東京下町に根ざす「あさひ」が、なぜ預金の7割近くを貸すのか。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都の台東区に本店を置く朝日信用金庫は、地元で「あさひ」と呼ばれる信用金庫だ。預金2兆1,817億円、店舗64。台東区を中心に、東京の下町から都心、城東・城西の各地までを地盤としている。預金2兆円を超える、信用金庫として全国でも有数の規模を持つ。

本拠の台東区は、浅草・上野を擁する、東京でも指折りの下町だ。江戸以来の問屋街や、製造・卸の小規模事業者が層をなし、浅草の観光、上野の商業など、多様な経済が密集する。周辺の墨田・荒川・足立などの城東地域も、ものづくりの町工場や商店が集まる土地だ。朝日信用金庫は、こうした事業者の密集する東京の下町に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、2兆円を超える規模と、預貸率67.4%という高さだ。預金の7割近くを貸出に回している。信用金庫としても、よく貸している部類だ。なぜ、下町の最大級の信金は、これほどよく貸すのか。数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。朝日信用金庫の預金は2兆1,817億円、貸出金は1兆4,709億円。預貸率は67.4%で、預金の7割近くを貸出に回している。自己資本比率は9.82%、不良債権比率は4.0%。店舗数は64、中小企業等への貸出残高は1兆3,116億円。

注目すべきは、2兆円を超える規模で、預貸率67.4%という高さを保っていることだ。信用金庫が貸す相手は、会員である中小・零細事業者に限られる。それでも朝日信用金庫が預金の7割近くを貸し切れるのは、事業者が密集する東京の下町という、貸出先に事欠かない地盤に根ざしているからだと読める。浅草・上野の商業、城東のものづくり、卸・問屋の事業者——こうした地元の借り手が層をなし、信用金庫はそれに応えてよく貸せる。不良債権比率4.0%という数字は、よく貸すなかで一定の焦げ付きを抱えていることを示すが、極端に高いわけではない。

朝日信用金庫の主要指標(令和7年3月末)
預金2兆1,817億円
貸出金1兆4,709億円
預貸率67.4%
自己資本比率9.82%
不良債権比率4.0%
店舗数64
中小企業等貸出残高1兆3,116億円

預金2兆円を超える信用金庫として有数の規模を持ちながら、預貸率67.4%でよく貸す。事業者の密集する東京の下町という、貸出先に事欠かない地盤の性格が数字に表れている。

東京の下町とともに——朝日信用金庫の歩み

朝日信用金庫は、東京の下町の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。浅草・上野の商店、城東のものづくりの町工場、卸・問屋の事業者、そして住民——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。朝日信用金庫は、いくつもの信用金庫の合併を重ね、預金2兆円を超える大型信金へと成長してきた。

東京の下町という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要の旺盛な地盤だ。事業者が密集し、ものづくり・卸・商業・観光と多様な業種がひしめく。地元の中小に密着し、会員との関係のもとで深く貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率67.4%という高さの背景にあると読める。大手銀行が大企業を相手にするのに対し、信用金庫は町工場や商店という、銀行が手の届きにくい層に貸す。事業者の密集する下町は、その役割を存分に果たせる土地だと読める。

67.4%を、下町から読む

朝日信用金庫の預貸率67.4%という高さは、事業者が密集する東京の下町で、会員である中小・零細事業者の資金需要によく応えていることの表れだと読める。ものづくり・卸・商業の事業者が層をなす下町は、信用金庫が貸す相手に事欠かない土地だ。朝日信用金庫は、会員との関係のもとで深く貸し、預金の7割近くを貸出に回している。2兆円という規模でこれだけよく貸せるのは、地盤の資金需要の厚さゆえだと読める。

自己資本比率9.82%という水準は、信用金庫として手堅い範囲だが、よく貸すぶん、際立って厚いわけではない。不良債権比率4.0%という数字は、下町の中小事業の浮き沈みを映すが、極端に高いわけではない。下町で会員の中小に深く貸し、資金需要によく応える——それが、朝日信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。事業者の密集する東京の下町を、最大級の信用金庫が支える姿が、67.4%という高い預貸率に表れている。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

東京の経済とともに

朝日信用金庫の数字は、事業者の密集する東京の下町という土地と、そこで会員の中小に深く貸す最大級の信金の歩みの、両方を映している。預金の7割近くを地元の会員に貸し、下町の中小・零細事業者を支えてきた。ものづくり・卸・商業の集積する下町の経済が、67.4%という高い預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。朝日信用金庫を見れば、東京の下町の経済と、そこで会員に深く貸す最大級の信金の姿が浮かぶ。東京の他の信用金庫は、城北の城北信用金庫、城南の城南信用金庫、芝の芝信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。東京の他の金融機関と並べて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が高い金融機関は、地元の資金需要によく応えている一つの目安になる。ものづくりや卸・商業の事業者が密集する大都市の下町では、中小・零細事業者の資金需要が厚く、会員に密着して貸す信用金庫は、規模が大きくても高い預貸率を保つことがある。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。
沿革・地域(台東区に本店を置き、東京の下町・都心・城東・城西を地盤とする信用金庫であること、いくつもの信用金庫の合併を経て預金2兆円を超える大型信金になったこと、台東区が浅草・上野を擁する下町で問屋街・製造卸の事業者が密集すること、城東地域にものづくりの町工場が集まること)に関する記述=朝日信用金庫および各種公開情報にもとづく。
東京・下町の地理・経済(台東区、浅草、上野、墨田、荒川、足立、問屋街、町工場、ものづくり)に関する記述=各種公開情報。

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