さわやか信用金庫——港区の大型信金は、都心で何に貸すか
預貸率59.5%、預金1兆5,440億円、自己資本比率9.74%、不良債権比率3.1%。港区に本店を置くさわやか信用金庫。東京の城南に根ざす大型信金が、都心で何に貸すのか。同じ城南の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
東京都の港区に本店を置くさわやか信用金庫は、預金1兆5,440億円を持つ信用金庫だ。店舗63。港区を中心に、東京の城南地域から多摩、神奈川の一部までを地盤としている。預金1兆5千億円を超える、信用金庫として全国でも有数の規模を持つ。
本拠の港区は、オフィスと商業の集まる東京都心の一角だ。城南と呼ばれる品川・大田・目黒などの一帯は、都心のオフィス街に加え、京浜工業地帯につながる町工場、住宅地、商店が層をなす。とりわけ大田区の町工場は、精密加工で知られるものづくりの集積地だ。さわやか信用金庫は、こうしたオフィスとものづくりが混在する東京の城南に根ざしてきた信金だ。
この信金の数字で目を引くのは、1兆5千億円を超える規模と、預貸率59.5%という水準だ。預金の6割近くを貸出に回している。なぜ、城南の大型信金は、こうした数字になるのか。同じ城南を地盤とする信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。さわやか信用金庫の預金は1兆5,440億円、貸出金は9,192億円。預貸率は59.5%で、預金の6割近くを貸出に回している。自己資本比率は9.74%、不良債権比率は3.1%。店舗数は63、中小企業等への貸出残高は9,015億円。
同じ東京の城南で、品川区を中心とする城南信用金庫(預貸率58.5%・自己資本比率は信金有数の規模)と比べると、両者は東京の城南を二分する大型信金といえる。預貸率はさわやか信用金庫(59.5%)も城南信用金庫(58.5%)もほぼ並び、どちらも預金の6割近くを貸出に回している。城南のオフィスとものづくりが密集する地盤で、会員の中小に深く貸す姿勢が、両者に共通している。さわやか信用金庫の自己資本比率9.74%は、信用金庫の国内基準4%は上回るが、厚いとはいえない水準で、よく貸すぶん資本の厚みは控えめだ。
| さわやか信用金庫 | 城南信用金庫 | |
|---|---|---|
| 本店 | 港区 | 品川区 |
| 預金 | 1兆5,440億円 | 4兆238億円 |
| 預貸率 | 59.5% | 58.5% |
| 不良債権比率 | 3.1% | — |
| 店舗数 | 63 | — |
ともに東京の城南を地盤とする大型信金。預貸率はほぼ並び、どちらも預金の6割近くを貸出に回す。城南のオフィスとものづくりに貸す姿が数字に表れている。
城南とともに——さわやか信用金庫の歩み
さわやか信用金庫は、城南の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。港区・品川・大田の事業者、京浜工業地帯につながる町工場、都心の商店やサービス業、そして住民——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。さわやか信用金庫は、いくつもの信用金庫の合併を重ね、預金1兆5千億円を超える大型信金へと成長してきた。
東京の城南という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要の旺盛な地盤だ。都心のオフィス街、京浜工業地帯につながる町工場、住宅地と、多様な業種が広がる。とりわけ大田区の精密加工の町工場は、銀行が手の届きにくい小規模なものづくりの担い手だ。地元の中小に密着し、会員との関係のもとで深く貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率59.5%という水準を支えている。大手銀行が大企業を相手にするのに対し、信用金庫は町工場や個人事業という層に貸す。城南は、その役割を存分に果たせる土地だと読める。
59.5%を、城南から読む
さわやか信用金庫の預貸率59.5%という水準は、オフィスとものづくりが混在する城南で、会員の資金需要によく応えていることの表れだと読める。都心のオフィス街と京浜工業地帯につながる町工場が層をなす城南は、信用金庫が貸す相手に事欠かない土地だ。さわやか信用金庫は、会員との関係のもとで貸し、預金の6割近くを貸出に回している。同じ城南の城南信用金庫とほぼ並ぶ預貸率は、城南という地盤の資金需要の厚さを映している。
自己資本比率9.74%という水準は、よく貸すぶん控えめだが、信用金庫の国内基準は十分に上回る。不良債権比率3.1%という数字は、都心の事業の浮き沈みを映しつつ、抑えめに保たれている。城南でオフィスとものづくりの中小に深く貸し、資金需要に応える——それが、さわやか信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。東京の城南を支える大型信金の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
東京の経済とともに
さわやか信用金庫の数字は、オフィスとものづくりが混在する城南という土地と、そこで会員の中小に深く貸す大型信金の歩みの、両方を映している。預金の6割近くを地元の会員に貸し、城南の中小・零細事業者を支えてきた。都心のオフィスと京浜工業地帯につながる町工場の経済が、59.5%という預貸率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。さわやか信用金庫を見れば、城南の経済と、そこで会員に深く貸す大型信金の姿が浮かぶ。東京の他の信用金庫は、同じ城南の城南信用金庫、多摩地域の多摩信用金庫、中野・新宿の西武信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。東京の他の金融機関と並べて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。城南信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(港区に本店を置き、東京の城南地域から多摩・神奈川の一部を地盤とする信用金庫であること、いくつもの信用金庫の合併を経て預金1兆5千億円を超える大型信金になったこと、港区が都心のオフィスと商業の集まる一角であり、城南の品川・大田・目黒に都心のオフィス街・京浜工業地帯につながる町工場・住宅地が層をなすこと、大田区の町工場が精密加工で知られるものづくりの集積地であること)に関する記述=さわやか信用金庫および各種公開情報にもとづく。
東京・城南の地理・経済(港区、品川、大田、目黒、城南、京浜工業地帯、町工場、精密加工)に関する記述=各種公開情報。