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東栄信用金庫——葛飾の下町で、とうえいは何に貸すか

預貸率48.6%、自己資本比率14.69%、不良債権比率3.26%。葛飾区に本店を置く東栄信用金庫。下小松信用組合を源流とし、城東の下町に根ざす信金の数字を読みます。

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ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都葛飾区に本店を置く東栄信用金庫は、預金1,380億円、貸出金671億円、店舗10。葛飾区を中心に、城東の下町を地盤とする信用金庫です。

本店のある葛飾区は、東京の東部、江戸川と荒川に挟まれた下町です。「寅さん」や「こち亀」の舞台として知られ、町工場や商店、職人の手仕事が息づく、ものづくりと商いのまちです。東栄信用金庫は、1938年に「下小松信用組合」として設立され、1952年に信用金庫へ改組した、下町の信金です。なお、東栄信用金庫は2025年10月をめどに足立成和信用金庫と合併し、新金庫名を「したまち信用金庫」とすることを公表しています。数字の面で目を引くのは、預貸率48.6%と、自己資本比率14.69%という相応の厚みです。

まず、数字を並べる

東栄信用金庫の預金は1,380億円、貸出金は671億円、預貸率48.6%。自己資本比率は14.69%、不良債権比率は3.26%。中小企業等向けの貸出先は3,237件です。

東栄信用金庫(令和7年3月末)
預金1,380億円
貸出金671億円
預貸率48.6%
自己資本比率14.69%
不良債権比率3.26%
中小企業等向け貸出先3,237件
店舗10店

預貸率48.6%・自己資本14.69%。葛飾の下町に根ざす信金の数字を読む。

48.6%を、下町から読む

預貸率48.6%は、信用金庫として中庸の水準です。本紀行で見てきた、預貸率が3割台にとどまる地方の信金と比べれば、相応に貸している方に入ります。自己資本比率14.69%という相応の厚みと、不良債権比率3.26%という中庸の水準とあわせて読むと、下町の中小に着実に貸しつつ、堅実に守りも保つ信金の姿が浮かびます。

東栄信用金庫が貸す相手は、葛飾を中心とする城東の下町の中小事業者です。金属加工や印刷などの町工場、まちの商店やサービス業が、その融資先に含まれると考えられます。都心の大企業ではなく、下町の路地裏で機械を動かす小さな事業者に向き合うのが、この信金の役割です。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、町工場と商店が密集する葛飾という土地を抜きに、この信金の数字は読めません。

東栄信用金庫が示すのは、城東の下町の中小に着実に貸しつつ、堅実に守る信金の姿です。中庸の預貸率で町工場や商店に資金を回しながら、相応の自己資本で守りも保つ。足立成和信用金庫との合併で「したまち信用金庫」へと歩みを進める、下町の信金の輪郭を映しています。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用金庫が融資できる相手は原則として「会員」に限られ、その資格は信用金庫法10条1項により、信用金庫の「地区」の中に住所や事業所がある人、その地区で働く人、と定められています。事業者には規模の制限もあり、大企業は会員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。東栄信用金庫にとって、その「地元」とは、町工場と商店が密集する城東の下町です。会員資格が地区内の中小に絞られるからこそ、信金は都心の大企業ではなく、下町の小さな事業者に資金を向けます。足立成和信用金庫との合併も、下町に根ざす信金どうしが力を合わせ、地域への金融を支え続けようとする動きと読めます。

同じ都の、信用金庫と並べてみる

同じ城東の下町には、葛飾の亀有信用金庫(預貸率44.3%)や、足立の足立成和信用金庫(預貸率51.1%)があります。東栄信用金庫(預貸率48.6%)は、これら下町の信金と近い水準で、城東の中小に向き合っています。とりわけ足立成和信用金庫は、東栄信用金庫との合併で「したまち信用金庫」となる相手です。下町の信金の姿は、各記事もあわせてどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

預貸率48.6%という中庸の水準と、自己資本比率14.69%という相応の厚みは、町工場と商店の密集する城東の下町・葛飾に根を張り、地元の中小に着実に貸してきた信金の姿を映しています。東栄信用金庫の数字は、合併で新たな歩みを進める下町の信金の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、東京都の他の金融機関は東京都の地域金融機関のページもどうぞ。

東栄信用金庫と融資・保証のはなし

東栄信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
東栄信用金庫の沿革(1938年に下小松信用組合として設立、1952年に信用金庫へ改組)、足立成和信用金庫との合併で「したまち信用金庫」とする公表に関する記述=東栄信用金庫公開情報・各種報道・各種公開情報にもとづく。
葛飾区の町工場・商業など下町の産業に関する記述=各種公開情報。
亀有信用金庫・足立成和信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用金庫の地区・会員資格に関する記述=金融庁 金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」資料『協同組織金融機関の「地区」のあり方』(2008年6月20日・神吉正三)。

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