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東京三協信用金庫——100年つづく城西の信金は、激戦の高田馬場で何に貸すか

預貸率57.5%、預金1,900億円、自己資本比率9.95%、不良債権比率1.58%。東京都新宿区高田馬場に本店を置く東京三協信用金庫。有力信金がひしめく城西の激戦区で、2025年に創立100周年を迎えた小規模な信金が、何に貸すのか。同じ城西の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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東京都の新宿区高田馬場に本店を置く東京三協信用金庫は、預金1,900億円を持つ信用金庫だ。店舗12。「さんきょう」の呼び名で知られ、JR山手線・高田馬場駅のそばに本店を構え、新宿区・中野区・杉並区・豊島区・西東京市・調布市・府中市に店舗を展開する。城西エリアに根ざす、小規模な都市型信金だ。

本拠の高田馬場は、学生の街であり、商業の街でもある。早稲田大学をはじめとする学校が集まり、若者が行き交い、新しく事業を始める人も多い。その高田馬場から城西の住宅地・商業地にかけてを地盤とする東京三協信用金庫は、地域の中小事業者と、創業する人びとに貸してきた。だが、この地は容易な市場ではない。城西エリアには、巨大信金の西武信用金庫や、中堅の西京信用金庫など有力な信金がひしめく。店舗12という小規模な東京三協信用金庫にとって、城西は激戦の地だ。

この信金の数字は、預貸率57.5%、自己資本比率9.95%、不良債権比率1.58%。預金の6割近くを貸出に回しつつ、焦げ付きは低い。なぜ、激戦区の小さな信金が、こうした数字になるのか。同じ城西の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。東京三協信用金庫の預金は1,900億円、貸出金は1,092億円。預貸率は57.5%で、預金の6割近くを貸出に回している。自己資本比率は9.95%、不良債権比率は1.58%。店舗数は12。

同じ城西で競い合う信金と比べてみる。同じ新宿区を地盤とする中堅の西京信用金庫(預貸率56.8%・預金6,704億円)、目黒の目黒信用金庫(預貸率54.5%・不良0.26%)と並べると、東京三協信用金庫の預貸率57.5%は、ほぼ同水準にある。預金規模1,900億円は西京(6,704億円)の3分の1以下で、小規模なことが際立つ。目を引くのは不良債権比率1.58%という低さで、西京(3.94%)より格段に低い。小規模ながら、堅実に貸して焦げ付きを低く抑えている——顔の見える関係で丁寧に貸す、小さな信金の強みだと読める。激戦区で生き残るために、規模ではなく堅実さで勝負してきた姿が浮かぶ。

東京都の都市型信用金庫(令和7年3月末)
 東京三協信用金庫西京信用金庫目黒信用金庫
本店新宿区新宿区目黒区
預貸率57.5%56.8%54.5%
自己資本比率9.95%15.14%15.23%
不良債権比率1.58%3.94%0.26%

いずれも東京の都市型信金。東京三協は規模では小さいが、低い不良債権比率で堅実に貸す。

戸塚町の信用組合から——東京三協信用金庫の歩み

東京三協信用金庫は、1925年(大正14年)10月、西垣恒矩農学博士(初代組合長)らによって、東京府豊多摩郡戸塚町・諏訪町に「有限責任戸塚町信用組合」として発足した。多くの信用組合が地元の名士や産業人を中心に生まれたなか、産業組合の実践者である学者によって生まれたこの組合は、当時、異彩を放つものだったと伝えられる。1949年(昭和24年)、東京建築信用購買利用組合・共隆信用購買利用組合と合併し「東京三協信用組合」となり、1951年(昭和26年)に信用金庫法の施行にともない「東京三協信用金庫」へ改組した。2002年(平成14年)には池袋信用組合の事業を譲り受けた。本店は高田馬場に置かれ、2023年には創立100周年を見据えて本店ビルを建て替え、2025年(令和7年)10月、創立100周年を迎えた。

城西の激戦区という地盤は、小規模な信金にとって容易ではない。西武信用金庫や西京信用金庫といった有力信金がひしめくなか、店舗12の東京三協信用金庫はシビアな営業環境に置かれている。それでも、「共存」「共育」「共栄」を企業理念に、地域の中小事業者と創業者に密着して貸してきた。新本店ビルには創業者向けのシェアオフィスを設け、新宿区の創業スクールや東京都の創業サポート事業も手がける。顔の見える関係で経営者の人となりを見て貸す——大手にはできない、小さな信金ならではの貸し方だ。預貸率57.5%という水準は、激戦区でも地域の資金需要に応えてきたことの表れであり、不良債権比率1.58%という低さは、丁寧に貸してきたことを映していると読める。100年を地域とともに歩み、いまも高田馬場で貸し続けている。

57.5%を、高田馬場から読む

東京三協信用金庫の預貸率57.5%という水準は、有力信金がひしめく城西の激戦区で、地域の中小事業者と創業者によく貸してきたことの表れだと読める。学生と商いの街・高田馬場で、新しく事業を始める人や地域の事業者に、顔の見える関係で貸してきた。

そのうえで、不良債権比率1.58%という低さが、この信金の性格を物語る。規模では巨大信金に遠く及ばないが、堅実に貸して焦げ付きを低く抑える。激戦区で小さな信金が生き残るために選んだのは、規模ではなく堅実さだった。経営者の人となりを見て貸し、創業者を育て、地域とともに100年を歩む——それが、この信金の生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

東京の経済とともに

東京三協信用金庫の数字は、有力信金がひしめく城西の激戦区という地盤と、100年を地域とともに歩んできた小さな信金の生き方の、両方を映している。規模では及ばずとも、堅実に貸して低い焦げ付きを保ち、創業者を育てながら、高田馬場の街を支えてきた。激戦区で堅実さを武器にする姿が、57.5%という預貸率と、1.58%という低い不良債権比率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。東京三協信用金庫を見れば、城西の激戦区の経済と、そこで堅実に貸す小さな信金の姿が浮かぶ。東京の他の金融機関は、同じ城西の西京信用金庫、目黒の目黒信用金庫、人を見て貸す巨大信金城南信用金庫、多摩の雄多摩信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。東京の他の金融機関と並べて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページへ。

東京三協信用金庫と融資のはなし

東京三協信用金庫は、城西の激戦区に根ざし、創業者支援に力を入れる小さな信用金庫です。地元の中小事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

不良債権比率とは 不良債権比率とは、貸出金の総額のうち、返済が滞るなどして回収に懸念のある債権が占める割合。低いほど、貸出の焦げ付きが少なく、貸し方が健全であることを示す。小規模な信金が低い不良債権比率を保つのは、顔の見える関係で経営者を見極め、丁寧に貸してきたことをうかがわせる。預貸率や自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。西京信用金庫・目黒信用金庫の数値も同出典。
沿革(1925年に西垣恒矩農学博士らにより「有限責任戸塚町信用組合」として発足したこと、1949年に合併して東京三協信用組合となったこと、1951年に信用金庫法の施行により東京三協信用金庫へ改組したこと、2002年に池袋信用組合の事業を譲り受けたこと、本店が高田馬場にあること、2023年に本店ビルを建て替え2025年10月に創立100周年を迎えたこと、「共存」「共育」「共栄」を企業理念とし創業者支援に取り組むこと)=東京三協信用金庫および各種公開情報にもとづく。
高田馬場・城西の地理(高田馬場、学生の街、城西エリア、西武信用金庫・西京信用金庫など有力信金の存在)に関する記述=各種公開情報。

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