¥Today ニホン銀行紀行

全東栄信用組合——都内に広がる下町の信組は、何に貸すか

預貸率59.9%、自己資本比率9.38%、不良債権比率4.09%。千代田区に本店を置く全東栄信用組合。1951年設立、東京都内に広く店舗を構える地域信組の数字を読みます。

銀行・金融ニュース
ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都千代田区に本店を置く全東栄信用組合は、預金864億円、貸出金517億円、店舗10。本部を豊島区に置き、東京都内に広く店舗を構える信用組合です。

全東栄信用組合は1951年に設立され、世田谷・台東・渋谷・大田・北・足立・板橋など、都内各地に支店を広げてきた地域信組です。特定の下町に限らず、東京という大都市の中小事業者を相手にしてきました。数字の面で目を引くのは、預貸率59.9%という相応の高さです。

まず、数字を並べる

全東栄信用組合の預金は864億円、貸出金は517億円、預貸率59.9%。自己資本比率は9.38%、不良債権比率は4.09%。中小企業等向けの貸出先は2,719件です。

全東栄信用組合(令和7年3月末)
預金864億円
貸出金517億円
預貸率59.9%
自己資本比率9.38%
不良債権比率4.09%
中小企業等向け貸出先2,719件
店舗10店

預貸率59.9%。都内に広く店舗を構える地域信組の数字を読む。

59.9%を、大都市から読む

預貸率59.9%は、本紀行で見てきた信用組合のなかでは相応に高く、集めた預金の六割近くを地元に貸し出しています。中小事業者が数多く集まる大都市・東京を地盤とすることで、貸し先に事欠かず、相応の預貸率を保っていると読めます。

全東栄信用組合が貸す相手は、都内の中小事業者です。町工場や商店、サービス業など、都内各地の小さな事業者が、その融資先に含まれると考えられます。都内に広く店舗を構えることで、地域ごとの事業者に資金を届けてきました。自己資本比率9.38%は信用組合として手堅く、不良債権比率4.09%は中庸の水準です。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、中小事業者がひしめく大都市・東京という地盤を抜きに、この信組の数字は読めません。

全東栄信用組合が示すのは、大都市・東京の中小に、都内各地で貸す地域信組の姿です。預貸率59.9%という相応の水準は、貸し先に事欠かない大都市を地盤に、地域ごとの事業者へ資金を回してきたことの表れです。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。全東栄信用組合にとって、その「地元」とは、中小事業者が密集する大都市・東京です。組合員になれる中小事業者の数が多い大都市だからこそ、都内に広く店舗を構えて貸し先を確保し、相応の預貸率を保ってきたと読めます。

同じ都の、信用金庫と並べてみる

同じ都内の下町には、亀有信用金庫(預貸率44.3%)や東京東信用金庫(預貸率55.3%)があります。全東栄信用組合(預貸率59.9%)は、特定の下町に限らず都内各地に広がる点で性格が異なります。東京の協同組織金融機関の姿は、各記事もあわせてどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

預貸率59.9%という相応の水準は、大都市・東京に広く根を張り、都内各地の中小に貸してきた信組の姿を映しています。全東栄信用組合の数字は、東京に広がる地域信組の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、東京都の他の金融機関は東京都の地域金融機関のページもどうぞ。

全東栄信用組合と融資・保証のはなし

全東栄信用組合は、地域に根ざした信用組合です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
全東栄信用組合の沿革(1951年設立、本部を豊島区に置き都内各地に支店を広げてきたこと)に関する記述=全東栄信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
東京都内の中小事業者の集積に関する記述=各種公開情報。
亀有信用金庫・東京東信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ