都留信用組合——富士北麓の郡内で、つるしんは何に貸すか
預貸率50.9%、預金3,377億円、自己資本比率9.04%、不良債権比率3.58%。山梨県富士吉田市に本店を置く都留信用組合。富士北麓・郡内地方に根ざす「つるしん」が、何に貸すのか。同じ山梨の地域金融機関と比べながら、その数字と歴史を読む。
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山梨県の富士吉田市に本店を置く都留信用組合は、預金3,377億円を持つ信用組合だ。店舗21。地元では「つるしん」と呼ばれる。山梨県の郡内地方——県の東部・南部、富士山の北麓にあたる一帯を営業地域とし、その地区ではほぼ唯一の地域密着の信用組合として根を張っている。
本拠の富士吉田市は、富士山の北麓に開けた町だ。標高の高い高原性の気候を生かした織物——「郡内織物」と呼ばれる先染めの絹織物が、古くからの地場産業として根づいてきた。ネクタイや裏地、傘地などの細番手の生地で知られ、いまも織物のまちの色を残す。加えて、富士五湖や富士山麓の観光、別荘地、そして富士急行沿線の暮らしが、この一帯の経済を形づくっている。都留信用組合は、こうした富士北麓・郡内地方に根ざし、地域の中小・零細事業者と住民を組合員として支えてきた信用組合だ。
この信組の数字で目を引くのは、預貸率50.9%という標準的な水準だ。集めた預金のおよそ半分を貸出に回している。なぜ、郡内地方の信組は、こうした数字になるのか。同じ山梨を地盤とする金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。都留信用組合の預金は3,377億円、貸出金は1,717億円。預貸率は50.9%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は9.04%、不良債権比率は3.58%。店舗数は21、中小企業等への貸出残高は1,502億円、貸出先は1万1千件を超える。
同じ山梨県を地盤とする山梨県民信用組合(預貸率53.2%・不良債権比率6.63%)と比べると、両者は山梨の異なる地域を地盤とする二つの信用組合だ。山梨県民信用組合が甲府盆地を中心とする国中地方を主な地盤とするのに対し、都留信用組合は富士北麓・郡内地方を地盤とする。預貸率は都留信用組合(50.9%)が山梨県民信用組合(53.2%)とほぼ並ぶ。一方、不良債権比率は都留信用組合(3.58%)が山梨県民信用組合(6.63%)を下回り、焦げ付きは抑えられている。山梨という一つの県でも、盆地と富士北麓という二つの地域を、別々の信用組合が支えている。山に囲まれた郡内地方で、地元の中小と住民に密着して貸すぶん、その地域の事業の浮き沈みを引き受けながら、焦げ付きを比較的低く保っていると読める。
| 都留信用組合 | 山梨県民信用組合 | |
|---|---|---|
| 本店 | 富士吉田市 | 甲府市 |
| 主な地盤 | 富士北麓・郡内 | 甲府盆地・国中 |
| 預金 | 3,377億円 | 3,665億円 |
| 預貸率 | 50.9% | 53.2% |
| 自己資本比率 | 9.04% | 8.12% |
| 不良債権比率 | 3.58% | 6.63% |
同じ山梨でも、富士北麓・郡内と甲府盆地・国中という二つの地域を、別々の信用組合が支えている。預貸率は近いが、焦げ付きの水準には差がある。
富士北麓・郡内とともに——都留信用組合の歩み
都留信用組合は、郡内地方の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。1952年(昭和27年)、富士吉田に都留信用組合が設立され、翌1953年には上野原に上野原信用組合が設立された。1994年(平成6年)、この都留・上野原の二つの信用組合が合併し、いまの都留信用組合となった。郡内織物に関わる事業者、富士五湖や富士山麓の観光業、沿線の商店、そして住民——こうした人々が組合員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。鳴沢村と道志村の指定金融機関も受託し、郡内地方の地域社会の中核を担ってきた。
郡内地方という土地は、信用組合にとって、組合員の資金需要のある地盤だ。富士吉田の郡内織物、富士五湖の観光、富士山麓の別荘地、富士急行沿線の暮らし——多様な顔を持つ一帯が広がる。地元の中小と住民に密着し、組合員との関係のもとで貸す——この信用組合ならではの貸し方が、預貸率50.9%という水準を支えている。山に囲まれた郡内地方は、人口や事業者の数に限りがあるが、そのなかで都留信用組合は地縁・人縁を生かして貸し、焦げ付きを比較的低く抑えてきた。
50.9%を、郡内から読む
都留信用組合の預貸率50.9%という水準は、富士北麓・郡内地方で、組合員の資金需要におよそ半分応えていることの表れだと読める。郡内織物、富士五湖の観光、富士山麓の暮らしが広がる郡内地方は、信用組合が貸す相手のある土地だ。ただし、山に囲まれて人口や事業者の数に限りがあるため、預金の残り半分は有価証券などの運用にも向かう。都留信用組合は、地縁・人縁のもとで地元に貸し、預金の半分強を貸出に回している。
不良債権比率3.58%という数字は、地域の事業者の浮き沈みを引き受けながらも、焦げ付きを比較的低く保ってきたことを映す。自己資本比率9.04%は、信用組合として基準を満たす水準だ。富士北麓の郡内で、組合員の中小と住民に密着して貸し、焦げ付きを抑える——それが、都留信用組合の数字に表れた生き方だと読める。山に囲まれた一帯を支える地域信組の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
山梨の経済とともに
都留信用組合の数字は、富士北麓・郡内地方という土地と、そこで組合員の中小と住民に密着して貸す地域信組の歩みの、両方を映している。預金の半分強を地元の組合員に貸し、郡内織物、富士五湖の観光、富士山麓の暮らしを支えてきた。山に囲まれた郡内地方の経済が、50.9%という預貸率に表れている。
銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。都留信用組合を見れば、富士北麓・郡内地方の経済と、そこで組合員に貸す地域信組の姿が浮かぶ。山梨県の他の金融機関は、甲府盆地を地盤とする山梨県民信用組合、甲府の甲府信用金庫や山梨信用金庫、県唯一の地銀である山梨中央銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。山梨県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、山梨県の地域金融機関のページへ。
預貸率50.9%の都留信用組合は、地域に根ざして組合員に貸す信用組合です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。
- → 口座を育てる
- → 積立で信用をつくる
- → 与信枠の考え方
- → 創業支援保証とは
- → セーフティネット保証とは
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。山梨県民信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(富士吉田市に本店を置き、山梨県郡内地方〈県東部・南部〉を営業地域とする信用組合であること、1952年に都留信用組合・1953年に上野原信用組合が設立され1994年に両者が合併して現在の都留信用組合となったこと、鳴沢村・道志村の指定金融機関を受託していること、富士吉田が富士山北麓に開けた町で郡内織物と呼ばれる先染めの絹織物が地場産業として根づいていること、富士五湖や富士山麓の観光・別荘地・富士急行沿線の暮らしが一帯の経済を形づくっていること)に関する記述=都留信用組合および各種公開情報にもとづく。
富士吉田・郡内地方の地理・経済(富士吉田、郡内、富士北麓、郡内織物、富士五湖、富士山麓、富士急行)に関する記述=各種公開情報。
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