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豊田信用金庫——自動車の街の信金は、何に支えられて貸すか

預貸率50.6%、預金1兆8,873億円、自己資本比率10.15%。豊田市に本店を置く豊田信用金庫。自動車の街・豊田に根ざす「とよしん」が、何に支えられて貸すのか。同じ西三河の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 愛知県

愛知県の豊田市に本店を置く豊田信用金庫は、地元で「とよしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金1兆8,873億円、店舗42。豊田市を中心に、西三河の一帯を地盤としている。預金1兆8千億円を超える、愛知県内でも大型の信金だ。

本拠の豊田市は、いうまでもなく世界的な自動車産業の街だ。大手自動車メーカーの企業城下町として知られ、完成車工場に加え、無数の部品メーカー・関連の中小事業者が層をなす。自動車産業のすそ野は広く、金属加工・機械・物流など、関連する業種が地域に集積する。豊田信用金庫は、こうした自動車産業に支えられた西三河の豊田に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字を見ると、預貸率50.6%という標準的な水準に、預金1兆8千億円超という規模が並ぶ。なぜ、自動車の街の大型信金は、こうした数字になるのか。同じ西三河の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。豊田信用金庫の預金は1兆8,873億円、貸出金は9,547億円。預貸率は50.6%で、預金のほぼ半分を貸出に回している。自己資本比率は10.15%、不良債権比率は2.93%。店舗数は42、中小企業等への貸出残高は8,446億円。

同じ西三河で、安城市を地盤とする碧海信用金庫(預貸率52.5%・自己資本比率15.5%)と比べると、預貸率はともに5割台で近い。豊田信用金庫(50.6%)も碧海信用金庫(52.5%)も、預金のほぼ半分を貸出に回している。一方、自己資本比率は碧海信用金庫(15.5%)が豊田信用金庫(10.15%)を上回り、碧海信用金庫のほうが資本に厚みがある。両者とも、自動車産業の集積する西三河という、豊かな地盤に根ざす大型信金だ。自動車のすそ野に広がる無数の中小事業者が、信用金庫の貸出先となり、預金の出し手ともなる。豊かな産業地盤が、預金1兆8千億円という規模と、5割台の預貸率を支えていると読める。

西三河の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 豊田信用金庫碧海信用金庫
本店豊田市安城市
預金1兆8,873億円2兆3,190億円
預貸率50.6%52.5%
自己資本比率10.15%15.5%
不良債権比率2.93%2.95%

ともに自動車産業の集積する西三河を地盤とする大型信金。預貸率は近い5割台。自動車のすそ野に広がる中小事業者が、信用金庫の規模と貸出を支えている。

自動車の街・豊田とともに——豊田信用金庫の歩み

豊田信用金庫は、自動車の街・豊田の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。自動車部品メーカー、金属加工・機械の事業者、関連の物流・サービス業、そして住民——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。豊田信用金庫は、自動車産業の成長とともに歩み、預金1兆8千億円を超える大型信金へと成長してきた。

豊田という土地は、信用金庫にとって、自動車産業に支えられた豊かな地盤だ。完成車メーカーを頂点に、部品・金属加工・機械・物流と、関連する中小事業者が無数に層をなす。自動車のすそ野に広がる中小に密着し、会員との関係のもとで貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率50.6%という水準を支えている。完成車メーカーは大手銀行が相手にするが、そのすそ野に広がる無数の中小事業者は、信用金庫が支える層だ。豊かな産業地盤が、豊田信用金庫の規模と貸出を支えていると読める。

50.6%を、自動車の街から読む

豊田信用金庫の預貸率50.6%という水準は、自動車産業のすそ野に広がる中小事業者の資金需要に、よく応えていることの表れだと読める。自動車のすそ野には、部品・金属加工・機械・物流など、無数の中小事業者がある。豊田信用金庫は、こうした会員に貸し、預金のほぼ半分を貸出に回している。不良債権比率2.93%という数字は、信用金庫として手堅い範囲で、自動車産業に支えられた地盤の安定を映していると読める。

自己資本比率10.15%という水準は、信用金庫として手堅い。自動車の街で、すそ野に広がる中小に貸し、産業の安定に支えられて堅実に営む——それが、豊田信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。一つの巨大産業に支えられた地盤は、強みであると同時に、その産業の動向と結びついてもいる。豊田信用金庫の数字は、自動車産業とともにある西三河の経済を映していると読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

愛知の経済とともに

豊田信用金庫の数字は、自動車産業に支えられた西三河の豊田という土地と、そこですそ野の中小に貸す大型信金の歩みの、両方を映している。預金のほぼ半分を地元に貸し、自動車のすそ野に広がる中小事業者を支えてきた。世界的な自動車産業の集積する豊田の経済が、50.6%という預貸率と、1兆8千億円という規模に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。豊田信用金庫を見れば、自動車の街・豊田の経済と、そこですそ野の中小に貸す大型信金の姿が浮かぶ。愛知県の他の金融機関は、西三河の碧海信用金庫、岡崎の岡崎信用金庫、瀬戸の瀬戸信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。愛知県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、愛知県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。大きな産業が集積する土地では、その産業のすそ野に広がる中小事業者が、信用金庫の貸出先となり、預金の出し手ともなる。豊かな産業地盤は、信用金庫の規模と貸出の両方を支える。預貸率を見るときは、その土地の産業の性格もあわせて見るとよい。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。碧海信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(豊田市に本店を置き、西三河の一帯を地盤とする信用金庫であること、預金1兆8千億円を超える大型信金であること、豊田市が世界的な自動車産業の企業城下町で完成車工場・部品メーカー・関連の中小事業者が層をなすこと、自動車のすそ野に金属加工・機械・物流などの業種が集積すること)に関する記述=豊田信用金庫および各種公開情報にもとづく。
豊田・西三河の地理・産業(豊田市、自動車産業、企業城下町、部品メーカー、金属加工、機械、物流)に関する記述=各種公開情報。

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